おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

リトルサンタ / 母の顔をした殺人鬼5

2011-06-28 22:31:24 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

今回の「リトルサンタ / 母の顔をした殺人鬼」は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。

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~健太くんの殺害計画2~
作 / 猪 寿
    

 
「お母さんが、健太くんを殺すってどういうこと?」

「実は・・・あのね・・・」

「お家でね、お母さんが健太くんを殺す準備をしているのを、さくら見ちゃったの・・・」

「・・・・・」

くも丸も、さすがにさくらちゃんが淡々と語る、まるでミステリー小説のストリーを地で行くような話しには、一瞬あっけに取られて声も出ませんでした。

「だから、お母さんが健太くんを殺すのを止めて欲しいの・・・」

「どうして、お母さんはそんなことをするの?」

「ちょっと、さくらにはハッキリしたことは分からないけど・・・実はね、さくらね、水の事故にあった日にお母さんに“川に桜鱒を見に行こう”って誘われたの・・・」

「さくら、水が嫌いだから本当は行きたくなかったけど、お母さんがまるで鬼のような怖い顔をして怒るものだから、ついその顔を見たら怖くなって“行くって”仕方なく返事したの・・・」

「そうしたらね、お母さんは誰にも絶対に話しちゃ駄目だと言っていたけど、実は・・・その日・・・川に桜鱒を見に行く途中の公園の近くで、偶然健太くんに会ったの・・・」

「ほら、さくらと健太くんって、しょっちゅう一緒に遊んでいるお友達じゃない・・・」

「だから・・・さくらは当然のことだと思うけど・・・健太くんに車の中から声かけて手を振ったの・・・」

「そうしたらね、何だか分からないけど、すごくお母さんは怒ってね、さくらのことをぶったの・・・」

くも丸はさくらちゃんの話しを聞いているうちに、何故?直美が健太くんを殺害する計画を立てているのか、その謎の全貌がしだいに分かって来ました。

さくらちゃんの話は、まだまだその後も続きました。

「へその緒橋に車を止めて、お母さんと一緒に橋の欄干の隙間から川を見ていたらね、お母さんが水の中を桜鱒が泳いでいるというものだから、ほらアタシ背がちっちゃくて見えないから、お母さんに抱っこしてもらって川の中を覗いたの・・・」

「そうしたらね、不思議なことがあったの・・・」

「不思議なことって?」

「さくら、お母さんに抱っこしてもらって川を見ていたはずなのに、だけど気が付いたら一人で水辺に横向きになって眠っていたの・・・」

「その後、さくら夢でも見ているのではないかと思って、何度もお母さんの名前を呼んでみたけど・・・何の返事もないし・・・」

「おまけに、もう日が暮れて川の周りが真っ暗になっていたから、なんだかさくら急に怖くなってね、すぐにお母さんを探しにへその緒橋に戻ってみたのだけど・・・もうお母さんは橋にはいなかったの・・・」

「だから、急いで家に帰みたら・・・」

「さくらが・・・びっくりするようなことが起きていたの・・・」

「い、いったい、何があったの!」

「さくらのお家に、お巡りさんや近所の人たちが大勢集まって、さくらが川に桜鱒を行ったまま行方不目になったって、大騒ぎしているの・・・」

「だけど、さくらここにいるのにおかしいなあと思って、お母さんや近所のおばさんたちに何度も声を掛けるんだけど、誰もさくらの方を見ても返事をしてくれないし、アタシがいることに気付いてくれないの・・・」

「ただ、その中でもとても変だと思ったのは、お母さんがお家に集まったみんなに泣きながら、本当はさくらと一緒に川に桜鱒を見に行ったのに、アタシが一人で友達に人形を見せに行ったついでに、川に桜鱒を見に行ったみたいだと言っていたことなの・・・」

「それって、くも丸おかしいことじゃない?」

「もちろんそうだね・・・」

「だから、さくら、健太くんのお家にも行って彼にも話し掛けてみたんだけど、やっぱりお家の時と一緒で、アタシの姿を見ても声も掛けてくれないし、アタシがいることにも気付いてくれないの・・・」

「だから・・・さくらどうしたらいいのか困ってしまって、ずっとお母さんの傍にいるんだけど、ぜんぜんアタシが声を掛けても気付いてくれないの・・・」

「それに、お巡りさんや近所の人たちの前では、あんなにさくらのことを心配して泣いてくれていたのに、おうちの中でのお母さんの様子を見ていたら、まったくアタシのことを心配してくれている様子はないし・・・なんだか変だなあと思ようになってきたの・・・」

どうやら、さくらちゃんの話を聞いていると、彼女はこの時まだ自分が水難事故に遭い、溺死したことを知らないようでした。

「じゃあ、さくらちゃんは自分が死んだことが、どうして分かったの・・・」
「そ、それは・・・」
「言いたくなかったら無理に言わなくたってもいいんだよ。僕は、警察のように何か取調べをしているわけじゃないし、君のお母さんのように怒ったりはしないから・・・」

「ううん、ごめんねくも丸・・・話したくないんじゃなくて、その時のことを思い出すと怖くなるからなの・・・」

「それって、どういう意味?!」

「それはね、さくらがね、お母さんと一緒に桜鱒を見に行った翌日に、水死体でへその緒橋の下流の水辺で発見されてから、警察病院に運ばれて司法解剖されたり、焼却炉の中で焼かれたりしているのを見ちゃったからなの・・・」

「そっか、辛いことを思い出させてごめんね・・・」

「でも、さくらお母さんのことは、これっぽっちも恨んでないよ。だって、今度はアタシが死んだのは一緒に川に桜鱒を見に行った際に、橋の欄干から誤って足を滑らせて落ちたからだって、本当のことをお母さんがみんなに言っていたもん・・・」

「それって、お母さんのせいじゃなくてさくらのせいでしょう・・・」

「・・・・・」

この時、くも丸はさくらちゃんの話を聞くだけにして、あえて何も反論しませんでした。
それは、ここでくも丸が自分が思っている本当のことを話すと、必ずさくらちゃんを傷つけてしまうことが分かっていたからでした。

ただ、まだその真相は未解決にせよ、さくらちゃんのお母さんのことをここまで愛してやまない、まるで天使のような純粋な気持ちを平気で踏みにじり、今度は我が子ばかりかその友達まで殺害しようと計画している、彼女の母親直美容疑者の鬼母のような行為は絶対に許せないと思いました。


そしてそれと同時に、まださくらちゃんが自分が水死した本当の事情を知らないことが、せめてもの救いだと思いました。




Photo_2あなたの愛で・・・・・
僕らを福島の地に行かせてください!!


「あなたの愛で・・・・・僕らを福島の地に行かせてください!!」
そして、“ひまわり”の種を届けさせてください。
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下家 猪誠




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