おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

RE-10

2011-03-20 22:18:42 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

 

1_2RE-10
作 / nana℃

三人で浜辺を歩いていると小さなパラソルの下にかわいらしいおばあちゃんがいた。
パラソルよりも小さな看板には、「天気予報」と書かれている。
藤岡が声をかけた。
「はじめまして。ここで何をしていらっしゃるんですか」
「明日の天気を占える方なんですか」
希も興味深そうな声を出してしゃがみこんだ。
「わたしが占うのは、天気ではありません」
「といいますと?」
「人生です。あなたや彼女の人生です」
「おばあちゃん、あたしを占ってもらえないかしら」
「ええ。もちろんですよ」
ちいさなおばあちゃんは、しわしわの手を静かに広げ、希の手に触れた。
祥子は、その様子を黙ってみていた。
「6月3日。明日は、確か大雨だったわね」
「ええ。台風が来ていたような気がします」
「でも、お前さんの未来はきっと雲ひとつない晴天だ」
「晴天、ですか。それはよい兆しということでしょうか」
希は、答えを急ぎ、話すスピードが速くなっていた。
しかし、老婆から出た一言は、予想外のものだった。
「私のようになってはいけない」
「え?」
ほとんど同じタイミングで三人は声をあげて、互いに目をあわした。
「今、なんと?」
老婆は、宝石箱からちいさな指輪を取り出して、希に手渡した。
「わたしは、この世界で生活し始めてもうニ十年だ。
ここでは年をとらないけど、わたしももう現実世界では九十のおばあちゃんだよ」
「この指輪は?」
「わたしがあなたぐらいの年の頃に婚約者からいただいたものだ」
「そんな大切なもの」
「いいや。ぜひもらっておくれ」
金色に光る細く小さな指輪は、太陽の光に淡く反射した。

僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろ

 
Photo プロフィール


名前:魔女っこ kirara・*★

性別:女性

現住所:大阪府

誕生日:09月22日

自己紹介:nana℃(ななど)といいます。

小説、脚本、音楽関係のお仕事などをしています。


おとぎのお家と仲間たち-石坂まさを写真1


石坂まさをプロフィール

本名:沢ノ井龍二 昭和16年5月18日生。東京新宿区出身。昭和44年9月25日「新宿の女」で作詞作曲家としてデビュー。


主な作品

「新宿の女」「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」「命預けます」(藤圭子)
「北へ」(小林旭)
「おしどり」「べにばな」(五木ひろし)
「花のように鳥のように」(郷ひろみ)
「漂流者たち」(西城秀樹)他多数

主な著書

「きずな」(文藝春秋)
「心歌十二章」(世界文化社)
「日本歌文化」(ぎょうせい)
小さな魔法の動物詩集(サンリオ)

▲現在、アメブロにおいて石坂まさを先生の、「石坂まさをの魂ことば」を掲載中です。

アメーバーブログ「おとぎのお家と仲間たち」
 http://ameblo.jp/phoenix720/


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点―ten―
宇多田ヒカル
EMI Music Japan Inc./U3music Inc.

RE-9

2011-03-20 22:18:17 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

1_2RE-9
作 / nana℃

祥子と藤岡が、その海を訪れたのは、夕日が沈みこむ少し前だった。
あの時出会った少女は、あの日と同じように三角すわりをしながら、海の先をみつめている。
「明日だね」
一週間前と何も変わらない海の姿に祥子はとても安心した。
この世界で変わらないものはなにひとつない。
自然も同じである。
しかし、この海は違うような気がしていた。
どんな旅人をも大きな心で受け止めてきたような強さや安心感を感させてくれる絶対的な存在だ。
「この三日間、自分を何度も責めたわ。
もし過去に戻れるなら、彼のかわりに死んでもいいって思ったの。
もうすぐ6月9日。あたしと彼が出会った日がくるわ」
祥子は、大好きな人を失ったときのことを無意識に考えてしまう。
過去は変えられない。
そのことが人生を生きていく糧や活力になると同時に、無気力感や喪失感を生み出すという二面性を持つ。
それがはがゆくて、彼女は目を閉じた。
言葉にならない感情が世の中には多すぎる、と祥子は感じた。
どんなときでも言葉を超越した出来事や思いや命や運命が存在し、とても生物の力ではおよばない、大きな事柄や存在に支配されていることをいやでも意識してしまう瞬間だといえる。
「・・・でも、だめね。あたしまだ決心がついていないの。
過去を変えて彼とは別々の道を歩くことになってもいいって思っているのに、あの人のいない世界に戻るのが怖くて仕方ないよ」
「彼が本当に好きなのね」
祥子は、彼女の小さな肩を抱き、共に涙を流すことしかできない自分が悲しかった。
誰かのために何かをしたいと、人は思うものではあるが、その方法が見当たらないときほど無力さを痛感する。

僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろう

 

 
Photo プロフィール


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石坂まさをプロフィール

本名:沢ノ井龍二 昭和16年5月18日生。東京新宿区出身。昭和44年9月25日「新宿の女」で作詞作曲家としてデビュー。


主な作品

「新宿の女」「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」「命預けます」(藤圭子)
「北へ」(小林旭)
「おしどり」「べにばな」(五木ひろし)
「花のように鳥のように」(郷ひろみ)
「漂流者たち」(西城秀樹)他多数

主な著書

「きずな」(文藝春秋)
「心歌十二章」(世界文化社)
「日本歌文化」(ぎょうせい)
小さな魔法の動物詩集(サンリオ)

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RE-8

2011-03-20 22:17:54 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-8
作 / nana℃


男の名前は、藤岡という。

背が高く、肉付きもいい中年男性だ。

祥子は、彼の横顔をみつめていると、時々ずっとこうしていたいと思ってしまう。

男の横顔は、それほど美しく、凛としていた。

「病院には様々な人がいますね」

「そうだな。命が生まれる場所であると同時に、失う場所でもある。神聖な場所だと僕は思う」

「わたしも、そう思います」

「うん」

「これから、どうしますか」

「どうしようかな。なんだか、今は何も考えたくない気分だ」

「海、行きませんか?」

「温海?」

「ええ」

「よし」

二人は同時に立ち上がり、病院の入り口まで歩いていく。反対側から走ってきたナースと祥子の肩がぶつかった。

「申し訳ありません。失礼いたしました」

その女性は、笑顔が印象的だった。目を丸くしたのは、祥子だ。

「あなたの名前はなんですか」

言葉を発すると同時に名札が目に入る。「安達」と書かれていた。

「安達希といいます。整形外科のナースです」

彼女はぺこりとお辞儀をして、先ほどよりも早いスピードで走っていく。祥子は、海にいる彼女を想った。


僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
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波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その18

(花ちゃんの投稿コメントより抜粋応用)


1_2イープン君
※現在、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介しています。

花ちゃんのボランティア活動情報ブログ「想い出日記」

http://profile.ameba.jp/hanachan-234/


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宇多田ヒカル
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ヘッドフォン一口メモ

宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-7

2011-03-20 22:17:31 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-7
作 / nana℃


橘病院は、地元では有名な病院だ。
5棟にも別れて真っ白なビルが連なっており、内科や外科はもちろん、精神科や皮膚科、整形外科なども隣接している。
祥子と男は、急いで産婦人科の病棟へと向かった。
いやでも気づいてしまう。病棟ごとに時代が微妙にずれているのだ。産婦人科は、おそらく1985年よりも以前。つまり、男の妻は入院していなかった。

「そんなに簡単にはいかないよな」

男は落ち込んだようには見えなかった。
祥子は、病院内をしばらく歩くことにした。
足を止めるきっかけになったのは、どこかで見た人物を見つけたからだ。
白髪の混ざったやわらかな髪質。
少し若いが、間違いなく、あの屋敷のおばあさんが眠っている。彼女に話しかけている男性は夫だろうか。

「はじめまして」

祥子が声をかけると、男性は静かにお辞儀をした。

「家内のお知り合いですか」

「はい。以前紅茶をいただいたことがあります」

「そうですか。和子はとても紅茶がすきでしたからね」

赤い華の茎をつかみ、男は洗面台の前に立った。
祥子は、何年か前の彼女をみつめる。

「植物状態なんですよ」

男が花瓶に華を入れ替えた。

「そうですか」

「いつ目覚めるのかはわかりません。でも、わたしは彼女が目を覚ましたとき、悲しい思いはさせたくないので、今でも彼女の帰りを待っています」

「きれいな寝顔ですね」

祥子は、涙をこらえながら、病室を後にした。
男性の後姿を長くは見れなかった。

あの屋敷の女性は、出れないと言っていた。
閉じ込められているのだ。
縛られているのかもしれない。
何か、とても大きな力によって、足止めされているから目が覚めないのかもしれない。


僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
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もう一度空へとのぼるなら
 
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僕らは互いを暖めあうように
 
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さあ
 
目を開けたなら
 
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波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その17

hanachanの『海の向こうにかかる虹』で新聞社とTVの取材が決まったそうです。そしてさらに、現在“北風小僧の寒太郎”で有名な宝塚大学の月岡教授と学生さんたちがボランティアで作ってくれているアニメがもうじき完成するということで、hanachanの“海を越えた大きな夢 /海外支援”がもうじき現実に花開きそうですね。

(花ちゃんの投稿コメントより抜粋応用)


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※現在、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介しています。

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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-6

2011-03-20 22:17:10 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-6
作 / nana℃


「会いたい人がいるんだ」

「それは誰ですか」

「ボクの息子だ」

「息子さんですか」

「ああ。家内が病院に運ばれて僕は東京から大阪までの飛行機に乗った。それから仕事で疲れていていつのまにか眠っていたから、記憶がない。気がついたらこの世界にいたんだ」

「息子さん。心配ですね。奥さんも」

「ああ。早く見つけなきゃいけない。三船病院まで行ってくれ」

「はい」

タクシーの運転手は軽快にハンドルを切った。祥子は、どうか彼の息子や母親が無事であることを変わり行く空に祈った。


僕ときみが

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―海を渡った大きな夢への挑戦!!その16

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RE-5

2011-03-20 22:16:44 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-5
作 / nana℃


その男性に話しかけられたとき、祥子はすこしたじろいだ。なぜなら、この世界にきてから先に話かけられるということがなかったからだ。

「僕らは時空を旅することができるようだな」

無精ひげを少し触りながら、男は真剣な面持ちで言った。

祥子は、頷き、何かを考えていた。

男とであった空港には、たくさんの人がいるのに、まるでふたりぼっちになってしまったような感覚を祥子はぬぐえずにいた。

この男といれば何かがわかるのではないかというような予感もした。

「あなたが知っている最後の記憶は、何年ですか?」

「僕は1985年だ」

「あたしが生まれる一年前だわ」

「そうか。きみは今いくつなのかな」

「2009年で25歳になりました」

「そうか。とても遠い未来に感じるよ」

「わたしもです」

祥子は男と空港を出てタクシーに乗り込んだ。

空を見上げると二キロほど離れた箇所に雨が降っている。

おそらくその空の下はいつかの過去だ。祥子は少しずつだが、この世界に慣れはじめていた。男もそれは同じだという。

時代の違いは、音楽やニュースですぐにわかる。

または、そこに住んでいる人たちの言葉や習慣や服装。

または景色や外観・なつかしい風景もあれば、真新しささえ感じられるぐらい古い過去にもでくわした。

そのたびに、自分は何のためにここにいるのだろうと祥子は考えてしまう。

何か、何か大きな使命が自分には課せられているのではないかと疑ってみたりもする。

男は、窓を開けて、ため息ともちがう吐息をもらした。


僕ときみが

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―海を渡った大きな夢への挑戦!!その15

1,2mの目の前に虹が現れてくれたとは・・・苦労が報われた瞬間だったのでは?いいことが起こりそうな予感がします。こちらでは、二重の虹が出ていました。

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RE-4

2011-03-20 22:16:23 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-4
作 / nana℃


その家は、家というよりも屋敷とよぶにふさわしい風貌をしていた。

何年もあけられていない扉や窓は、曇りガラスのようによどんでいる。

庭に生えている草木には力がなく、もうすでにこの世のものではないような弱弱しさを感じさせた。

祥子がその家を通り過ぎようとしたとき、皿の割れる音がして、振り返ると、おばあさんがこちらを見ていた。

導かれるように門を叩く。祥子は、少し緊張していた。

「どうぞ。よくいらっしゃったわね」

朱色のカーディガンをはおった女性は、うれしそうに紅茶を出してくれた。

とてもお金持ちな家であることは、西洋を思わせるインテリアや照明、ジュータンですぐにわかる。

「ずっと一人なんですか」

「ええ。そうよ」

誰もいないこの屋敷からその女性は出ることができないのだという。

「毎日お皿を洗ったり、洗濯をしているのよ」

 ソファの上には干し終わったばかりの洋服やタオルが置かれている。

「今は、平成何年なのかしらね」

「おそらく、流れていた音楽で推測すると、このあたりは1990年ごろだと思います」

「そう。記憶が残っているのは、2000年までだわ。ノストラダムスは外れたわよね」

「はい。私は2009年の記憶まであります」

「やっぱり未来からこられたのね」

「どうして来たのかはわかりません」

「そう。あたしと同じね」

 女性は静かにレモンを絞り、小さな受け皿に乗せた。

「外へ、出てみませんか。

一緒に。

そしたら何かわかるかもしれない」

「それは、できないわ。ここから出られないのよ。でも、ここから私が出られないのは、私が出たくないからかもしれないわ。だってここにいると何かを思い出せるような気がする。大切な何かを。まだここから外へはいけないわ」

祥子は哀しい目を持つその女性をしばらく見つめて、また紅茶いただきにきてもいいですかと聞くと、女性はうれしそうにうなづいた。


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さあ
 
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波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その14

この度、≪海の向こうにかかる虹≫の絵本を、インドネシア語に翻訳できました。生まれながらにして母の胸を知らない少年、イープン君。「お母さん」の意味がわからないイープン君。この本の中に描かれている「イブ・・・イブ・・・なんという良い響き・・・イブって何?」で涙腺が緩んでしまって困っています。(花ちゃんの投稿コメントより抜粋応用)

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RE-3

2011-03-20 22:16:01 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


1_2RE-3
作 / nana℃


祥子が電車に乗っていたのは、どこかに行きたかったわけでもなく、感傷にふけりたかったからでもない。

環状線を何度かまわっているうちに気になる少年を見つけたからだ。

少年はまだあどけない口元をしていて、歳は十代に見えた。青と黒のボーダーのマフラーを身につけて、祈るように手を組んでいる。不思議なことに、この電車は、往復するたびに過去へ戻っている。窓に映る景色は、朝であったり、夜であったり、雨であったり、曇りだったりを繰り返している。季節は、春や秋や冬へと変化する。少年は、少しずつ若返っていく。もう今は中学生にみえる。祥子は彼の隣に座った。

「人生をやり直すんだ」

少年は、祥子にか、自分になのかわからないあいまいな口調でそう言った。

「過去に戻っているのね」

うなづきながら、少年はある老人が乗り込むのを待っているという。

「今度こそ助けたいんだ」

祥子は、黙って回りを見渡した。老人は一人もいない。少年は何歳まで過去へ戻っていくんもだろうと思った。

「僕が人生をやりなおしたら・・・僕の体はどこへ行くんだろう」

「こわい?」

「少しだけね」

少年は、大学生でデビューをはたしたあるバンドの曲を聴きながら静かに目を閉じた。

「ずっと忘れられなかった。僕が、誰かに助けを求めていたら、あのおじいさんは死なずにすんだと思うと、やりきれなかった。大学に行って、医者になって命を救っても満たされないんだよ。あのおじいさんを助けられなかった自分がどうしても許せないんだ」

「やさしい人なんだね」

「いや、僕はただのエゴイストだ」

杖をついた老人が電車の壁に横たわったのをみて、少年は立ち上がった。


僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろう

 
Photo プロフィール


名前:魔女っこ kirara・*★

性別:女性

現住所:大阪府

誕生日:09月22日

自己紹介:nana℃(ななど)といいます。

小説、脚本、音楽関係のお仕事などをしています。

波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その13

少年の生い立ちを読んでいると涙が出て来てしまい、さすがに公共の場ではマズイ!と思い、自宅に持ち帰り1人でじっくり読みました。最初は少年のことを【可愛そう】と思いましたが、読み終わる頃には尊敬の眼差しに変わっていました。(花ちゃんの投稿コメントより抜粋)

1_2イープン君
※現在、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介しています。

花ちゃんのボランティア活動情報ブログ「想い出日記」

http://profile.ameba.jp/hanachan-234/


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宇多田ヒカル
EMIミュージック・ジャパン

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ヘッドフォン一口メモ

宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-2

2011-03-20 22:15:36 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-2
作 / nana℃


鶴田商店街は、先ほどよりも賑わいをみせていた。たくさんのお惣菜や野菜や魚が飛ぶように売れている。

激安セールの時間のようで、祥子も何回か声をかけられたが、丁寧に断りながら歩き続けた。

祥子が再び足をとめたのは、商店街を右にそれた路地でスケッチをしている男と目が合ったときだった。

彼は無精ひげを生やし、しなやかに左手を動かしている。彼の足元には短い鉛筆が数本転がっている。

「絵を描いてらっしゃるのですね」

祥子が声をかけると男はとても澄んだ瞳で頷いた。

「ここでよく人や風景や植物を描いている」

男はいくつかの絵を祥子に手渡した。青一色で敷き詰められた海と月、真っ黒な顔や、銀色の山、翡翠色に輝く木々や鳥の姿があった。

彼は、目に映しているものではなく、今、目の前に見えていないものを描いている。

「素敵な作品ですね」

「美大に通っていたので。落ちこぼれですけどね」

祥子は静かに首を振った。眺めれば眺めるほど、男の絵はシンプルであり、繊細である。

そのタッチは、誰にも似ていない独特なもので、直感や感性のすべてがあらわれているように祥子は思えた。

「この絵を買ってもいいかしら」

翡翠色をしたその一枚を男の前に取り出して祥子は笑った。

「お金はいりません。ぜひもらってください」

 男は、また優しい瞳で微笑んだ。祥子は手帳を取り出して、絵を大事そうにしまった。

その瞬間、男の目の色が変わる。

「きみ、平成を知ってるの」

ふいの言葉に祥子は一瞬びくっと肩を震わせたが、すぐに頷いた。

どうやら仲間だという気配をはじめから感じていたらしい。

「あなたは、何かのために、ここへ来たの?」

 さきほど少女に言われたせりふをなぞるように言った。

男は、したを向き、ペンをとめた。二人の間には沈黙が流れた。

「別に無理して言わなくてもいいんです。わたしもわからないから」

祥子は、男を安心させたいという一心で、できるだけ明るい声で笑った。

男は、何かを考えているようだったが、商店街を見つめた。

「あれ」

男の指をさした方向を追いかけると、小さな薬局が見えた。目の大きな男の子が小さな椅子に座っている。

留守番を任されているのか、大人の姿は見えない。

「あれが、三十年前の僕だ。僕は、未来で人を殺している。

昔はあんなにかわいい顔をしているのにな」

「人をですか」

「ああ。女を殺してしまったんだ。この手で」

 祥子は、男の右手が震えていることに気がついた。

男は、左手で右腕の震えを押さえようとしていた。

「後悔してるんですね」

「ああ」

「現実世界に戻らないんですか」

「ああ。今はまだ戻れない。何故かはオレにも分からない。でも、何かを忘れているような気がするんだよ」

「なんだろう」

「わからない。この世界にはわからない、知りえないことが多すぎるんだよ。俺だって、まさか殺人者になるだなんて考えてもいなかった。でも、女の腹を刺したときに分かったんだ。僕は人を憎める人間だったってことに。本当は、悪人。恐ろしい凶器を心に隠し持っていた人間だったんだってことにね」

「誰にでも人を憎む気持ちあります」

「そうだね。でも俺は認めたくなかったな。偽善者だな」

「その気持ちもわかります。わたしも偽善者ですから」

 男は震えが止まったのかもう一度ペンをつかみ、絵を描き始めた。

「さようなら」

祥子の声に男はさよなら、と笑った。


僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
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いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
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もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
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―海を渡った大きな夢への挑戦!!その12

1_2イープン君

※今日は、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介します。

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宇多田ヒカル
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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-1

2011-03-20 22:15:17 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-1
作 / nana℃


祥子が思わず足を止めてしまったのは、聞こえるはずのない歌が聞こえてきたからだ。確か夏の歌で2000年以降にミリオンヒットを記録したとても切ないバラードだった。思わず声をかけてしまうまでにさほど時間はかからない。

「あなた・・・未来から来たの?」

 歌を口ずさんでいた長い髪の少女は、思わず目をそらす。クリーム色のワンピースに黒いパンプス。赤いピアスが印象的で、長い髪には淡いピンク色のコサージュが咲いている。とても<今風>だ。

「驚かないで。私も、私もなの」

 祥子は、なんとか彼女との距離をつめようと、言葉を選ぶよりも早く、訴えているような声を出した。小波の音だけが二人の前を通過する。

「別に驚かないわ…。あたし、他にも何人か会ってるもの」

 彼女の声は、強い口調でありながらもなぜか悲しみを含んでいた。

「でも、同じ状況なら話が早いね。あなたは何のためにここへ?」

 その言葉に祥子は口をつぐむ。彼女自身、自分の置かれている現在の状況が把握できていないからだ。

彼女は、わずか五分前まではいつもどおりの世界を生きていた。いわゆる現実世界だ。マンションの12階までエレベーターに乗っていたとき、突然大きなゆれを感じたことだけは憶えている。一人で乗っていたため、自力でエレベーターから抜け出すまでに1時間以上かかった。たまたま持っていた金物で扉が開いて、絶句した。開いた向こう側に見えたものは。見知らぬ風景、かつどうやた時代が違うと気がついた。子供時代に遊んでいた商店街に今はなき、駄菓子屋があったからだ。

祥子は、これからどこへ行こうかと考えた。風景が違いすぎた。田んぼや屋根瓦の家が多く、今はほとんど水が通わない河川敷にも活気があった。知り合いがいるわけでもない。地元であっても、地元ではない別の場所、空間であることはまちがいなかった。祥子は、何か大きな存在に慰められたいという思いで、マンションから二キロ先のあるこの海までなんとか歩いてきたのだった。

「何のために?分からない…。気がついたら富樫にいたの。ここは、恐らく1998年よね」

「そうよ。珍しいね。ここへ来る人は大体何か理由があるの。過去に何かを置き忘れている人とか、その逆も・・・」

「逆って?」

「未来を変えたい人よ。あたしがそう」

 少女の髪の毛の一本一本が夕焼けに反射しながら、とても綺麗な色と混ざりあいながら、そよ風にたなびいている。

「未来を変えるってどうやって?」

「簡単じゃない。過去を変えるだけよ」

「過去を・・・分からないけど、それってものすごく大きなことじゃない?」

「そう思うわ。あたしも過去を変えたあと、自分がどうなるのかわからないしね」

 祥子は、戸惑いを隠せない。自分の過去を変えてまで修正したい未来とはどのような不幸であるのか、想像もつかない。まだ幼さが見え隠れする少女の横顔をまじまじと見つめた。

「それでも・・・過去を変えたいの?」

 遠くで小さな子供が追いかけっこをしている声がする。犬も一緒なのか、砂浜がすこし波のようにうねっているように祥子は感じた。

「うん。もう決めたの」

「でも、それって運命を変えてしまうことになるわ・・・」

「わたしは、運命なんて絶対に信じたくないの。例えばね、今この浜辺の砂を右手ですくうでしょ?この手の中の砂を地面に落とすか、落とさないかはあたし次第だし、他の誰かが決めることじゃないわ。一秒、一秒、目の前に広がっている、とてつもなく無数の選択肢からたったひとつを選んであたしは前に進んでいる。だから、その積み重ねが運命だなんていわれたくないの。でなきゃ、なんのために生きているかわからない・・・」

 彼女の目には、涙が浮かんでいるのか、淡く光るものが映りこんでいる。祥子は、目をふせて言葉を捜していた。

「あたしは信じているわ。これからあたしのすることが正しい選択だって」

依然、少女の声に迷いはなかった、まるでそのために生まれてきたかのような説得力がある声だ。

「いつなの?過去を変える日」

「1週間後・・・」

「何をするのかは聞かないわ。でも、またここへ来ていい?」

 返事を聞く前に祥子は駅に向かって歩きはじめる。少ししてから彼女の声が耳に届いた。

「あたしに同情してるの?」

 祥子が振り返ると、彼女はまだ海をみつめ、しゃがみこんだままだった。その後姿がとてもさびしく、孤独を感じさせる。

「あたしもこの海が大好きなのよ」

橙色の光に包まれた淡き幻想のかけらを抱いて、祥子は涙をこらえた。


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―海を渡った大きな夢への挑戦!!その11―

子どもさんの感想です。。。「勉強は楽しいものとは思っていなかったけど、イープン君のお話を読んで勉強できることはとっても幸せな事なんだと思いました。」「このお話は昔々の事かと思っていたら、今でもインドネシアの子供達は学校に行けない子や、働いてる子がいることにびっくりしました。」 (花ちゃんの投稿記事より)

1_2イープン君

※今日は、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介します。

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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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