ゴルコサーティーワン!その激闘の記録!

この世界は・・・
”チキン”だけが”生き残る資格”
を持っている・・・

魔の罠の潜む時・・・Ⅱ(ボリビア→チリ)

2008-05-14 07:08:52 | 第22話 魔の罠の潜む時・・・
第5章 魔の罠の潜む時・・・!!



2008.05.14(水)

 今日の起床は0400時だ。最後の日はドミトリー、同じツアーのメンバーと一緒なので彼らの起きる時間に併せる形となる。

 0500時までに全員準備を終える。後はプリモ(ツアーのドライバー)を待つばかりだ。

 しかしそれにしても朝は寒い、部屋から外に出て吐く息は白い。

 他のメンバーは部屋から出ようともしていない・・・

 そして待つこと30分、プリモは来ない・・・

 1時間・・・プリモはまだ来ない・・・

 (どうした事だ・・・出発は0500時、遅くても0530時には出ると昨日プリモは言っていたのに・・・)

 他の部屋に居る他の客を見ていると彼らも待たされているようで一組たりとも出発はしていない・・・


 (何かトラブルか・・・私のグループでないことを願うばかりだ・・・)


 朝の気温は本当に寒い、温度計は零下15度ぐらいになり、中にいてさえ足のつま先がどんどん凍っていくような感触だ。


 さらに1時間、時刻は0700時・・・

 ようやくプリモが到着する。

 スペイン語が話せるデビット(同じツアーのメンバー、若いドイツ人男性)が彼によってなにやら話している・・・



 ふむふむ・・・

 なになに・・・


 「仲間の車の一台が故障して、その面倒を見れる人間の一人が俺だから・・・ちょっと時間がいる・・・」

 という内容だ・・・

 とりあえずは私の車に問題は無いようだ・・・

 そしてデビットがまた何かを問いただしていると・・・

 プリモは「トランキーロ、トランキーロ(落ち着いて)」

 といいながらなにやらふらふらとよろけている・・・

 デビットの顔も険しく変わっている・・・


 『???』


 そしてなにやらデビットは怒り気味にこちらに来る・・・


 私が彼に説明を聞くと・・・


 「彼は他の車が故障して動けないといっているが・・・見ただろう?彼の足取りを・・・アイツは酔っているんだぜ!!それに・・・遅れたことに対して"落ち着いて"といってくるだけで全く謝ろうともしていない。俺たちはもう2時間、この寒い中待っているのに・・・!!」




 『???』



 『・・・!!!』



 『へっ!!!???』



 『そんなオチってありなんですか??』



 さらに色々他の人間にも聞いてみると・・・


 "何でもドライバーたちが集まってパーティーをして朝の0400時まで飲んでいたらしい"という事が判明したのだ!!



 『・・・』




 『・・・・・・・』



 『おおっ!!プリモよ!!昨日までのあの素晴らしかったガイド振りは何処にいったんだ??最終日・・・それも一番大事なこの出発の瞬間に・・・酔っ払っていて運転が覚束ないなんて??そして私は・・・私は一体今日チリに抜けられるのでしょうか???』

 

 しかし、ここまで順調すぎる程に順調に来ていたこのツアーに・・・


 こんな"罠"が仕掛けられていたとは・・・


 まさか最終日前日の、それも朝早くなる夜に宴会を開き、その挙句ドライバーが酔っ払って出発できなくなるとは!!


 
 流石のこの"プロフェッショナル"も・・・


 これは・・・こんな事は読めなかった・・・


 ニューバージョンのトラブルだ・・・
 

 恐るべしはボリビア・・・インディヘナの血か・・・!!

 
 ここはある意味"アフリカ・スタンダード"と言っても良いだろう・・・


 
 そうこの肝心な瞬間に・・・


 恐るべき”魔の罠”が我々の前に立ちはだかっていたのだ!!





 とりあえずデビッドは食事をして、ドライバーが落ち着いてから出発したほうがいいだろうと提案し朝食を摂る事になった。


 これがそのキャンプ場


 時刻はもう0800時近く・・・


 プリモの様子を見に行くと椅子にこそ腰掛けているもののぐったりといった感じだ。


 (これはまったく使い物にならん・・・)



 しかしこうなってくるとここで更にもう一日滞在か??


 それも馬鹿馬鹿しくて考えたくない選択肢だ・・・


 だが・・・


 私がそうこう思案しているとデビットが来て私にこう提案してくれる

 「いま同じツアー会社の違うツアーで来ている他の車両を当たったら向こうは一人だけウユニに戻り、他の4人はチリに抜けるそうだ。そしてあっちのドライバーも酔ってるけど大丈夫そうだぞ。デューク、もし良かったらメンバーを交代して君はチリに抜けた方がいいだろう」

 と・・・


 渡りに船だ・・・


 他に良い選択肢などありようもない・・・


 私は彼の提案に感謝し、メンバーのスイッチを受け入れ新しい車に向かう。

 時刻は0800時を少し過ぎたあたり、リカバーは十分利く範囲だ。

 新しいメンバーに簡単に挨拶をして乗り込む。


 ドライバーは駐車場から車道に車をバックさせて出す。


 そして車道に出てすぐ・・・


 「ゴンッ!!」


 という鈍い音が・・・


 後ろを振り返ると早速道路上に停車してあった車にぶつけていた・・・!!


 『は~ぁ~・・・・・・・・・』


 溜息しか出てこない・・・大丈夫そうといってもこのレベルとは・・・


 だが・・・ここはあくまでも行くしかないだろう。コイツに託して・・・



 最初のプチ衝突事故から少しは用心深くなったのか車は順調に進む。

 遅れから観光地がカットされるのか?と懸念されたがそれも何とか立ち寄っている。


 地面から噴出す"何か"(聞き忘れた、多分間欠泉??別府の温泉みたいなものかな)
 


 そして今度は湖のへりにある温泉。つかれると言われたが別に温泉好きでないので見てただけ。



 そして今日の観光のハイライト、ラグーナ・ベルデへ。

 色が緑に見えるこの湖は写真映えがするので今日のハイライトと言ってもいいだろう。

 ドライバーが国立公園の入り口で昨日買った入園のチケットを集めてオフィスに行って手続きをして、そして車に戻ってくる・・・


 『これがこの観光で最後に訪れる場所・・・、最後の最後でやらかしてくれたが・・・まあ綺麗な湖でも眺めて心を洗い流してからいよいよチリか・・・』


 私はツアー最後の観光に、この4日の全ての思いを込め、少し落ち着いて見ることに決めていた・・・

 車は我々を乗せ・・・


 何故か一目散に国境に・・・


 『!!!』


 慌ててドライバーに問いただすと

 「もうチリ抜けのバスが国境で待機していて君たちをまっているからここで止まって観光する訳にはいかないと・・・!!」

 『そうか・・・それならば仕方が無い・・・なんと言ってもチリに抜けないといけないからって・・・・馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁぁぁぁぁ~・・・!!』


 自分で勝手にパーティー開いておいて酔っ払った挙句に出発が3時間以上も遅れ、そして観光地をカットとは・・・!!

 だがこれまでにかなり湖を見続けていたので飽きていたことも事実だし優先順位は確かにチリに行く事だ。他のメンバーも不満は漏らしたが・・・しかたなくの同意といった感じだ。



 そのラグーナベルデを車窓から。どう緑かは良く分からない・・・




 四駆はそこから30分もしないでボリビア側のボーダーへ。もうすでに客を殆ど乗せたマイクロバスが待機して待っている。

 これが乗り換えた四駆とチリに抜けるマイクロバス。



 ドライバーは我々の荷物を四駆から降ろし・・・そそくさと逃げるように車を発車させ戻っていった・・・


 そういえば最後の最後まで・・・


 我々に謝罪の一言も言ってこなかったままに・・・


 ボリビア・・・別に好きとも嫌いとも思ってなかった国・・・


 諺に「終わりよければ全て良し」とあるがその逆を地でいった国・・・


 私はどうやら嫌いになってしまったようだ・・・


 チリ側のバスは素晴らしかった、添乗員の態度も良かったし、親切だ。

 1時間ぐらいでチリ側の町、サンペドロ・デ・アタカマにある入国事務所に到着、入国手続きをスムーズに終え、そして税関へ。全員の荷物を一応バッグを開けて点検したが日本国籍のパスポートを持つ私にはおざなりの点検で終わる。

 サンペドロ・デ・アタカマには1200時頃に到着・・


 何はともあれこれでツアーは終わったのだ・・・