第6章 そして向かう場所・・・
サンペドロ・デ・アタカマに到着した時・・・
私はもう次の行動を決めていた。
『19日にプエルトモンを出発するフェリー、これに挑戦してみることにしよう。それには速攻でここを抜け、近くのカラマへ。ここはそこそこの都市だからサンティアゴにも多くの便が出ているだろう。それにサンペドロ・デ・アタカマはチリでも有数の観光地。物価の高いチリでさらに物価の高いここにいるより、今日サンティアゴ行きの便が取れなくてもまだカラマに一泊したほうがいいだろう。それにここはあまりにツーリスティック過ぎる・・・どうも気に入らない町のようだ・・・』
サンペドロ・デ・アタカマの中心、アルマス広場脇のカテドラル
さらに悪いことに町にあるたった2台のATMが両方とも使えない。一台は完全に故障、もう一台は動いているけどお金が下ろせない、お金が入っていないようだ。
ガイドブックにはここでの両替はレートが悪いと書いてあるので今後の動きも併せてここである程度のまとまった額をおろそうと考えていたのにあてが外れた感じだ。
仕方が無いのでカラマでお金を下ろす事にして、ここでは最低金額を両替。バス会社に行って1415時発のカラマ行のチケットを購入する。
現在時1300時、やる事も無く狭い町なのでぶらぶらと観光する。
ツアーが終わった直後に・・・さらに長距離を移動することになるがまあこのあたりはいいだろう。サンティアゴですこしは骨休めをすればいいだけの事だ・・・
今はとにかく急ぐ事、これが重要だ・・・
1400時には観光を終えバス会社の前に到着。
タバコをゆっくりとふかし、そういえばと荷物にいつも入れているメモを取り出そうとする・・・
そう、知る人ぞ知る「ゴルコノートミニ」。
これがその写真
殆どの人が今始めて知ったような気がしないでもないが・・・
私はパスポートサイズの薄いカレンダー形の手帳を常にサブバッグに入れ、日付欄にはその時いた場所や移動した時はその移動を、訪れた国やその日数、訪れた順序等も、そして両替やATMで引き出したときはその金額を、さらに知り合った旅行者からアドレスをもらう時など常に利用しているものだ。
ダイジェスティックとは言いながらも別につけている日記を最悪紛失した時にもこれさえあれば大まかに思い出すことは可能だし、それに一覧になっているのでいつ何処にいたのか一目瞭然であるので非常に重宝しているのだ。
そしてこれを小さい透明のチャック付のビニールケースにペンやメモ、電卓等と一緒に入れいつでも取り出せるようにしているのだ。
こんな感じです。
出発まで間がないとは言え・・・さっきまでのウユニツアーや今の両替など忘れないうちに記載しておいた方が賢い選択だ・・・
『・・・』
『・・・・・・???』
『あっ、あれっ???・・・ノートが・・・・ノートが・・・』
『どっ何処にも・・・なっ無いぃ~!!』
私はひっくり返すようにサブバッグの荷物を全部出す。
左がサブ、右がメイン。もちろんキャスター付!だってエレガントですもの・・・
思い返すと今日サブバックをあけたのはチリ抜けのバスに乗ってからガイドブックを出した時、そして税関で見られた時、さらにそこからまたマイクロに乗って市内に着くまでの間、ガイドブックをしまった時ぐらいだ。そして私はその時確かに手帳を確認しているのだ・・・
ケースに入れているので・・・まずあれば気づかない訳が無い!!
だが、ポケットも確認したがそこにもない・・・バッグも再度見てみたが・・・やはり無い・・・
一瞬にして顔が青ざめる・・・
確かにこの手帳は日記から再度起こしなおすことも可能だが・・・今回については気が向いた時に切手をかってこのノートの上に貼り付けるという今までに無いことを始めていたのでそれが無くなるのも惜しいし何よりもまた作るのは面倒くさい。日本と同じクオリティーの物が手に入るかどうかもわからない・・・
しかし、こういう時こそ冷静になるべきだ。
紛失した場所を考えると先ほどのタイミングでしかサブバッグは開けていないし、そうなると考えられるのはミニバスに乗っている時にその中で落としたか、それか税関の時だ。これ以外にはありえない。
そうなると答えは簡単でとりあえずマイクロバスをあたり、それでだめなら税関に行けばいいだけだ。盗まれる可能性は低い、私にとっては大事なものだが基本的には価値の無いものだ。それにサンペドロ・デ・アタカマは物価の高さとツーリスティックなところは良くないが人は親切でまたチリは貧しい国ではないので盗まれる事もなさそうだ。
これも私の記憶力の確かさから来るものだ。ここまではっきりと憶えていられる私はやはりプロフェッショナルの名にふさわしい唯一のツーリストだろう・・・
私はとりあえずバスをキャンセルする。キャンセル料は払ったが大した事の無い金額だ。
出発が遅れるのは仕方が無いが、まあなくしたノートが見つかる公算が高い今、ノートの方が遥かに重要だ。
そしてマイクロバスの到着場所に行き、その代理店に聞いてみる。
だが、マイクロバスのドライバーは今休憩中で1600時になったらバスの所に行くのでそれまで待つようにといわれる。
『・・・』
まあいい、おそらく90パーセント以上の確率でバスにあるだろう・・・
それでダメなら・・・税関か・・・
1600時、代理店に行く。
代理店の人はドライバーに連絡を取ってくれる。バスはちょっと離れた場所に駐車しているようだ。
『ふぅ~・・・』
見つかった訳ではないが・・・
ほぼ大丈夫だろう・・・
『・・・』
『・・・・・・』
『へっ??ないって???』
私の顔色が蒼褪める・・・先ほどよりも問題にならないぐらいにより蒼く・・・
そうなってくると・・・税関か??
でも・・・そう言えばドライバーがチェックしたといっていたが・・・
何処まで細かくチェックしているのか??
疑うことは良くないが、ここは自分でも確認してみなければ・・・
私は代理店に食い下がる。どうしても自分でも点検させてくれと!!そしてバスの場所を確認すると「待て」と・・・
なんでもドライバーに連絡してバスをここまで持ってきてくれると。
『・・・俺のミスなのに・・・なんて親切なんだ・・・(涙)』
バスは5分ぐらいで到着。早速乗り込みバスの座席の下を覗き込むように点検する。
だが・・・私の予想に反してノートは見つからない・・・
『ここでなければ税関に行くしか・・・』
私は代理店とドライバーにそう告げると「乗っていけ!」と・・・
入国事務所まですぐ近く(車で10分ぐらい)だが歩くとなるとやはり遠い、そこにこの一言はあり難い・・・
私は貸切になったマイクロバスで国境へ・・・
私は行きだけ乗せてくれるものだと思い、今回は完全に私のミスなのでドライバーに感謝の意味を込めて小額ながらもチップを渡そうとすると彼は笑顔で
「そんなのはいらないよ、無くした物を頑張って探してきなよ。ここで待ってるからさ!」
『・・・・』
『あぅぅぅぅぅ~・・・(涙)』
『なんて・・・なんていいヤツなんだ・・・!!』
私は『グラシアス(ありがとう)』と答え税関へ。
しかし・・・
そこにもない・・・
これで可能性は消えた・・・
どうやら私は大切にしていたノートを・・・失ったようだ・・・
ボリビア最終日でのトラブル・・・そして慌てふためくかの様にチリへ、そこで速攻で両替をしてチケットを買い次の場所へ・・・
私はいついかなる時も「自分を第一者的に主観的にみる」スーパープロフェッショナルの筈なのに・・・
こんな・・・こんな大事なものをなくすとは・・・
ドライバーの態度を見る限り彼が盗むなんて考えられない。そうなると税関で荷物検査した後で置き忘れ・・・誰かが持っていったとしか考えられない・・・
無くしようのない物が無くなった時・・・
誰かに持っていかれたぐらいしか残された可能性は無い・・・
それにこれだけ探して見つからないのだから・・・
もうう諦めるしかないだろう・・・
市内に戻ってドライバーと代理店にお礼を言う。
無くしたものは見つからなかったが彼らの態度は称賛に値する。こんな応対をしてくれた所は今までに無かった・・・
もう時間は1700時を過ぎている。これから移動するとカラマに着くのは1900時前後、その時間から宿を探してというのはちょっともうやりたくない。ツアー後動き続けていたので休憩が必要だ。
私は両替をして、ホテルを取る事にした・・・
アタカマは砂漠の町なので日中は寒くは無いが、これまでのツアーでろくにシャワーも浴びていないし、それに服も洗濯をしたい。それに大事なノートを無くしたショックもある。シングルでのんびりすることが必要だった・・・
ホテルはシングル・シャワー・トイレ付で値切って8000ペソ。大体1700円ぐらいだろうか?ボリビアでは800円ぐらいで同じクラスの宿に泊まれていたので物価の高さを感じる。
それにホテルの説明だとホットシャワーは1900時頃まででそれを過ぎると出なくなるということだ。
今の時間ならすぐに浴びるのが最善の策だろう・・・
そしてプエルトモン発のフェリー、今日中にサンティアゴまで行く夜行バスにでも乗れてればまだ望みがあったのだが・・・もう諦めてもう1週間後のやつにのるか?物価の高いチリを早めに抜けたかったが・・・あのノートを無くしてしまったから精神的ダメージは大きい。立ち直るには時間が必要だ・・・
しかしそれにしても・・・
『ふぅぅ~・・・・・』
溜息しか出てこない・・・
私はゆっくりと服を服を脱ぐ。
『誰かが・・・誰かが私の大事なノートを・・・どうせ見てもすぐに捨ててしまうだろうに出来心でもっていったのに違いがない・・・』
そう考えなければこのマジックは解き様がないのだ。
しかし忌々しい、それもこれもツアー最終日の朝、プリモ達が酔っ払い出発がドタバタになったからその後の行動がどっかちぐはぐになり、この"ミスター・パーフェクト"と呼ばれる隙の無い私ですらどこか歯車が狂わされてしまったからこんな目に遭っているのだ!!
ボリビア人・・・インディヘナ・・・許すまじ・・・
そしてメインバッグを開け着替えを・・・
『・・・』
『・・・・・・』
『んっ??』
『ありゃりゃりゃ???』
『ノートが・・・ノートがメインバッグの下の方に・・・!!』
『あっ!あるではないか!!(嬉)』
しかし何故こんな所に・・・???
記憶の糸をもう一度手繰り寄せてみる・・・
そう言えば税関で荷物をあけた時に、メモを何気なしに開けたメインバックの上においてそのままチャックを閉めたような・・・
それ以外・・・それ以外に・・・
このマジックの解き様はないのだ!!
しかし、これは嬉しい出来事だ。今度は落胆ではなく安堵の溜息を大きくつき、そして顔はほころびシャワーを浴びる事となった・・・
全てが完全に私の自爆であったとしても・・・・
問題は・・・今完全に解決を迎えたのだ!!
シャワーを浴び終わる頃・・・私はこの町が好きになっていた・・・
サンペドロ・デ・アタカマのメインストリート
第7章 エピローグ・・・
それにしても・・・
今回のツアーからまつわる一連の騒動・・・
私のツアー運の無さを証明したかのようなボリビア人のチリ抜けツアー。
最終日の前日、それもよりによって朝早く出発しなければいけない肝心な瞬間に飲みすぎで動けなくなるまでパーティーするなんて・・・
他所では先ずありえない出来事だ。
恐るべし奴らよ・・・
ボリビア人、インディヘナドライバー・・・
やはり奴等はんぱねぇ~・・・
そしてもっとありえなかったのは・・・
あった物を無くしたと勝手に思い込んでツアー会社や税関まで巻き込んで探し続けたこの「プロフェッショナル」にあるまじき"アルツハイマー振り"だったという事は・・・
なるべくは隠しておきたい事実であろう・・・
サンペドロ・デ・アタカマに到着した時・・・
私はもう次の行動を決めていた。
『19日にプエルトモンを出発するフェリー、これに挑戦してみることにしよう。それには速攻でここを抜け、近くのカラマへ。ここはそこそこの都市だからサンティアゴにも多くの便が出ているだろう。それにサンペドロ・デ・アタカマはチリでも有数の観光地。物価の高いチリでさらに物価の高いここにいるより、今日サンティアゴ行きの便が取れなくてもまだカラマに一泊したほうがいいだろう。それにここはあまりにツーリスティック過ぎる・・・どうも気に入らない町のようだ・・・』
サンペドロ・デ・アタカマの中心、アルマス広場脇のカテドラル
さらに悪いことに町にあるたった2台のATMが両方とも使えない。一台は完全に故障、もう一台は動いているけどお金が下ろせない、お金が入っていないようだ。
ガイドブックにはここでの両替はレートが悪いと書いてあるので今後の動きも併せてここである程度のまとまった額をおろそうと考えていたのにあてが外れた感じだ。
仕方が無いのでカラマでお金を下ろす事にして、ここでは最低金額を両替。バス会社に行って1415時発のカラマ行のチケットを購入する。
現在時1300時、やる事も無く狭い町なのでぶらぶらと観光する。
ツアーが終わった直後に・・・さらに長距離を移動することになるがまあこのあたりはいいだろう。サンティアゴですこしは骨休めをすればいいだけの事だ・・・
今はとにかく急ぐ事、これが重要だ・・・
1400時には観光を終えバス会社の前に到着。
タバコをゆっくりとふかし、そういえばと荷物にいつも入れているメモを取り出そうとする・・・
そう、知る人ぞ知る「ゴルコノートミニ」。
これがその写真
殆どの人が今始めて知ったような気がしないでもないが・・・
私はパスポートサイズの薄いカレンダー形の手帳を常にサブバッグに入れ、日付欄にはその時いた場所や移動した時はその移動を、訪れた国やその日数、訪れた順序等も、そして両替やATMで引き出したときはその金額を、さらに知り合った旅行者からアドレスをもらう時など常に利用しているものだ。
ダイジェスティックとは言いながらも別につけている日記を最悪紛失した時にもこれさえあれば大まかに思い出すことは可能だし、それに一覧になっているのでいつ何処にいたのか一目瞭然であるので非常に重宝しているのだ。
そしてこれを小さい透明のチャック付のビニールケースにペンやメモ、電卓等と一緒に入れいつでも取り出せるようにしているのだ。
こんな感じです。
出発まで間がないとは言え・・・さっきまでのウユニツアーや今の両替など忘れないうちに記載しておいた方が賢い選択だ・・・
『・・・』
『・・・・・・???』
『あっ、あれっ???・・・ノートが・・・・ノートが・・・』
『どっ何処にも・・・なっ無いぃ~!!』
私はひっくり返すようにサブバッグの荷物を全部出す。
左がサブ、右がメイン。もちろんキャスター付!だってエレガントですもの・・・
思い返すと今日サブバックをあけたのはチリ抜けのバスに乗ってからガイドブックを出した時、そして税関で見られた時、さらにそこからまたマイクロに乗って市内に着くまでの間、ガイドブックをしまった時ぐらいだ。そして私はその時確かに手帳を確認しているのだ・・・
ケースに入れているので・・・まずあれば気づかない訳が無い!!
だが、ポケットも確認したがそこにもない・・・バッグも再度見てみたが・・・やはり無い・・・
一瞬にして顔が青ざめる・・・
確かにこの手帳は日記から再度起こしなおすことも可能だが・・・今回については気が向いた時に切手をかってこのノートの上に貼り付けるという今までに無いことを始めていたのでそれが無くなるのも惜しいし何よりもまた作るのは面倒くさい。日本と同じクオリティーの物が手に入るかどうかもわからない・・・
しかし、こういう時こそ冷静になるべきだ。
紛失した場所を考えると先ほどのタイミングでしかサブバッグは開けていないし、そうなると考えられるのはミニバスに乗っている時にその中で落としたか、それか税関の時だ。これ以外にはありえない。
そうなると答えは簡単でとりあえずマイクロバスをあたり、それでだめなら税関に行けばいいだけだ。盗まれる可能性は低い、私にとっては大事なものだが基本的には価値の無いものだ。それにサンペドロ・デ・アタカマは物価の高さとツーリスティックなところは良くないが人は親切でまたチリは貧しい国ではないので盗まれる事もなさそうだ。
これも私の記憶力の確かさから来るものだ。ここまではっきりと憶えていられる私はやはりプロフェッショナルの名にふさわしい唯一のツーリストだろう・・・
私はとりあえずバスをキャンセルする。キャンセル料は払ったが大した事の無い金額だ。
出発が遅れるのは仕方が無いが、まあなくしたノートが見つかる公算が高い今、ノートの方が遥かに重要だ。
そしてマイクロバスの到着場所に行き、その代理店に聞いてみる。
だが、マイクロバスのドライバーは今休憩中で1600時になったらバスの所に行くのでそれまで待つようにといわれる。
『・・・』
まあいい、おそらく90パーセント以上の確率でバスにあるだろう・・・
それでダメなら・・・税関か・・・
1600時、代理店に行く。
代理店の人はドライバーに連絡を取ってくれる。バスはちょっと離れた場所に駐車しているようだ。
『ふぅ~・・・』
見つかった訳ではないが・・・
ほぼ大丈夫だろう・・・
『・・・』
『・・・・・・』
『へっ??ないって???』
私の顔色が蒼褪める・・・先ほどよりも問題にならないぐらいにより蒼く・・・
そうなってくると・・・税関か??
でも・・・そう言えばドライバーがチェックしたといっていたが・・・
何処まで細かくチェックしているのか??
疑うことは良くないが、ここは自分でも確認してみなければ・・・
私は代理店に食い下がる。どうしても自分でも点検させてくれと!!そしてバスの場所を確認すると「待て」と・・・
なんでもドライバーに連絡してバスをここまで持ってきてくれると。
『・・・俺のミスなのに・・・なんて親切なんだ・・・(涙)』
バスは5分ぐらいで到着。早速乗り込みバスの座席の下を覗き込むように点検する。
だが・・・私の予想に反してノートは見つからない・・・
『ここでなければ税関に行くしか・・・』
私は代理店とドライバーにそう告げると「乗っていけ!」と・・・
入国事務所まですぐ近く(車で10分ぐらい)だが歩くとなるとやはり遠い、そこにこの一言はあり難い・・・
私は貸切になったマイクロバスで国境へ・・・
私は行きだけ乗せてくれるものだと思い、今回は完全に私のミスなのでドライバーに感謝の意味を込めて小額ながらもチップを渡そうとすると彼は笑顔で
「そんなのはいらないよ、無くした物を頑張って探してきなよ。ここで待ってるからさ!」
『・・・・』
『あぅぅぅぅぅ~・・・(涙)』
『なんて・・・なんていいヤツなんだ・・・!!』
私は『グラシアス(ありがとう)』と答え税関へ。
しかし・・・
そこにもない・・・
これで可能性は消えた・・・
どうやら私は大切にしていたノートを・・・失ったようだ・・・
ボリビア最終日でのトラブル・・・そして慌てふためくかの様にチリへ、そこで速攻で両替をしてチケットを買い次の場所へ・・・
私はいついかなる時も「自分を第一者的に主観的にみる」スーパープロフェッショナルの筈なのに・・・
こんな・・・こんな大事なものをなくすとは・・・
ドライバーの態度を見る限り彼が盗むなんて考えられない。そうなると税関で荷物検査した後で置き忘れ・・・誰かが持っていったとしか考えられない・・・
無くしようのない物が無くなった時・・・
誰かに持っていかれたぐらいしか残された可能性は無い・・・
それにこれだけ探して見つからないのだから・・・
もうう諦めるしかないだろう・・・
市内に戻ってドライバーと代理店にお礼を言う。
無くしたものは見つからなかったが彼らの態度は称賛に値する。こんな応対をしてくれた所は今までに無かった・・・
もう時間は1700時を過ぎている。これから移動するとカラマに着くのは1900時前後、その時間から宿を探してというのはちょっともうやりたくない。ツアー後動き続けていたので休憩が必要だ。
私は両替をして、ホテルを取る事にした・・・
アタカマは砂漠の町なので日中は寒くは無いが、これまでのツアーでろくにシャワーも浴びていないし、それに服も洗濯をしたい。それに大事なノートを無くしたショックもある。シングルでのんびりすることが必要だった・・・
ホテルはシングル・シャワー・トイレ付で値切って8000ペソ。大体1700円ぐらいだろうか?ボリビアでは800円ぐらいで同じクラスの宿に泊まれていたので物価の高さを感じる。
それにホテルの説明だとホットシャワーは1900時頃まででそれを過ぎると出なくなるということだ。
今の時間ならすぐに浴びるのが最善の策だろう・・・
そしてプエルトモン発のフェリー、今日中にサンティアゴまで行く夜行バスにでも乗れてればまだ望みがあったのだが・・・もう諦めてもう1週間後のやつにのるか?物価の高いチリを早めに抜けたかったが・・・あのノートを無くしてしまったから精神的ダメージは大きい。立ち直るには時間が必要だ・・・
しかしそれにしても・・・
『ふぅぅ~・・・・・』
溜息しか出てこない・・・
私はゆっくりと服を服を脱ぐ。
『誰かが・・・誰かが私の大事なノートを・・・どうせ見てもすぐに捨ててしまうだろうに出来心でもっていったのに違いがない・・・』
そう考えなければこのマジックは解き様がないのだ。
しかし忌々しい、それもこれもツアー最終日の朝、プリモ達が酔っ払い出発がドタバタになったからその後の行動がどっかちぐはぐになり、この"ミスター・パーフェクト"と呼ばれる隙の無い私ですらどこか歯車が狂わされてしまったからこんな目に遭っているのだ!!
ボリビア人・・・インディヘナ・・・許すまじ・・・
そしてメインバッグを開け着替えを・・・
『・・・』
『・・・・・・』
『んっ??』
『ありゃりゃりゃ???』
『ノートが・・・ノートがメインバッグの下の方に・・・!!』
『あっ!あるではないか!!(嬉)』
しかし何故こんな所に・・・???
記憶の糸をもう一度手繰り寄せてみる・・・
そう言えば税関で荷物をあけた時に、メモを何気なしに開けたメインバックの上においてそのままチャックを閉めたような・・・
それ以外・・・それ以外に・・・
このマジックの解き様はないのだ!!
しかし、これは嬉しい出来事だ。今度は落胆ではなく安堵の溜息を大きくつき、そして顔はほころびシャワーを浴びる事となった・・・
全てが完全に私の自爆であったとしても・・・・
問題は・・・今完全に解決を迎えたのだ!!
シャワーを浴び終わる頃・・・私はこの町が好きになっていた・・・
サンペドロ・デ・アタカマのメインストリート
第7章 エピローグ・・・
それにしても・・・
今回のツアーからまつわる一連の騒動・・・
私のツアー運の無さを証明したかのようなボリビア人のチリ抜けツアー。
最終日の前日、それもよりによって朝早く出発しなければいけない肝心な瞬間に飲みすぎで動けなくなるまでパーティーするなんて・・・
他所では先ずありえない出来事だ。
恐るべし奴らよ・・・
ボリビア人、インディヘナドライバー・・・
やはり奴等はんぱねぇ~・・・
そしてもっとありえなかったのは・・・
あった物を無くしたと勝手に思い込んでツアー会社や税関まで巻き込んで探し続けたこの「プロフェッショナル」にあるまじき"アルツハイマー振り"だったという事は・・・
なるべくは隠しておきたい事実であろう・・・