プロフィール

東京在住。元メインフレーム系SE。
趣味は読書、絵画鑑賞、オーケストラ、小劇団演劇、最近宝塚にも…
そうそうカントリーダンスも始めました。
当ブログはTwitterのlogになっているため、セカンドブログで自筆しています。
よろしかったらご覧下さい。
http://ameblo.jp/laladuets/

施設長が後方支援してくれた

2009-02-01 23:39:35 | 明日は我が身(介護・老後)
日曜日は叔母を訪問する日だ。
叔母が好きな洋菓子(今日は抹茶プリン)と、施設のスタッフへ茨城みやげのお菓子を用意して出掛けた。

事務室の施設長さんに声をかけて、茨城のグループホームの件を手短かに報告をしたところ、「実は金曜日に弁護士さんから電話がありましてね」と。
叔母の成年後見が決まったので、施設との契約をDさんから自分に変更します。 それから施設の退居手続きを具体的に教えてください、と申し入れがあったらしい。

契約者の変更は手続きがたいへん面倒です。 ここに継続して入居をするのであれば契約者変更を考える必要もあるでしょうが、近々退居されるご予定なんでしょう? 契約は今のままでよろしいんじゃないですか。
叔母さまの退居については、受け入れ先の目処が立ち、双方の介護スタッフ間で引き継ぎを行い、医療面の受け入れ体勢も整った上で、そこで退居日を決めることになります。

グループホームへの入居については、叔母さまの現在の状態から判断して、向こうの施設が受け入れを断る可能性が高いと思います。 はっきり言いますとグループホームの生活についていくだけの能力をお持ちではないからです。
現在叔母さまが生活していらっしゃるフロアは、グループホームで生活することができなくなった方がお暮らしになっていて、叔母さまも丁度そのレベルなのですよ。

「わたくし、このようにきっちり申し上げました。」 施設長さんはきりりと言った。
弁護士の反応を聞いたところ、「あら、そうなんですか、断られる可能性があるんですね。 わかりました、その時は次を探します」
と、軽いノリで返事があって電話を切ったそうな。

~~~~~~
これはわたくしの勘ですが、弁護士は無理を承知の上でやってますね。
わたくしがビビって弁護士のいいなりになればラッキー、反発してきたら次策を考える。
これがこの人のやり方なんでしょう。
さて、次は何が起きるのかしらね。

叔母は抹茶プリンが気に入ってたいへんご機嫌でした。


デュエット、ハイジを訪問す

2009-01-31 20:09:39 | 明日は我が身(介護・老後)
今日は茨城まで行ってきました。
茨城へは何回も行っていますが、ひとりで行ったのは初めて。 往復の全行程を運転したのも初めてです。

『各地で強い風雨 発達中の低気圧が東海沖を北東に進んだ影響で、東北から東海にかけての広い範囲が31日朝から強い風雨に見舞われ、鉄道の運休や道路の土砂崩れなどの被害が各地で相次いだ。(読売オンラインニュースから、画像も)』

私が運転をしている時間だけは雨も小降りで風も強くなかったんですよ。
やっぱり、日頃の行いがいいんだろうなぁ~(自画自賛)


でも、グループホーム・ハイジへ着いたときには車から建物へ歩けないほどの強風で、玄関脇のフェンスにつかまって伝い歩きするありさまでした。(この写真はハイジではありません、WEBで見つけたものにモザイクをかけています)

叔父はハイジを気に入っていて、妻(叔母)をここへ転居させたいと考えています。
2時間半、管理者のKさん、ケアマネージャさんとお話しをしました。
今は私がめんどうを見ている叔母が(といっても、やってることは傾聴ボランティア程度ですが)、このホームで暮らしていけるかについて。

認知症グループホームの本旨は、「認知症の方が小規模な生活の場で少人数(5人から9人)を単位とした共同住居の形態で、食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担軽減に資することにあります。 (全国認知症グループホーム協会ホームページより)


グループホームは終身型の施設ではありません。 グループホームの主旨に添った共同生活ができる期間だけなのです。 いずれは次の段階の施設に移ることを前提としています。
現在叔母が入居しているホームは終身型なのですが、ハイジにお引っ越しをしても一生住むことができません。

「叔母さまはグループホームに入居する時期を過ぎているように思う、終身型の施設を選んだ方が良いのではないか。 叔母さまの身体的状況がグループホームの基準ぎりぎりであることを考慮すると、遠からず次の施設(例えば老健施設)に移っていただくことになる。
環境の変化は高齢者にとっては耐え難いものなので、施設を転々とすることは望ましくない。
今の施設にそのままお住みになるのが最善の選択で、次善としては(転居の必要がない)終身型の施設に転居することではないか。
どちらにしてもハイジが叔母を受け入れるかどうかは微妙なところなので、さらに検討を重ね、叔父の代理人である弁護士ともよく話しをしてみましょう。」
(以上、ハイジの管理者さんのコメントです)

~~~ちょきちょき~~~
11月に叔父が叔母を訪問したとき、叔父のケアマネージャが同席しています。
その人が「すみれ叔母さまはたいへんお元気で、自立歩行もされ、共同生活も十分にできる状態ですから、グループホームがぴったり」と進言したとのこと。

叔父は30分程度しか居なかったのに、同席したケアマネージャがそこまで見抜けるとは驚き・・・桃の木山椒の木(って、昔言いましたよね)だわ。

叔父は介護度が上がって、要介護3になったとか。
「自宅でお一人で暮らしているとお聞きしていますが、大丈夫ですか」
いいえ、大丈夫だとは思いません。
「おふたりで終身型のホームに入居されるのが一番よろしいのにね」
そうなんですよ。。。


忘れっぽい天使

2009-01-25 20:47:00 | 明日は我が身(介護・老後)
忘れっぽい天使に額縁を買ってあげました。

日曜日の午後、いつもの通り叔母を訪問しました。
施設長から声を掛けられて、叔母の転居について雑談モードで会話。

転居先のグループホーム「ハイジ」の介護方針に、叔母がついて行けるかについては、なかなか微妙なところですね。
ホームページで内容を拝見させていただきましたが・・・

~~~ちょきちょき~~~
叔父は、叔母がハイジへ入居することは決定事項だと考えているから、矢の催促をして来る。 なぜ転居時期を引き延ばすのか、早くしろ。

叔父がそう思うのはしかたがないが、弁護士もハイジへの転居は決まったこととして
「今までお世話をしてきたデュエットさんが踏ん切りがつかないのは理解できないこともないので、見学はされたほうがいいでしょうね。 それが終わったら早速時期を決めて・・・」
弁護士としては、まずは叔母の身柄を確保して叔父の気持ちをなだめ、そうすると私とも縁が切れるので、あとは様子を見ながら進めていこう、という方針でしょう。

ただし、ハイジの管理者は
「叔母さまの状態を見ないとなんとも言えません、叔父さま、弁護士さんにも受け入れを決めたとはお話ししていないんですよ」と言っております。

~~~ちょきちょき~~~
叔母はわたしの顔を見た途端に
「わたしは行かない、どこへも行きたくない、家になんて帰らない!」と喚いて泣き出した。

家に帰りたい、ここから出たい、今日こそあんたと一緒に帰るから・・・ のパターンには慣れているのですが、これはどう対処したものか。
「いつになったら帰れるかわからない家には帰らないことにしました。 城山の家(叔母の自宅があるところ)に行くわ、そこでならひとりで静かに暮らして行けるから。 わかったでしょ!?」
ああぁぁ、わかっていないかも(汗)。



自立の基準

2009-01-17 01:49:17 | 明日は我が身(介護・老後)
すみれ叔母が自宅(茨城県)近くのホームへ転居することが決まっています。
叔父と、叔父の弁護士がそう決めて、わたしが同意しました。

「いいところが見つかったからすぐにお移ししたいので、手はずをよろしくお願いします」
12月の或る日、弁護士から書面が届きました。

「それはいくらなんでも無理でしょう。 受け入れ先との打ち合わせが必要です。 叔母の状態も聞かずに入居を決めるとは考えにくいのですが。 まず受け入れ先のホームをご紹介ください。 責任者にお目にかかりたいので」
そう返事をしたら
「夫婦は一緒に暮らすのが大切なことですから、そこをよく考えていただきたい」
やや的外れな回答が来て、それから連絡が途絶えました。

数日前に、転居先のホームと責任者を知らせる書面が届きました。
「デュエットさんが見学なさりたい旨は伝えてありますので、1月中にお願いします」
早速、転居先のホーム・・・そうですね、仮にハイジとしましょうか・・・にメールを送ったところ、責任者のKさんから電話がかかってきました。


30分ほどの会話でわかったことは、ハイジではすみれ叔母の入居希望については聞いているが、まだそこまでの段階だということ。
「叔母さまがハイジでお暮らしになれるか、判断をする必要があります」
そりぁ、そうですよね。

ハイジはグループホーム(痴呆対応型共同生活介護)です。
「痴呆症の方を対象とはしておりますが、ある程度自立されていることが条件となっています」
見守りによりある程度の日常生活ができること。
共同生活を送るのに支障がないこと。
医療機関への入院の必要がないこと。


叔母はギリギリの線だと思います。
ある程度の日常生活とはどの程度なのか。
帰宅願望が非常に強く、毎朝自室のすべての荷物をまとめて両手にぶらさげて、食堂へ出てくる。
叔母は重症の外反母趾があるために足のふんばりができません。 
平地のてすり歩行がやっとで、階段の昇降は無理。 
荷物をかかえると手すりが持てないため何度も転倒をし、今のホームではその対策として自室に荷物を置かない処置をし、叔母の荷物はすべてスタッフルームに置かれている。

一日中迎えのタクシーが来るのを待ち続け、姪のわたしが来るはずだから電話をして欲しいと頼み、椅子に座ってぼんやり待っているうちに疲れて眠ってしまう。
夜間は物盗られ妄想のため、スタッフのお世話になっている。
うーん、ハイジの基準に達していないような気がします・・・

~~~~~~
1月最終の週末にハイジの見学に行って、Kさんとお話しをする予定です。



かんちがい

2008-11-09 22:25:18 | 明日は我が身(介護・老後)
本日、叔母の定例訪問日。
叔母はリネン類を畳みながら(生活訓練)、入居者さんと談笑していた。
作業が終わると、わたしを見つけて近寄ってきた。 先週からの上機嫌が続いているようで気持ちが楽になった。

「こんにちは、木曜日はT叔父様がいらっしゃったそうですね」
叔母はきょとんとして首をかしげた。
「Tとは最近会っていないのよ、元気でいるの?」
予想通り、叔父とあったことは忘れている。

叔母の部屋で戸棚の中から叔父が持ってきた犬のぬいぐるみを取り出し、抱っこしてもらうと
「これはね、Tが出張へ行ったときにお土産に買ってきてくれたの。 わたしが好きなものをTはよく知っているから感心でしょう?」
とにっこりした。

このぬいぐるみは電池が入っていて、歩いたり吠えたりする幼児用のものだ。
叔父はどんな気持ちでこのぬいぐるみを選んだのだろうか。
叔母とぬいぐるみは見事に調和している。
これを選んだ叔父の眼力はたいしたものだと内心思った。

「これは柴犬の雑種で、わたしのお父さんが縁の下の炭入れの中に生み捨てられていたのを見つけて家で飼うことにしたドンでねぇ・・・器量の悪い犬だったけれと家中で可愛がったの。
でも空襲の時に行方不明になってしまってそれ以来会えない、どんなに辛い思いをしていることか・・・動物は口がきけないから可哀相、だからわたしは戦争は大反対なの」
叔母の話は予想外の方向へどんどん進んで、最後には「戦争は大嫌い!」と泣き出してしまった。

落ち着いた頃を見計らって、叔父に付き添って来た顧問弁護士について聞いてみると、初めは覚えていないと答えたが、急にはっきりした口調で
「そういえば女の人が居たような気がする。 Tはあの人と結婚するんでしょう? わたしはそれで構わないわよ、賛成!」

叔母は、自分は歳を取ったので叔父の世話はできない。叔父は別な人と結婚して新しい生活をしてもらえないかと考えている。
これはもう何ヶ月も言い続けていることだったので、叔父が女性と一緒に訪問したのを見て、結婚の挨拶に来たと思ったのだ。

~~~ちょきちょき~~~
時間をかけて、結婚相手ではなく弁護士であることを説明しました。
叔母が地元で暮らせるように手配をする人で、叔母の様子を見に来たのだと説明をしましたが、わかってくれたかどうか。。。



いいわけ

2008-11-05 18:53:31 | 明日は我が身(介護・老後)
1ヶ月前から胃痛があって、一日に何回かピリッと痛む。
市販の薬を飲んでいましたがどうも代わり映えしないので、1時間早引けして近所の消化器系の医院へ。 検査ができるところですね。
来週は、初めての内視鏡検査・・・

「検査まではキャベジンを飲んでいても良いですか?」
「それでもいいですが、薬を出しましょう」
検査までのつなぎにもらった薬。 アシノン錠を1日に1回。 ムコスタ錠を毎食後。

~~~~~~
今年の初めから父方の叔母夫妻の介護にかかわっています。
途中からは叔父に拒絶されたため、現在は叔母だけですが。

長門夫妻のドキュメンタリー番組をご覧になった方の多くが、素晴らしい夫婦愛だ、多少の問題があったとしても、最後まで寄り添って生きるほうが幸せだ、とお感じになったと思う。

私は結果として叔母夫妻を引き離してしまいました。 叔父は茨城の自宅で訪問介護を受け、叔母はわたしの家の近くのホームに入居しています。
長門夫妻とは少々事情がちがって、叔父はパーキンソン病があり、(周囲に見解の相違がありますが)多少の認知症もあります。 要介護2なのです。
叔母の認知症は軽度~中度で、要介護1。

要介護1なら、自宅で介護できるのではないかと思われるでしょう。
でも現実はそう甘くはないのです。
もう少し症状が進んで、緩慢でぼんやりした状態になったら、自宅介護も可能かもしれない。
今は認知症の周辺症状(問題行動)への対応で24時間の見守りが必要な状態なので、もしもわたしが住み込んで介護をしたとしてもかなり難しいと思います。

そんな叔母を叔父が引き取ったら、叔父の持病が悪化するのは目に見えています。
わたしは姪にすぎませんから、愛情(感情、気持ち)を優先する選択はできません。
「寿命を縮めてもいいから、好きなように生きればいいよ」
子供ならそれを言ってもかまわないけれど、姪の立場では言えない。

(叔母夫妻には息子がいますが、介護を拒否して姿をくらましています)

私に憎悪を抱いている叔父の気持ちはよくわかりますが、私は真犯人ではないと思うんですけれどねぇ。 叔父がまずまずの健康状態を保っているのは、叔母の介護をしなくて済んでいるからなんですが、それも理解できないし。

~~~ちょきちょき~~~
でも、老い先短い叔父と叔母に悲しい思いをさせたことには責任を感じています。
私の能力ではこれしかできなかったけれど、思慮が足りなかったのだろうなぁ。



昨日のショック

2008-11-04 22:23:03 | 明日は我が身(介護・老後)
雑誌の表紙に「はっちゃん」が居たので、激写した。

~~~~~~
昨夜は長門祐二夫妻のドキュメンタリー番組を、番組表は見ていなかったから本当に偶然見て、ショックを受けた。
それぞれの家庭の事情があるとはいえ、もう少し早く治療を始めていたらここまでは進行していなかったのではないかと・・・
ここはお子さんがいない夫婦だったと思う。
老夫婦だけの暮らしは、社会性がなくなることが多い。 決断が遅れたのはそれもあるだろうと思い、ウチも初老夫婦だから、まさに明日は我が身であることよ。

義妹のしいちゃんからも電話があって、最晩年のお姑様よりも症状が進んで見えるけれど、お薬と生活療法を始めればかなり回復するのではないかとの見解。
(数年前に徹子の部屋で対談をしている様子を見て、しいちゃんも私も病気が始まっているのに気づいた。)

さてと。
Blogはこれくらいにして、叔父の弁護士に週次報告を書きましょう。

今週は木曜日に叔父が叔母を訪問する。 わたしは叔父から絶縁(というより憎悪)されているため、顔を出してはいけないと弁護士から釘を刺されています。
来週は叔母の成年後見の件で(叔父が、弁護士を叔母の後見人に選任し、家裁に申し立てをしたため)、家裁の調査官から調査を受けます。
小室哲哉とそう変わらない立場かも。(笑)




ひとり暮らししたい

2008-10-18 20:10:36 | 明日は我が身(介護・老後)
明日から出掛けるため、叔母の訪問を一日早めた。
月曜日(10/13)は荒れに荒れていたから、中4日でどうなったかとドキドキしながら会った。
よくありませんでしたね。 鬱が強い。
これではスタッフも扱いに困っていることでしょう。

恐ろしいことに、叔母はそのこともちゃんとわかっていて
「みんなが私を迷惑がり、不愉快に思い、馬鹿にして見ている。 ここから一刻も早く出たい、川があったら飛び込んで、崖があったら飛び降りて、私が死んだらあんたもセイセイするでしょう、私はあんたにとっては厄介者だから」

ひとつだけお願いがあるの。
叔母は戸棚を指さした。 わたしが死んだら、このぬいぐるみを火葬にしてちょうだい。
ここに入居するときにプレゼントした大きなテディベアが二つ。
(二つ? 叔母ちゃま、もうひとつはどこから持ってきたの?)

11月始めに叔父の訪問が決まった。
わたしは叔父からは義絶されているため、当日は職場待機して、叔父が帰った後に叔母が興奮し続けたときは、はせ参じることになっている。
「叔父さまがお出でになるから、おうちに帰る手はずを相談してくださいね」
喜んでくれたらと思い、そう話しをしたらひどく不機嫌になった。

Tと一緒に暮らすのはいやよ。
わたしはTの面倒をみたくないの。
向こうだってしわくちゃ婆と暮らすのはごめんでしょうよ。
Tは他の誰かと結婚して新生活を始めればいいのよ、わたしは猫と犬とで静かに一人暮らしがしたい。 それができないなら死にます。

叔父は80歳のお爺さんで、ほかでもない叔母と一緒に暮らしたがっていらっしゃる。 そんな切ないことを言ってはだめよ。
叔母はわたしを睨んだ。
「60歳のお婆さんなら来てくれるでしょうよ」
ははん、60歳のお婆さんっていうと私くらいか。(汗)

~~~ちょきちょき~~~
死にたいと言い続けた叔母でしたが、わたしが帰ろうとしたら
「ほんとうは生きたいの、あんたが私のささやかな望みを叶えてくれるならがんばって生きるわ」
3畳一間の小さな家に、猫と小犬を飼って誰にも干渉されずにひとり静かに暮らす。
これが叔母の希望です。
「むずかしいことじゃないでしょ?」
そうなんだけど、ねぇ。





認知症手強し

2008-10-13 22:29:57 | 明日は我が身(介護・老後)
今日はMはゴルフ、わたしは休み。
昼間は自由に過ごせるので何をしようかと思ったが、結局叔母を訪問することにした。

昨日訪問したときは叔母は少しいらついているように見えたが、明日も来るから「家に帰るのはその時にしたらどうか」と私が提案したら納得して、昔話をして楽しそうにしていた。
ところが今日は荒れに荒れていて、スタッフに対して泣いたり喚いたりひっかいたりの状態。 
あとを引き取ってなんとか落ち着かせようと努力したが、叔母は最後までその手には乗らなかった。

スタッフは「認知症があるといっても人間であることには変わりはなく、住み慣れたお家から離れて集団生活をするストレスもおありだし、不満も溜まっていらっしゃるのですから、ときどきはこうして(暴れて)ガス抜きをされたほうがいいんですよ」と理解を示してくれた。

夫ならすぐに分かってくれるのに、息子はこんなところに閉じ込められている私を見たらなんて言うだろう。
廊下にしゃがみ込んで叔母が泣いた。
「明日ここから出られなかったら、飛び降りて死にます。 Mとあんたはいい気味だと笑うんでしょうけれどかまやしない。 顔も見たくない、早く帰って、二度と来ないで」

ふう。。。


クリスチャン・ディオール

2008-09-30 00:05:06 | 明日は我が身(介護・老後)
これも叔母のところでのお話しなんですが。

森さん(90歳)から、「ねえねえ、化粧をしたいんだけど・・・」と、声を掛けられました。
唐突にたずねられたために何のことやらわからなかったのですが、森さんが持ち歩いているハンドバッグのことかと周囲を見回していたら、女性スタッフが返事をした。
「森さん、クリスチャン・ディオールの籠でしょう? お持ちしますよ」

なにが出てくるのかと期待していたら、スタッフは食堂のテーブルの上にピンク色のプラスティックの籠をぽんと置きました。
B4サイズの大きな籠です。

森さんはうなずき、イスに腰を掛けてテーブルに向かうと、まず籠の中から鏡を取り出してテーブルにセッティングした。
あら、本当にクリスチャン・ディオールだわ。
籠の中にはディオールの化粧品がぎっしり詰まっている。

「あのかたね、毎日朝と夕方にお化粧をなさるのよ」
叔母が袖を引っ張った。


毎朝ね、あのかたと、もうおひとりが長いことかけてお化粧をするの。
叔母は普通の人の声色で、ひそひそと教えてくれました。
叔母が目立たないように指さしたもうひとりの女性は、奈美さんと呼ばれている人で、わたしの見立てではこのフロアで一番の美女です。

森さんはスローな動作で、化粧水、乳液、おしろい、口紅と重ねていく。
手慣れたというよりは、無関心なのに手だけが事務的に動いていく、そんな風に見えた。
90歳になってディオール化粧品のフルセットを使ってメイクをしている森さん。 
化粧をしてもしなくても目立った変化がないのはご愛敬。

叔母はまるっきしのスッピン顔で、同じくスッピンのわたしを真正面から見つめた。
「わたしは自然顔派なの、だから、お化粧はしないの」
なるほど、うまい表現です。



絵手紙と写真

2008-09-29 00:57:07 | 明日は我が身(介護・老後)
いつもはバスと歩きで叔母のところに行っていますが、今日は足指故障中のためMの車を借りて出かけた。

到来物の巨峰を一房と、古い写真を10枚。
先週の叔母はホームのスタッフを自分の夫だと思い込んでいたので、古い写真で記憶を補正したい。

わたしが声をかけると、叔母はさぁ帰ろうと興奮していた。
「さっき塗り絵をさせられたの、わたしは絵が下手なのよ、こんなことをさせられるのはイヤ。 ここから出たい!ここから出たい!」
叔母が握りしめていたのは2枚の絵手紙だった。 下絵は既に描いてあって、そこに水彩絵の具で色をのせる、、、そういう企画だったのだろう。


「これはね、塗り絵じゃなくて絵手紙っていうの。 今これが流行っているのよ」
「子供だましの塗り絵じゃないの?」
「子供だったらクレヨンでしょう、これは水彩絵の具で色を付けるオトナの遊びなの」
「でもヘタだから」
「色遣いがとてもよくてよ、お花がただ赤いだけじゃなくて、端っこが黄緑色になっているから遠近感が出てる。 これ、とても素敵だわ」

ご機嫌がよくなってきたところで、持参した写真を見てもらった。

わたしの家から持ってきたものなので、叔母とわたしが写っている写真がほとんどだ。
それでも叔母の息子たち(双子)が赤ん坊の頃や、若くてハンサムな叔父、叔母の母親、わたしの両親が写り込んでいるから、叔母はとても喜んだ。


最初は叔父の写真を見ても誰だかわからなかったが、この人がダンナサマよと繰り返しているうちに思い出してきた様子。
部屋にお茶を運んでくれた女性スタッフは、写真をのぞき込んで
「すみれさん、ご主人のお名前を教えてください」と質問した。
「ええとね、ええとね、○○○○・・・」「下のお名前は?」「ケ?ケイジだったかしら」

長野の友人から送っていただいた巨峰を持参していたので、皮をむいて叔母に手渡した。
タネがあるから気をつけてと言ったら、「葡萄の種は飲んでも大丈夫なのよ、盲腸にはならない」と急に大人ぶるのが可愛らしい。

~~~~~~
叔母は小さなアルバム帳を大事そうに手提げ袋にしまった。
しばらく借りるから、大事にするからね。
でも、わたしが帰るときにはアルバム帳のことはすっかり忘れていましたとさ。(⌒-⌒)



わたしはどこ? (Where am I?)

2008-09-25 00:14:02 | 明日は我が身(介護・老後)
男性スタッフを夫だと思い込んだ叔母が、リビングルームのソファに座って深刻に悩んでいる横で、どうしたものかとボウッとしていたら、「ちょっと、ちょっと」と呼ばれた。

向かいのソファには、数週間前に入居した老婦人が横になっている。 その人がわたしを呼んだのである。
「わたしは平野もと子なんですけど、よくわからないんです、どうしたらいいのか」

「ここにいらしてよろしいんですよ」
近寄って、大声で(耳が遠い)返事をしたら、通りかかった女性スタッフがもっと大きな声で話しかけた。
「平野さーん、もと子さんは娘さんのお名前でしょう? あなたは平野かず子さんですよ
あら・・・
「午前中に娘さんがいらして、先ほどお帰りになったので、混乱していらっしゃるんです」
「かず子さん、お手洗いに行きたいときはお手伝いしますから、そこで休んでいてくださいね」
「わかりました」

女性スタッフが立ち去ると、平野かず子さんはわたしの顔をまじまじと見つめた。
「よくわからないの、どうしたらいい?」
明日になったら娘さんがいらっしゃるから、今夜はここにお泊まりしましょう。
「泊まるの? 明日は娘が迎えにくるの?」
はい、いらっしゃいますよ。
「そう、それなら安心ね。 わたしは平野もと子です」



おきにいり

2008-09-23 20:37:35 | 明日は我が身(介護・老後)
ホームに入居中のすみれ叔母が、男性のスタッフを自分の夫だと言い始めた
認知症のフロアには男性のスタッフが3人、女性のスタッフが3~4人常駐しているのですが、男性スタッフのふたりが、自分の夫(わたしの叔父)と、夫の弟だと教えてくれた。

「T(叔父)の実家は商家なの。 やはり血は争えないわねぇ、客商売のうまいこと、見てご覧なさい!」
新しい展開にとまどったわたしは、否定も肯定もせずに叔母の話を聞くことにした。

「わたしがソファに座っているのに声もかけないで、他のお客さんの相手ばかりしているのよ。 通りすがりに『元気か?』とか『なにかあるか?』くらい聞いてくれてもいいと思うんだけど、弟とふたりで商売に夢中になってるの」

なるほど、お気に入りのスタッフが、十分にかまってくれないと感じているのか。
ここからはわたくしの想像ですが、お気に入りの男性がいると深層心理で認めたくない叔母は、彼を自分の夫に置き換えてしまったのでしょう。
自分の夫なら、穴の開くほど見たってかまやしませんからね。

「Tは、ああして元気に跳ね回ってる、商売に夢中になって儲けることしか頭にないの。」
叔母は深刻な表情になった。
「わたしはもうTには付いて行けないから、残念だけど離婚しようとおもうのよ、兄(わたしの父)は賛成してくれるかしら?」
だ、大丈夫でしょう。 反対はしないと思います。

「そもそもね、兄はこの結婚には大反対だったの。 今となっては兄の言うことが正しかったのかも。」
叔母はさめざめと泣き出した。
離婚して、ここから出ます。 あんたの住まいの近くに2畳ばかりの小さな家を建てて、ネコとねえやと暮らすから。 兄にうまく説明してちょうだいね」
兄(わたしの父)は高天原にいるんですが、呼び出さなきゃいけないかしら・・・


~~~ちょきちょき~~~
くだんの男性スタッフに、叔母がこんなことを言っていますがと相談したところ、ちゃんと知っていた。 
「時間があるときには、叔母さまとお話しをするようにします。 申し訳ないんですが、昼間は忙しくてなかなかおかまいできないんですよ」
わたしが彼と話をしていたら、女性の入居者さんが数人近寄ってきて、わたしと男性スタッフの間に割り込んできた。 たしかに人気がありますなぁ。(笑)

認知症のお姑さまの介護経験がある、しいちゃんにも電話してアドバイスを受けた。
「男性スタッフを叔父だと言ったときは、どうしたらいい?」
「肯定も否定もせずに軽く流して、話題を変えて気分をそらしてあげると良いわよ。 一ヶ月くらい経つと、また状況が変わるから。 お婆さんは若い男の人が好きなの、お爺さんは若い女が好き、いくつになっても変わらないのよね。


トライアングル・パンツ

2008-09-23 01:22:21 | 明日は我が身(介護・老後)
季節が移ってきたので、叔母の着る物についてスタッフに尋ねました。
「足りないものがありますか」
「そうですねぇ・・・、三角のパンツを何枚か足していただけますか」
スタッフは、指で下向きのトライアングルを空間に描いた。

「紙パンツと布パンツを、その日の気分で使い分けていらっしゃるので、替えがもう少しあったほうがいいと思います。 ゆったりしたのにしてくださいね」

仕事帰りに、西友の下着売り場に三角のパンツを買いに行きました。
ゆったりめのパンツとは言われていたけれど、141cm、32kgの叔母のオシリがはみ出さないようにと、足ぐりが小さめのを選びました。

帰宅してネームシール付けるために広げてみたら、少し伸縮性のある生地を使っているんですね。 う~~ん、
普通のメリヤス編みのにすべきだったかな。

明日スタッフに見てもらい、もしも却下だったら ワタシが履くっきゃない。
「○○○○すみれ」ってネームシール付きか。

ま、いいか。



きれいな服

2008-09-14 21:23:06 | 明日は我が身(介護・老後)
定例の叔母訪問。
今日は長袖の服を2枚持って行った。

ホームに入居してから3ヶ月、叔母は少しずつだが痩せてきている。
義妹のしいちゃんには電話で相談して、お医者に高カロリーの補助食品を出してもらったらどうかとアドバイスを受けていた。

叔母は泣いたり笑ったり、おしゃべりもよくするし、自分の部屋からリビングルームまで一日に10往復くらいして行き来して、かなりの運動量をこなしている。
しいちゃんのアドバイスは次のとおり。
「高齢者は食事が栄養としてとりこまれる前に、お通じになって出てしまうことが多いの。 それから集団生活による緊張感で基礎代謝が上がっていることもあるでしょう。 冬に向かって体力をつけておいたほうが良いわよねぇ。 やはりお医者に相談した方がいいかな」

どのタイミングで切り出そうかと考えていたのだが、今日はスタッフから何か要望があるかと聞かれる機会があったので、まず第一段階として、おやつの他にお十時を追加することが決まった。


~~~~~~
叔母は、わたしが持って行った2枚のトップスが気に入って、早速着替えて鏡の前に立った。
痩せているので首回りが詰まっていないと脱げそうになることがわかったから、くしゅくしゅ加工がしてあって、襟が詰まっているものを選んだのだが、濃紫と茶系のべーズリー柄が「自分にぴったり」だと笑顔になった。

「わたし、痩せたでしょう?」
「そうねぇ、少し痩せたかも。 今週は体重はどれくらいだった?」
「141kgよ」
「それは、背の高さでしょう」
「ううん、間違いないわよ」

~~~ちょきちょき~~~
叔母がリビングルームへ行くと、「あら、きれいなブラウスね」「可愛いわよ」と声がかかった。
みなさん認知症で、ぼうっとしていらっしゃるかたが多く、他人が何を着ているのかなんて見てないのかと思ったら大間違い。
93歳と90歳の入居者さんから褒められて、叔母のほっぺたが薔薇色になった。