想い・思い・おもい ver.2

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第198回 退院時支援を振り返る

2009-10-02 00:52:50 | 実践
Aさん:8ヶ月の入院期間をへて在宅へ。住宅改修・住宅改造(*)、福祉用具貸与、デイケア(週2回)、訪問入浴介護(週1回)を調整。しかし、デイケアへは、「6時間を拘束される」という心理的負担感と膝の痛みがあり、ほとんど利用できていない。本来、短時間のデイケアが望ましいと思われるが、地域にはそのサービスがないため、膝の痛みの緩和のため訪問マッサージ(**)を導入。デイケアは週1回、訪問入浴介護を週2回の利用に変更。
*)住宅改修は介護保険制度、住宅改造は、障がい施策。介護保険対象外の工事が必要な時に、改造内容によって利用することができます。障がい施策は、保険者ごとに対応が異なります。
**)訪問マッサージは、自費もしくは医療保険での利用となります。

Bさん:急な退院だったため、退院から1ヶ月ほどしてから支援を開始。ADLはほぼ自立されているが、高次脳機能障害の程度は重い。アパートであるため住宅改修は行わず、手すり等は福祉用具の貸与で対応。入浴用品も購入。訪問リハビリを週2回利用中。デイサービスの利用も試みたが、疲労感が強く休止。また、途中、眼科の再手術のため約1週間入院。改めて、障がい特性に応じた通所施設(***)を調整中。
***)障がい者への通所系サービスもいろいろありますが、障がい特性に合わせたサービスが充実しているかというと、そうではありません。

Cさん:約1年半の入院期間を経て退院。退院の2ヶ月前より支援を開始。住宅改修、福祉用具貸与、デイサービス(週1回)、デイケア(週2回)、訪問リハ(週1回)を調整。通所系サービスは、リハビリの継続、閉じこもり防止、家族のレスパイト目的。訪問リハはリハビリの継続とともに、家族への介護指導を目的にそれぞれ導入。当初、介護者が1人で不安があったが、ご家族の1人が一緒に関わることができることになり、思ったより落ち着いた退院後の生活が送られている。

Dさん:入院期間3ヶ月。ここ数年、ゴールデンウイーク頃に約3ヶ月の入院を繰り返している。視力の低下が著しく、もともと外出を好まず、家族で介護していた。ご家族も高齢で介護負担が増していると、支援が開始。それでも、まずは家族で介護してみますと、介護保険サービスの利用は福祉用具貸与と入浴用品の購入のみ。退院し1ヶ月経過し、そろそろ通所系サービスを利用してほしいと、お家族の思いであるが、ご本人はかなくなに拒否。これから、ご本人とご家族、それも、配偶者、子、子の配偶者、別居の子とそれぞれのかたの、それぞれを思いやる気持ちをどうおりあっていくのか。サービスの調整どころの難しさではない。

Eさん:入院期間3ヶ月。突然の病で、左麻痺が残る。一人暮らし。福祉用具、デイケア、訪問介護を調整。退院後、約1ヶ月後にあるシルバーウイークには実家(車で6時間)に帰り、先祖のお墓参りにいきたいとおっしゃられ、無事、行かれることができた。約2週間ほどで、帰ってこられる予定。要介護認定の更新申請が待っている。ADLが改善し要介護認定が下がることは必至である。そうなると、福祉用具の利用に制限がかかる。サービスも、今ほどは利用できない。どこをどう減らしていくかか課題である。また、Eさんは、かなりの若年である。介護保険制度より、障がい施策の利用を進め、できれば就労支援につなげたい。

Fさん:元々、左麻痺・重度言語障害あり。自宅で転倒し、大腿部頸部骨折のため3ヶ月間入院。入院前より利用していた福祉用具貸与、訪問リハ(週1回)、訪問介護(入浴介助)を再開。約1ヶ月したところで、突然、歩行による移動を拒否されるが、コミュニケーションをとることが難しく、詳細は不明。訪問リハを週2回にし、また、以前からの担当者が細身の女性であることから、もう1回は、体格のよい男性に支援に入ってもらい、練習では、歩行が行えるようになってきている。

Gさん:腰部圧迫骨折のため入院。リハビリの途中であるが、本人のたっての希望で退院。自宅のバリアフリー工事の完了が間に合わず、マンスリーマンションに約2週間滞在。その後、改めて、自宅にもどる。福祉用具の貸与と、訪問介護(入浴介助)を依頼。

Hさん:自宅で転倒し、両足大腿部頸部骨折のため3ヶ月間入院。住宅改修、福祉用具貸与、デイサービス(週1回)、デイケア(週2回)を調整。長期間、閉じこもった生活をされていたため、初めての医療機関への受診で、導尿病を発症していることが分かり、インスリン注射を必要としている。家族は、施設入所を希望されている。入院を期に他人と関わる機会が増えたため、退院後も、その環境を維持し、外界への興味を引き出すことを、身体的機能の維持以上に通所系サービスに期待したい。

・・・と、ほぼ、退院直後から今までの支援を振り返ってみた。
もちろん、居宅介護支援としてはまだまだ続く訳だが、「退院時の支援」としては、退院前に、利用者・家族にどのような生活や介護への意向・希望があるのか、どんなことに不安を感じているのか、退院後の生活の継続を阻止するリスクはどのようなことがあるのかなどを考え、できる限り、意向・希望がかなえられるとともに、できるかぎり不安、リスクが解消されるようにプランをくむ。それでも、良きにつれ、悪しきにつれ、どのようなことが退院後の生活に生じたかを確認し、評価し、退院時の支援をいったん終了する。そして、それぞれに、今度は在宅生活の継続に向けて、プランを練り直していく。

「支援の終結を意識して支援をすること」そして、その「支援の終結をどう評価するか」
これも、「相談援助する時に何に気をつけいてますか」という答えの一つではないかと思う。
今回は、どの方も、まだまだ支援は続くが、その支援は単一の支援の継続ではなく、新たな支援の内容が発生し、また終結していく。その積み重ねで、支援全体もまた、動いていくのである。その時々の評価も重要である。

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2 コメント

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協働して、取り組みましょう (どりーむ)
2009-10-02 23:29:55
岩清水様、いつもお読みいただき、ありがとうございます。

この業界、「突然の別れ」はつきものなのですが、地域包括ができたことの「別れ」は、利用者さんにも、そして私たちにも、不条理な思いをさせることが多いですね。

システムの問題をカバーしあうこと、そして、問題を提起し、改善の方向に向けていくこと。地域包括と居宅介護支援事業所が一緒に考えなくてはいけませんね。
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終結と継続、そして。 (岩清水)
2009-10-02 21:16:09
いろいろ学ばせていただいています。
終結を意識する。
その通りです。
私も本日、退院支援をお二人に行いました。

ケアマネさんと地域包括では支援の終結の仕方が
異なります。
これは介護保険制度のシステムの問題点です。
長くなりますので岩清水日記で書いてみたいと
思います。
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