「私、まだ結婚もしてへん若い頃、京都にある建仁寺の近くの家で女中をしとったんやわ。
そこの家業は病院やってな、当時は患者さんも看護婦さんも先生の家で一緒に暮らしてたんやで。
そうそう、大文字焼きの時、お婆さんをオウて三階まで上がって見せてあげたこともあったわ。
時々、南座で歌舞伎もみせてもろたこともあったし、その後、隣にあるお店でおいしいニシン蕎麦食べてな。
近くには恋人もいたなぁ。恋人いうても手つないだだけの関係やで。あははは
先生も優しい良い人で、よう可愛がってくれはったんやぁ。
あの時が一番、楽しかったわぁ」
最近、利用し始めてくれはったウノさん。
当時のことをそれはもう笑顔いっぱいで話てくれはったんです。
「それはもう行くしかない!建仁寺お参りがてら行ってみよう!!」
って言うと
「わぁ。うれしいわ!ホンマに連れていってくれんの!?」
ってことで、行ってきましたよ!!
まずは建仁寺!!
花見小路っていう舞妓さんも歩いてはる
お洒落でハンナリした通りの奥にある由緒正しきお寺に感動。
やっぱり京都は凄いねぇって話をしながらパッと前を見ると
「あるやん。病院!!」
ホンマに建仁寺のマン前に病院がありましたよ。
ウノさんも
「ここやここや!建物新しいなっとるけど間違いない!」って。
受付でことの経緯を話すとすぐに院長先生につないでくれはって
「えっホンマにウノさん??どうぞどうぞ奥に」って
診察の手を止めて先生会ってくれはったんです。
(上に飾られている写真が当時、可愛がってくれた先生です。
話されているのは、当時の若先生。息子さんです)
お互いに当時のことを振り返ってお礼を言われていました。
そして、先生から病院の歴史をまとめた一冊の本をプレゼントしてもらわれ
主人であった先生の写真をみては懐かしがられていました。
その後、よく食べたっていう南座の近くのお蕎麦屋さん「松葉さん」に行って昼食。
ここのニシン蕎麦めっちゃ美味しいと思ったら、
何とニシン蕎麦発祥のお店やったんです。タマゲタ
「どや!?やっぱりここのお蕎麦は違うやろ」
って、すんごいドヤ顔で言わはって、めっちゃ笑けたぁ~
「今日はホンマに懐かしかったわ。おおきにな。私は幸せもんやなぁ」
って、めちゃくちゃ素敵な笑顔で言わはりました。
写真みてたらわかるように、
ウノさんめっちゃいい顔でずっと笑ってくれてはるんやもん。
僕もウノさんに負けへんくらい、めっちゃ幸せな気持ちになった一日でした。
帰ってから
「彼氏は八百屋さんやった」って。
思い出さはったみたいです。
今度は彼氏に会えたらいいなぁ。
いやはや、綺麗な思い出で残しておくべきか?
それとなくウノさんに聞いてみます。