第3章 ワイロ王国「恐怖の赤道ギニア」
赤道ギニアの首都マラボには2130時に到着、飛行機から降りてイミグレへ向かう、小さいながらも新築の空港は見た目はしっかりとしてそうだが「器が良くても中身は最悪」を想像して対処するべきだろう。外見に騙されて油断などしてはいけない。ここは世界に冠たる「ワイロ最強王国」だった...
カウンターに並び、私の順番が来る。パスポートをガラス越しに手渡し、そして入国スタンプが押される。これから彼のとる行動は決まっている。私のパスポートはここで一時人質になるだろう!後は幾ら請求してくるかだ!!最初の1回目は当然拒絶してやる。2回目以降は相手を見て考えよう...
そして入国スタンプが押されたパスポートはそのまま...
私の手元に返される...??
係はジェスチャーで「次の所に行け」と示してくる...!!
「へっ...??」
「何か忘れているのでは...??」
そして次は税関だった、係が私を見る。ここを無料で通過出来る訳が無い!
「イミグレでは何も仕掛けてこなかったが、ここで一括ワイロ徴収か...、そっちは効率的なつもりだろうがアコギなやり口だな...」
そして背中にしょっていた小さいナップザックを下し、荷物検査のカウンターに置こうとする、見られて困るものは何も無い、まあ「世界最強といわれるお手並みを拝見」してやろう...
係が私に近寄ってくる、戦いはいよいよ目の前だ!良しとばかりに荷物を開けようとすると...
係は簡単に持っていたチョークで印をつける。
そしてジェスチャーで出口を指差し「そのまま行け」と伝えてきた!!!
「....????」
「うむぅう~!空港では何も仕掛けてこないのか...!!これはこれで良い事だが、それにしてもあれだけ完璧に準備してきたのに...」
やけにあっさりと入国が果たせてしまい、かなり拍子抜けしてしまう事となった...
結局、赤道ギニアの首都マラボや1箇所訪れた地方の町では何も起こらなかった。ホテル代が他の国なら10㌦も出せば良いようなロークオリティーの宿ですら30㌦もしてしまうと言う物価の高さにこそちょっと泣かされたが、着いた翌日に「赤道ギニア国内旅行及び写真撮影許可証(写真に関しては撮影禁止地区も多く、注意された事も数度あった)」を40㌦出して取得した事も手伝い、伝え聞いて大陸側とは“雲泥の差”といってもいいくらいに何事も起こらなかった...
まあ通常の旅行では“何事も無いのが当たり前”だが“何事も無い事にビックリする”という場所に来ているというのは何ともやるせないような不思議な感覚だったが...
そして17日、カメルーンのドゥアラへ、出発の日がやってきた...!
第4章:予期せぬ敵、再び...
ドゥアラへのフライトは1700時、市内をひとしきり歩いて時間を潰し、余裕を持って空港に向かう。2時間以上前には到着
「前回の事もあるし、どうせ遅れるんだろう...、まあでも万が一予定時刻通りに出発したら間に合わなくなるからな...」
そう考えて、空港のチェックインカウンターに向かう、入口の警備員にチケットを見せる。警備員は私のチケットを眺め、ちょっと待てと示して他の男を呼んでくる。
「何かあったらしい、まあこっちの読み通りに遅れるんだろう...」
上役である男が私にこう言ってきた!
「ドゥアラへのフライトはキャンセルだ!明日また来い!!」
「へっ?そんなのってあり??」
まあでも仕方が無い、しかし2度もこんな出鱈目を...、そうだ!空港ならカムエアーのオフィスが有るだろう!!
私は彼にじゃあ「オフィスを案内してくれ、次の便の出発時刻も確認したいし、それに変更の手続きをしなければならない」と説明する。しかし彼の答えは芳しくないものだった...
「君には悪いがカムエアーのオフィスはここに入ってない、街にあるからそこで確認してくれ...あと、出発時間も空港では分からないからこれも街で確認してくいれ...」
うーむ!こういったことなら仕方が無い、しかし隣国の空港にオフィスすら設置していないとは...!それにしても次便の出発時刻くら空港に伝えておかなくてもいいのか??
空港を出て、街へ出てオフィスへ向かう、オフィスの前に立つと...??
「おっお休み...」
ドアの前に次の便の予定がA4の紙にマジックで書かれているだけだった...
まあ次の「出発可能性時刻」とやらが分かったのは“収穫”だが...、しかし、それにしても...
「俺のこの怒りの行き場がどこにもねえ~!!」
※機中から撮影したマラボ国際空港、小さいけどキレイ...
しかし、ここでまたしても”空振り”とは...!
第5章:そしてドゥアラへ!
翌18日も空港に2時間前には到着、出発予定は1500時。1400時にチェックインカウンターが開き、ボーディングパスを入手する。いい案配だ!しかし、カムエアーの飛行機がここに到着している気配はない。そのうちに出発予定時刻が過ぎていく...、またしてもかと思い始めた1600時過ぎにカムエアーが到着。ようやくだ。1630時に機内に入り、1730時に本当に出発!昨日の出発予定時刻から考えると実に24時間30分遅れのフライトであった...
ドゥアラには1800時に到着、すぐに街へ向かい予約していた教会系の安宿へ行き、予約がずれた事を謝ってから今日のベッドを確保する。
ベッドの上で煙草に火をつけ、天井を眺めつつ、この今回の「赤道ギニア行」を振り返る...
流石は「ワイロ世界最高峰」を誇る赤道ギニア!私は予定を行きも帰りも狂わされたので初期の行動予定は台無しだ。その上出費も馬鹿になっていない。この「プロフェッショナル」をもこうも苦しめるとは...
赤道ギニアのその凄さをちょっと分析してみよう!「ワイロ請求一つしてこなかった空港」、「許可証さえとれば何一つ問題なく行動できる事」等々...、
ん??赤道ギニアでは何も無いぞ!何でこんなに苦労したのか...??
「ハッ!!」
「そうか!すべては...」
「カムエアーだったのか...!!」
今なら私には「2002年の日韓ワールドカップでカメルーン代表の到着が遅れた訳」も良く分かる!!「カムエアー」あってこその仕業に違いない...
恐るべしは「カムエアー!」私にとっては「予期せぬ最大の敵」であった...
私は今回の旅をこう結論付ける。
「こんなクソ会社、2度と使ってなどやるものか!!」
そして「そう言えばもう乗る機会も無い」という事にも気付き、
「リベンジの機会すらない、一方的な敗戦であった」
という情けない結末を迎える事となった...
あとがき
今回の戦いをこうして記録に残したところで、こう思う
タイトルにこそ「ドッグファイト(空中戦)」とつけていたものの、実際は「空中を飛ぶ前の戦い」だけであり、今回のこのネーミングは「完全に名前倒れ」のものになってしまったと...
赤道ギニアの首都マラボには2130時に到着、飛行機から降りてイミグレへ向かう、小さいながらも新築の空港は見た目はしっかりとしてそうだが「器が良くても中身は最悪」を想像して対処するべきだろう。外見に騙されて油断などしてはいけない。ここは世界に冠たる「ワイロ最強王国」だった...
カウンターに並び、私の順番が来る。パスポートをガラス越しに手渡し、そして入国スタンプが押される。これから彼のとる行動は決まっている。私のパスポートはここで一時人質になるだろう!後は幾ら請求してくるかだ!!最初の1回目は当然拒絶してやる。2回目以降は相手を見て考えよう...
そして入国スタンプが押されたパスポートはそのまま...
私の手元に返される...??
係はジェスチャーで「次の所に行け」と示してくる...!!
「へっ...??」
「何か忘れているのでは...??」
そして次は税関だった、係が私を見る。ここを無料で通過出来る訳が無い!
「イミグレでは何も仕掛けてこなかったが、ここで一括ワイロ徴収か...、そっちは効率的なつもりだろうがアコギなやり口だな...」
そして背中にしょっていた小さいナップザックを下し、荷物検査のカウンターに置こうとする、見られて困るものは何も無い、まあ「世界最強といわれるお手並みを拝見」してやろう...
係が私に近寄ってくる、戦いはいよいよ目の前だ!良しとばかりに荷物を開けようとすると...
係は簡単に持っていたチョークで印をつける。
そしてジェスチャーで出口を指差し「そのまま行け」と伝えてきた!!!
「....????」
「うむぅう~!空港では何も仕掛けてこないのか...!!これはこれで良い事だが、それにしてもあれだけ完璧に準備してきたのに...」
やけにあっさりと入国が果たせてしまい、かなり拍子抜けしてしまう事となった...
結局、赤道ギニアの首都マラボや1箇所訪れた地方の町では何も起こらなかった。ホテル代が他の国なら10㌦も出せば良いようなロークオリティーの宿ですら30㌦もしてしまうと言う物価の高さにこそちょっと泣かされたが、着いた翌日に「赤道ギニア国内旅行及び写真撮影許可証(写真に関しては撮影禁止地区も多く、注意された事も数度あった)」を40㌦出して取得した事も手伝い、伝え聞いて大陸側とは“雲泥の差”といってもいいくらいに何事も起こらなかった...
まあ通常の旅行では“何事も無いのが当たり前”だが“何事も無い事にビックリする”という場所に来ているというのは何ともやるせないような不思議な感覚だったが...
そして17日、カメルーンのドゥアラへ、出発の日がやってきた...!
第4章:予期せぬ敵、再び...
ドゥアラへのフライトは1700時、市内をひとしきり歩いて時間を潰し、余裕を持って空港に向かう。2時間以上前には到着
「前回の事もあるし、どうせ遅れるんだろう...、まあでも万が一予定時刻通りに出発したら間に合わなくなるからな...」
そう考えて、空港のチェックインカウンターに向かう、入口の警備員にチケットを見せる。警備員は私のチケットを眺め、ちょっと待てと示して他の男を呼んでくる。
「何かあったらしい、まあこっちの読み通りに遅れるんだろう...」
上役である男が私にこう言ってきた!
「ドゥアラへのフライトはキャンセルだ!明日また来い!!」
「へっ?そんなのってあり??」
まあでも仕方が無い、しかし2度もこんな出鱈目を...、そうだ!空港ならカムエアーのオフィスが有るだろう!!
私は彼にじゃあ「オフィスを案内してくれ、次の便の出発時刻も確認したいし、それに変更の手続きをしなければならない」と説明する。しかし彼の答えは芳しくないものだった...
「君には悪いがカムエアーのオフィスはここに入ってない、街にあるからそこで確認してくれ...あと、出発時間も空港では分からないからこれも街で確認してくいれ...」
うーむ!こういったことなら仕方が無い、しかし隣国の空港にオフィスすら設置していないとは...!それにしても次便の出発時刻くら空港に伝えておかなくてもいいのか??
空港を出て、街へ出てオフィスへ向かう、オフィスの前に立つと...??
「おっお休み...」
ドアの前に次の便の予定がA4の紙にマジックで書かれているだけだった...
まあ次の「出発可能性時刻」とやらが分かったのは“収穫”だが...、しかし、それにしても...
「俺のこの怒りの行き場がどこにもねえ~!!」
※機中から撮影したマラボ国際空港、小さいけどキレイ...
しかし、ここでまたしても”空振り”とは...!
第5章:そしてドゥアラへ!
翌18日も空港に2時間前には到着、出発予定は1500時。1400時にチェックインカウンターが開き、ボーディングパスを入手する。いい案配だ!しかし、カムエアーの飛行機がここに到着している気配はない。そのうちに出発予定時刻が過ぎていく...、またしてもかと思い始めた1600時過ぎにカムエアーが到着。ようやくだ。1630時に機内に入り、1730時に本当に出発!昨日の出発予定時刻から考えると実に24時間30分遅れのフライトであった...
ドゥアラには1800時に到着、すぐに街へ向かい予約していた教会系の安宿へ行き、予約がずれた事を謝ってから今日のベッドを確保する。
ベッドの上で煙草に火をつけ、天井を眺めつつ、この今回の「赤道ギニア行」を振り返る...
流石は「ワイロ世界最高峰」を誇る赤道ギニア!私は予定を行きも帰りも狂わされたので初期の行動予定は台無しだ。その上出費も馬鹿になっていない。この「プロフェッショナル」をもこうも苦しめるとは...
赤道ギニアのその凄さをちょっと分析してみよう!「ワイロ請求一つしてこなかった空港」、「許可証さえとれば何一つ問題なく行動できる事」等々...、
ん??赤道ギニアでは何も無いぞ!何でこんなに苦労したのか...??
「ハッ!!」
「そうか!すべては...」
「カムエアーだったのか...!!」
今なら私には「2002年の日韓ワールドカップでカメルーン代表の到着が遅れた訳」も良く分かる!!「カムエアー」あってこその仕業に違いない...
恐るべしは「カムエアー!」私にとっては「予期せぬ最大の敵」であった...
私は今回の旅をこう結論付ける。
「こんなクソ会社、2度と使ってなどやるものか!!」
そして「そう言えばもう乗る機会も無い」という事にも気付き、
「リベンジの機会すらない、一方的な敗戦であった」
という情けない結末を迎える事となった...
あとがき
今回の戦いをこうして記録に残したところで、こう思う
タイトルにこそ「ドッグファイト(空中戦)」とつけていたものの、実際は「空中を飛ぶ前の戦い」だけであり、今回のこのネーミングは「完全に名前倒れ」のものになってしまったと...