水月光庵[sui gakko an]

『高学歴ワーキングプア』著者 水月昭道 による運営
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おかげさまで無事に発売にこぎつけました

2009年09月10日 | 庵主のつぶやき
ついに、本日、『アカデミア・サバイバル』が全国書店の店頭に並ぶこととなりました。

これも、関係者のみなさまや読者の方々から多くの励ましやお力添えを頂いたおかげと深く感謝いたしております。

今後とも、ご指導のほどよろしくお願いします。

さて、発売日とあって、いきなり取材の申し込みメールが入ったので、「えらく早いな」と驚きつつ(内心嬉しく思い)、中を見たところ、「子どもの道草」関連での依頼でした。『アカデミア・サバイバル』の初日に、『子どもの道草』ということで、まぁなにやら縁の不思議を感じた次第。


前著『高学歴ワーキングプア』を出してから、しばらくの間、こんな質問をされたことを思い出す。
「専門は『環境心理学』ということですが、今回、専門外の著書を上梓して注目されたことについてどう思いますか?」

実は、そのおかげで本来のテーマである「子どもの道草」関連の依頼も結構増えたから、ありがたいことだ。

よく、研究テーマどんぴしゃでなければ、それは「別のことをやった」というように認識されることもめずらしくないが、私は少し異なる考えである。

一人の人間がやっていることは、その人が経験したすべてのことと何らかの繋がりが築かれていると思うのだ。
「どんぴしゃ、ど真ん中」の研究テーマだって、そもそもの問題意識やその設定は、個人がそれまでにした経験に負っているところが大きいはずだ。
同じように、「研究以外のこと」と見えるものも、実はいつもやっている「研究活動やその知見」がベースとなって形作られている場合が珍しくない。

いつも取り組んでいることがあるからこそ、そこから少し広がった世界にも関心が繋がるのではないだろうか。
それが、形になることもあれば、ならないこともある。それはご縁次第のようにも思う。
大事なのは、切り分けて考えるのではなく、どう繋げれば出来ることが広がっていくのか、という発想ではないか。

自分の専門の領域で活躍することに重点を置くだけでなく、
博士号をとるまでの過程で経験したすべてのことを、いかにして日常の生活や社会と結びつけ、人や世界との新たな関係性を結んでいくかということに、もっと意識的にならねば何かもったいないような気もするのだ。これからの大学院には、こんな教育もあって欲しい。

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