おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」2 / A town with the wind

2013-03-04 19:21:17 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。


ピアノ企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第2話/ 愛の病気
~限りある命(白血病)~

風のある町を君は去って行った きっともう帰れないと知っていたから
(片道切符一枚で・・・Woo ooo)
知らず知らずにいつか 二人の間を急ぐように時間が駆け抜け
知人(ひと)を通して聞いてた 君の噂も聞かなくなったいつからか
あのまま君が生きていてくれたら 二人にとってどんな人生があっただろう
歳をとったせいだろうか こんなにも涙もろくなったのは
もう帰れないからだろうか 君と過ごした思い出の場所へ
どこまでも青く澄み切った 星空を見ていたら
子供のように夢を見る とても惨めな大人の姿の僕がいた

歳をとったせいだろうか 意味もない自分探しをするのは
もう帰れないからだろうか あのときめきの青春(じだい)の瞬間(なか)に
心地よい陽だまりの中の 眠りから目覚めたら
輝きもときめきもない 時の流れに置きざりにされた僕がいた

◎前回のあらすじ

突然、愛が地図にも名前が載っていない、“風のある町”
にやって来たのは、桜前線の話題がいっせいにテレビニュースで騒がれ始めた、早春の風の強い日だった。
大輝との出会ったのは、駅前の不動産屋の前で部屋を探すための貼り紙を見ているときに、偶然その場を通りかかった彼が、彼女に声を掛けたことがきっかけだった。
大輝は愛と出会ったときには、まだ彼は地元の大学に通う学生だった。
そして、愛は大輝よりふたつ年上の、OLだった。
やがて、二人は偶然の出会いから親しくなり、一緒に暮らし始めるようになる
ただ、大輝は愛と暮らし始めるようになってから、だんだんと2人の将来について理想を描くようになっていったが、その思いは2人が一緒に暮らし始めてから彼の気持ちとは裏腹に、わずか2ヶ月足らずで崩れてしまう。
その理由は、「ママが体調を崩したみたいだから、ちょっと家に帰って来るね。でもすぐに帰って来れると思うから心配しないでね・・・」という、一通のメモが残されていたのがきっかけだった。
それは、実際には愛の母親が病気ではなく、彼女自身が病気だったからだったからである。
それも、後命が半年しかもたないという、思い白血病だった。
実は、愛がふらりと偶然にも風のある町にやって来たのは、天国に旅立つための自分に残された、最後の時間を楽しむためだったのである。

「あ、愛ちゃんに会わせて下さい・・・」
「・・・・・」
大輝が必死で頼んでも、愛の母親百合子はなかなか首を縦に振らなかった。
おそらく、大輝の気持ちの中では愛の父親である泰三が許さないからだろうという、強い気持ちがあった。
しかし、本当の理由はそれだけではなかった。
それは、今の愛の本当の姿を知ると、百合子の心の中に大輝の気持ちに大きな動揺が起こり、彼の気持ちが愛から離れていってしまうのではないかという、かなり母親としての恐れがあったからだった。
愛は、高度の白血球の減少に伴い化学療法や造血幹細胞移植術等の血液疾患により、外には一歩たりとも出ることが出来ずに、無菌室で集中治療中を受け続けていたが、その副作用で髪はすべて抜け落ち頬はこけ目は窪んで、その姿にはかつての彼女の面影は何ひとつとして残っていなかった。
百合子は、そのことを大輝に話すかどうか迷っていたが、彼の話を聞き彼が本心から愛を愛してくれていることを知ると、彼にすべてを打ち明ける決心をした。
そして、やはり泰三は同行するのを嫌がったが、大輝と百合子は愛が入院している新宿の信濃町にある慶都病院に向かうことになった。
車は、いつも泰三が通勤に使っている白塗りのクラウンロイヤルで、泰三の運転手の河本輝夫が二人に同行した。
慶都病院は、かつて日本を代表するアクションスターの石渡裕一郎が入院したり、初めて日本人の女性宇宙飛行士として有名になった、向田千秋が医師として勤務していたりしたことでも、有名な病院である。
二人を乗せた車は成城の自宅を出ると、世田谷通りから環八に入り、用賀から首都高に乗って、首都高速道路4号新宿線外苑出入口で降り、慶都病院に向かった。
慶都病院は、同大学のキャンパスにあるせいか、意外に若い人の姿も多く見かけた。
1階で受付を済ませると、大輝と百合子は愛が入院している無菌室がある7階に、通路のちょうど中ほどにあるエレベーターで向かった。
愛が入院している病室に付くと、彼女はじっとベッドの上から淡いピンクのパジャマ姿のままで、青くどこまでも晴れ渡った大空をじっと見つめていた。
ただ、愛の姿が以前の姿とまったく違っていたのは、百合子が彼女を訪ねる前に話していたように、白血病の治療の副作用のせいで髪の毛はすべて抜け落ち、頭にベージュ色のニットの帽子を被り、躰全体が拒食症患者のようにやせ衰えていたことただ。


――コン、コン、コン コン、コン、コン・・・――

大輝が、硬い透明のガラスで仕切られた壁をノックすると、愛はビックリした表情で立ち上がり、最初は照れくさそうに笑っていたが、やがて彼女の目には大粒の涙が溢れ出していた。
それは、大輝も同じだった。
気付いた時には、大輝の目からも、愛と同じように大粒の涙が、自然に勝手に溢れ出していた。
そして、しばらく二人は見つめ合ったまま、決して何かを語ろうとはしなかったが、まるで久しぶりの再会をひとつひとつ確かめて喜び合うかのように、だんだんとガラスを挟んでふたつの躰が近づくと、気付いた時には両手と両手が重ね合っていた。
その姿を横で見ていた、愛の母親の百合子も思わずもらい泣きして、しばらく三人の涙が止むことはなかった。
また、それは、大輝と愛の真実から愛し合っている偽りのない姿でもあった。



長町

長町ゆかり


プロフィール紹介

未来を担う子供達が、健やかな心と身体を保てるように願い、こどもパン教室『ぷちぱんキッズ』を始めて8年半になりました。
これから1年かけて、イメージトレーニングのインストラクターの資格も取ります。
子ども達の心を癒し、豊かな未来を築きあげる力をつけるお手伝いができることを喜びに、自分自身も楽しんでいきたいと思います☆
どうぞ宜しくお願いします♪

▲僕も大好きな“ゆかぱん”こと、長町ゆかりさんとお友だちになりたい方は、下記のブログやメールでご連絡をしてくださいね。


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