ゴルコサーティーワン!その激闘の記録!

この世界は・・・
”チキン”だけが”生き残る資格”
を持っている・・・

第24話 ビター・ブラック前編(舞台国:ハイチ)

2008-09-14 22:54:55 | 第24話 ビター・ブラック
あらすじ


 アンティグア・バーブーダを終え、ドミニカ共和国へ到着したプロフェッショナル・デューク東城。さらなるターゲットはカリブ海唯一陸路で行ける国ハイチ・・・
 世界最初の黒人共和国にしてラテンアメリカ最初の独立国であるこの国は、その政情不安定で治安が悪い事と共に西半球最貧国ともして知られ、また国教はブードゥー教と今までのリゾートティックなカリブ海の国々とは明らかに趣を異にしている・・・

 果たしてこのハイチ、首都ポルトープリンスの狙撃はなるのか?


 どうする!ゴルコサーティーワン!!



プロローグ

 ハイチ共和国。

 この国の歴史は古く、1804年、時の指導者デサリーヌが「白人はこの国から出て行け」と宣言し、世界でも黒人初の共和国を宣言したことから端を発する。
 だが、その後の失政から政治的混乱は続き、現在では西半球最貧国とも言われ、また治安の悪さも悪名高い。ここ最近では白人旅行者や現地滞在員の誘拐や殺害なども起きている。
 また経済的な混乱もあり、私の知人で数ヶ月前にここを訪れたある旅行者はマニュフェスト(物価高騰にたいする抗議運動)にあたってしまい、帰国のバスに乗れず飛行機での脱出を余儀なくされている。
 不安材料はこれだけではない、当初まったく気にせずにフライトチケットを抑えていたのだが9月は雨季、それもハリケーン最盛期でカリブ海もジャマイカやキューバ、そしてここドミニカ共和国やハイチにも被害は及んで甚大な損害が出ているのだ・・・

 この国の狙撃を甘く見るわけには行かない・・・

 最悪ストッペイジ・オーダー(中止指令)も出さなければならないだろう・・・



第1章 ドミニカ共和国到着

 2008.09.11(木)

 アンティグア・バーブーダからフライトでドミニカ共和国、首都サント・ドミンゴ郊外のラス・アメリカス国際空港に到着したのは昼過ぎだ。

アンティグア・バーブーダで搭乗したリアットの飛行機。アイランドホッピングで散々利用してきたこのリアットもこれで最後


 途中で通過したプエルトリコ(アメリカ領)の上空


 そしてこれがドミニカ上空


 海岸線は綺麗だが内陸に入ると雲があたかも艦隊のように上空にかかっている。
 

 そしてラス・アメリカス国際空港(ドミニカ共和国)



 アンティグア・バーブーダを終え、東カリブ海全ての国の首都を制覇した今、もはや「イースト・ブルー」の覇者、「ロロノアのプロ」と呼ばれるようになったこのデューク・東城であるが、まだ今回の「ワン・ピース(ひとつなぎ)」の冒険は終わっていない。

 到着したこのドミニカ共和国ともう一つ、同じ島を二つに分けているもう一つの国、カリブ海で唯一陸路で行けるハイチを終え、始めてこのグランラインの冒険の幕を閉じれるのだ!!

 とはいいつつも、私の知人でハイチを陸路入国後にマニュフェストによって飛行機でのドミニカ帰国を余儀なくされたと言う例もあるのでまずはフライトチケットを確認すると往復で300USドルは超える・・・


 『これは・・・一度市内に出てバス会社にいって料金を確認してから判断する必要があるな・・・』


 私は市内に出て宿を取り、バスのチケットオフィスへ向かう。

 バスも厄介で3,4ヶ月まえぐらいに訪れた旅行者や情報ノートに書いてある情報では週2便と聞いていたが、現在は毎日運行されているという。これは追い風だ。それにハリケーン、直撃したのはどうやら北部で南部にある私の狙撃ターゲットであるポルトープリンスは大丈夫のようだ・・・

 料金は往復で約8400円、これに行きに26ドルと100ペソ(ドミニカの通貨単位、約350円)、帰りに28ドルと100グル(ハイチの通貨単位、約280円)が出入国税やビザでかかるという話だ。

 決して安い金額ではないが・・・

 これならば“買い”だろう・・・

 そもそもドミニカ共和国の出国はもう9月19日と決まっている。ハイチ・・・、様々な情勢を考慮すると中一日で首都狙撃をピンポイントでやるのが利口な判断というものだ・・・


 私は2泊3日の予定にしてチケットを購入し、ホテルに戻る。


 明日はいよいよハイチだ・・・

 
 サントドミンゴ旧市街の中心コロンブス広場。それとチケットを買いに行く道の途中にあった自転車店の看板。なんか気に入った。
 



第2章 ハイチ入国

2008.09.12(金)

 バスの出発は1100時、ハイチの首都ポルトープリンスまでは大体6,7時間なので向こうの到着は夕方だ。
 私は当初首都であるポルトープリンスに到着すると思っていたが実はそうでなく、首都ポルトープリンスから20Kmぐらい離れている首都の山の手にあたる高級住宅街、ペチョンビル地区に着くということだ。

 首都ポルトープリンスの治安の悪さが名高いのでそれよりも安全なここにバス会社も拠点を持っているのだろう・・・

 これがその国際バスCARIBE TOUR、ちなみに食事付
 


 バスは順調に進み1530時にドミニカ国境へ到着。

 それにしても今までのカリブ海の島国と違って桁外れの大きさだ。

 ドミニカ共和国人口約1000万人、総面積は九州と高知県を足した大きさで。ハイチで人口約800万人、総面積は四国と九州を足しで2で割ったほど、これが一つの島国で2つの国家を形成しているのだから移動に時間がかかるのも仕方が無いだろう。

 ドミニカのイミグレで手続きを終える。といってもパスポートはバスのスタッフに預け、お金は乗る前にバスのオフィスで支払っているので基本的には顔を出して後は待っているだけだ。待つのが苦痛だが面倒は無い。

 ドミニカ共和国のイミグレ前、そしてあのゲートを越えればそこはハイチ・・・
 

 手続きに30分以上かかったがゲートがオープンし、ハイチへ入国。

 いよいよ今回狙撃予定の最後の国へのにゅうこ・・・



うぁっ!!



 国境を越えると同時に目にした光景。屋台が完全に水没中・・・
 


 ハイチ・・・最初に目にする光景がこれとは・・・


 中々に侮りがたい・・・



 イミグレはここから少し離れた場所だ。手続きを済ませてまたバスを乗り、ペチョンビルを目指す。

 道中は所々水浸しだ!ドミニカ共和国ではこんなことはなかったのに・・・

 道中



 脆弱なインフラ・・・水はけが悪く浮きになると簡単に水が溜まるのだ・・・

 途中で雨にもあった。




 ハイチの山の手に当たるペチョンビル地区に近づいてくる。

 んっ?


 山の手って・・・

 バスの中から目にした光景
 


 高級なのか?これが・・・


 バスは1800時にペチョンビル地区に到着。

 タクシーの運転手が安い宿を知っているぞとすかさず声を掛けてくる。

 知人から聞いた話ではタクシーのドライバーに適当に宿を紹介してもらえば30ドルぐらいであると聞いていたが・・・

 私は彼に色々と質問してみる、どんなホテルを知っているのか?そしてここから市の中心は?この付近にホテルはあるのか??等など。

 だが、彼の答えは首尾一貫している。「俺は安宿を知っている。君はここが始めてだから車が無いと無理だろう」と・・・


 私はこういった手合いを利用するのは好みではない。先ず、こちらの質問に答えようとせず、彼の希望だけそれを私に飲ませようといってくる。

 こうした会話にならない相手のいうことを聞くのは例え相手の言うことがあっていたとしても気に入らない。

 山の手とはいえここはハイチだ。治安に補償はない。それに私がここでするのはたった2泊だ。

こういう時はタクシーを利用してさっとホテルを決めてしまうのがベターと分かってはいるが・・・

好みでないタクシードライバーに身を任せて彼の言うなりにホテルを取るのは癪でしかない。

私はしつこく食い下がってくる彼に「歩いて探すからいい」と告げバス停を後にする。

地図も無く、あてずっぽうに中心にあるという広場を目指す。

最初に500円ぐらいの安宿を発見して部屋をみたが水は無く、そして部屋に鍵がかからないのでそこはアウト。
その安宿に教えて貰ったホテルに行くとそこはモーテル、受付で待つ間に数組の明らかに売春婦とそのお客と思われる男が部屋に入っていく。
 普通に泊めれるとはいっていて、部屋も中々良かったがここは毎日昼一度出てまた会計してとなるので持っている荷物やそれに常に入れ替わる客層も心配の種だ。

 20ドルくらいで泊まれるそのモーテルを後にしてロンプラに乗っていた高級ホテルに向かう。そこの値段は1泊88ドル、私が値段を聞いて固まっているとフロントの男が「ここよりは安いよ」と宿を紹介してくれる。

 ロンプラにも載っているその宿は部屋は35ドルからだ。

日もくれて1900時を回っている、そろそろ宿を決めなければいけない。

 私はそこに向かうと壁に料金表が貼ってある。

 確かに35ドルから始まっているが35ドルの部屋は1室のみ、もちろん埋まっている。次に安い部屋は45ドル、数室あるので大丈夫かと思いきやそこもフル・・・

 結局開いてる中で最安は55ドル・・・


 セントクリストファーネイビスに次ぐ大出費だが・・・


 もう夜になる今、治安が悪いと言われるこの国、これ以上この中を歩き回って宿を探すのは得策ではない。
 それにここにいるのはたった2泊だ。

 私は意を決してその宿に泊まることにする。

 
 私は宿に泊まると直ぐにスーパーに買い物に出る。

 明かりがついているのは自家発電機を持つ家のみで後は街は完全停電都市だ・・・・

 高級住宅街に当たるこのペチョンビルであってさえこのていたらく・・・


 ハイチ・・・いずれにせよ、今私はその始まりを迎えたのだ・・・