おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

青春うたものがたりシリーズ2「幸せという名の不幸」 2

2011-09-23 21:23:57 | 人・愛・夢・歌・宿命・運命・家族・社会

前回より新たにスタートした、~青春うたものがたり2~『幸せという名の不幸』は、あなたにとって、母と子の絆とは何なのか?あなたにとって、家族の存在とは何か?その人間(ひと)としての答えを一緒になって考えさせてくれる、“人間の生”というものが作り出す幸と不幸のヒューマニズムに溢れた作品です。また同時に、人の運命って一度狂ってしまうとこんなにもさまざまな束縛や、抑圧による非人間的状態に晒されてしまうのか?と思わなくならざるを得ないような、その人が持つ宿命の陽と陰とを関係を一人の女性の人生を通じて見せてくれる涙と感動の作品でもあります。


1_2企画 / 下家 猪誠 / 猪 寿
第2話/ 幸せと不幸の選択
~幸運と悲運の運命の別れ道~

こんな寂しい夜だから

Lost love 失恋したての こんな寂しい夜だから

少しくらいお酒を飲んで グチってもいいでしょう

こんな日くらい 意地悪な恋の神様だって 許してくれるでしょう

Broken heart 孤独な胸のうち 誰かに分かって欲しくて

仲のいい友達に電話を入れたけど 留守電コール 

今日はクリスマスイヴだもの こんな男と女が恋愛(こい)の魔法にかかって
夢の中を旅する夜に 家なんかにいるわけがないわよね

「あの娘は私と違って、モテるんだもの・・・」

化粧を落とす鏡の中の ah自分に自分で失恋話している

そんな姿が悲しくて ah勝手に涙が溢れてくる

Anyone is good It is good only tonight.

ああ誰か今夜だけでいいから 何も言わずにその温かい腕の中で眠らせて欲しい


櫻井翔太がありさにプロポーズしたときには、母洋子が脳溢血で倒れて入院する前だったこともあり、ありさ自身もそうだが洋子も二人が結婚することを、自分のことにようにもの凄く喜んでいてくれた。

そして、ありさは何よりも自分が一番信頼している母の洋子が、二人の結婚を自分のことのように喜んで後押しをしてくれたこともあり、もうすぐにでも翔太のプロポーズに承諾して、はっきりと彼と結婚することを自分の心の中では決めていた。

ただ、そうは言っても、いざ結婚するとなると会社勤めをどうするかとか、洋子と連名で借りている弟の大輔の教育ローンの返済をどうするとかなどの、小山家の長女としての色々と片付けなければいけない問題がかなりあったために、その自分のいくつかの身辺問題を片付ける準備期間として、一月だけ翔太にその返事を待ってもらうことにした。

その時点では、翔太もありさが彼のプロポーズを100%受けてくれると思っていたのでなんなく、彼女の要求を快く受け入れてくれた。

ところが人間の運命というのは、皮肉なものである。

ありさが、その自分のいくつかの身辺問題を片付ける準備期間として、無理やり翔太に願いをしてプロポーズの返事を待ってもらった一ヶ月の間に、彼女の人生の運命を狂わせる出来事が次ぎ次ぎに彼女を襲ったのである。

その最初のきっかけとなったのは、大輔が大学をさぼってかつての悪友や彼女と遊び回っていることが発覚したことだった。

そして、ありさと洋子がそのことで大輔を詰問すると、彼は二人に向かって逆切れして、無理やり嫌がる彼を大学に行かせるようにした二人に、すべて今回の責任はあると食って掛って来た。

結局その結果、大輔は大学を中退して家を出て行くことになり、彼のためにありさと洋子が連名で借りた約三百万円の教育ローンの支払いだけが、その代償として残ることになった。

大輔の将来を心配して、彼を一番大学に行かせたがっていた洋子は、彼に裏切られたような形になった上に、彼が彼女やありさに逆らい家を出て行ったことが、かなり彼女を傷つけ心労を与えたのだろう。

洋子は、大輔が家を出て行ってから三日後の昼過ぎに、突然脳溢血で倒れて意識不明に陥り、救急車で新宿の西口にある帝都病院に運ばれた。

幸い、その日は会社の創立記念日でありさが休みだったために、すぐその場で救急車を呼び、早めに病院での応急処置を受けることが出来たために、なんとか洋子は命は取り留めたものの、完全に自由に動かせるのは右手だけで、左手が使えたり言葉を話したりすることが出来るようになるためには、一年から二年のリハビリが必要だという、かなりの過酷な生活を送らざるを得なくなった。

そして、さらに一番の問題だったのは、完全に下半身が麻痺して車椅子生活を余儀なくされたことだった。

そんな中で、ありさは子供の頃から彼女たちを苦労して育ててきたのを知っているだけに、自分一人だけが幸せになり、自分にとって何よりも優先して大切に思って来た、病気の母親を独りぼっちにして、置き去りにしておくことは出来なかった。

だから、洋子が脳溢血で倒れて入院するようになったのをきっかけに、櫻井翔太のプロポーズを受けて結婚するかどうか、自分で自分の気持ちの整理が出来なくなり、彼にプロポーズの返事を求められても、なんだかんだと理由をつけては彼への返事を半年以上も引き伸ばして来た。

――♪ずっと一緒にいた・・・・・――

そんなとき、ありさの携帯電話の着信音である“三日月”着歌鳴り響き、三ヶ月ぶりに櫻井翔太からのデートの誘いの電話があったのは、ちょうど街中がイルミネーションの装飾や、人波で華やぐクリスマスイヴのことだった。

二人は、新宿駅の東口の改札口で待ち合わせ、同じ駅ビルの中の八階にある食堂街に向かった。

やはり、この日はクリスマスイヴということもあり、どの店も人の行列でいっぱいだった。

ありさは、翔太に何か食べたい物はあるかと聞かれたが、別に特別にこれといって食べたい物があったわけではないので、どの店に入るのかはすべて彼に任せることにした。

彼が選んだのは、ちょっと若い二人には不釣合いの客層が多く、十年ほど前の新宿駅ビルの食堂街の改装をきっかけに、かなり食材の質が小ぶりなった割には料金は以前の倍近く高くなった、老舗の天麩羅屋のつな七だった。

つな七は聞くところによると、新宿三越の裏手に大正十三年に創業した、天麩羅屋では八十年の歴史を持つ老舗らしい。

いつも、デートの度に安い食べ物屋や飲み屋にしか入らない翔太が、なんで今日に限ってつな八を選んだんだろうかと?ふと一瞬、ありさの脳裏を疑問が走ったが、今日がクリスマスイヴということを考えると、その疑問も彼女の頭の中からすぐに消えた。

結局、クリスマスイヴいうこともありかなり店が立て込んでいたために、ようやく店内のテーブル席に案内されたのは、二人が客の行列の中に並んでから三十分ほど経ってからだった。

テーブル席に着くや否や、かなり待たされてイライラしていたのか、いそいそと翔太は店員を大声で手招きして呼ぶと、天麩羅定職の上と生ビールのジョッキーを二人分ずつ頼んだ。

「こうして、二人であって食事をするのも、久しぶりだね・・・」

「そうね・・・」

「ところで、その後お母さんの病気はどう?」

「良くもならないし、悪くもならないってとこかな・・・」

クリスマスイヴのデートにもかかわらず、こんな陽気さのかけらもないもの侘しい話から、ふたりの会話は始まった。

そのうちに、店員が生ビールのジョッキーを運んで来ると、翔太は“やっと来たか”という表情で、店員の方を冷ややかな眼差しで見て、ちょっとムッとした表情を見せた。

そんな、いつもとはかなり違う翔太の苛立った態度を見ていて、急にありさは“きっと何かあるのでは・・・”という、ただ訳もなく不安に駆り立てられた。

実は、そんなありさの心配は的中していたのである。

これから、それが現実の出来事として、彼女に突き付けられるのであった。




 冨賀裕由紀

◎紹介コメント

僕が、冨賀さんと最初にお会いしたのは、僕や僕の友人がお世話になっているある知人を通してですが、ところが冨賀さんとお会いして分かったことは、二人にはもっと根深い共通の知人の人物がいたのです。その方は、朝日新聞の記者でもうお亡くなりになりましたが、本当の新聞記者としての魂と気骨を持った侍のような方でした。僕にとってその方との大きな思い出と言いますと、我が師のことが東京大学などの受験なんかにも出題されるという、あの朝日新聞の代名詞とも称される「天声人語」に掲載されたことです。やはり今でも冨賀さんとお話しすると、いつもついつい口に出てくるのがその方のことですが、冨賀さんの素晴らしさは仕事が縁のマスコミ人には珍しく、決してその方の思い出を忘れずに、今なお心の奥にしまって置いていることです。

◎プロフィール

職業:毎日映画社プロデューサー
出身校: 日本大学芸術学部
居住地: 神奈川県川崎市(複雑な関係)
血液型: O型
出身地: 東京都江戸川区
誕生日: 1956年5月23日
メールアドレス
tomiga@mainichieiga.co.jp



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下家 猪誠





 

 


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1 コメント

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Unknown (小形)
2008-06-14 18:20:50
突然のコメント失礼します。私は小形と申します。FC2でブログを書いております。
http://hakaisou.blog33.fc2.com/

あなたのブログ拝見し、とても素晴らしいブログと思いました!
すごく良いブログだったので、思わずコメントしてしまいました!
また、後でじっくりと過去の記事なども読ませいただきたいです。
もし宜しければ相互リンクしていただけないでしょうか?
もしOKならブログにコメントいただければ幸いです。
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