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draw_or_die

everything will be worthy but cloudy

最近太ったかも

2007-09-07 13:27:10 | 最近読んだ本
・「チャタレー夫人の恋人」/デビッド・H・ロレンス

 戦争で夫が下半身不随となってしまい、それきり夫婦間に溝ができてしまったチャタレー夫妻。車椅子を引きながら詩作や投資に夢中になる夫の姿に、うんざりし始める妻のコニー。夫の世話をしなければならないストレス、満たされぬ心と身体の欠乏。女としての幸せ、自分自身の幸せを求めて、コニー夫人は次第に他の男との愛に落ちていくのだが…。

 昼ドラ的な三角関係のもつれのグダグダを描いているのではなくて、人間の複雑な心の内面だとか、女の自立とか、そういうものをテーマに含んでいる。特にリアルだな、と思ったのがそれまで良好だった男女の仲が、セックスをした後になると急に怒り出したり、不機嫌になったりする…、という。はいはい、人間関係とはかくも単純にはいかないものですね。
 結局は男女が求めているものって、若い恋人のように抱き合ったり、イチャイチャしたりしたいだけなんだ、という。

 それから、「女は子宮でものを考える」…、はっきり文中には書かれてないんだけど、この受け売りはどこからのものなんだろう?まあとにかく、最初はそういう描写が多くて。チャタレー夫人、欲情しすぎだっつーの。男の何気ない仕草にキュンとなったり、これはややウザイと思いました。でも中盤から恋する乙女のように、情熱的になっていく様は可愛いと思えるようになってくるけど。

 そんなわけで…。チャタレー夫人が好きなタイプかといわれれば、はっきり嫌いなタイプですね。一人でいてさびしいとか、構ってほしいとかそういう人は、僕は好きじゃないです。

もー

2007-08-26 04:37:07 | 最近読んだ本
・「聖なる暗号」/ビル・ネイピア

 地元の地主から一冊の古書の鑑定を依頼された主人公。その時点から奇妙な連中に古書の売買を持ちかけられたり、依頼主が殺されたりと、不可解な展開が続く。すべてはこの、暗号で書かれた16世紀の航海日誌に答えが隠されているらしい。かくして主人公たちは奇妙な集団の追跡から逃れながら、この書物の謎を解こうとするのだが…。

 一方は逃亡生活をしながら暗号を解読していく現代パート、もう一方は大航海時代の16世紀、書き手である少年の冒険譚を綴るパート。両方ともにじゅうぶんなヒキがあるから、読んでいて飽きることはない。結局この書物は何を意味しているのか?これは宝のありかを示すものなのか、それともただの日記なのか…?徐々に謎か解かれていく、もったいぶった書物の書き方が言うまでもなく、この話の主柱となるところ。

 そして少年の手記をすべて読み終わった後に残る、最後の謎。さて宝はどこに眠るのか?タイムリミットを突きつけられながら謎を解く主人公。そしてエンディング。
 いいキャラなのが依頼主の娘で、無理矢理逃亡劇について行くおてんば娘のお嬢様。道中もそうなんだけど、最後はこれに大人たちが振り回されるオチ、というのもいいかも。
「この宝が私にどんな幸運をもたらしたっていうの?こんなモノ、呪いでしかないじゃないの。そういうことなら売ってしまったほうがマシだわ」

 割と歴史や宗教的なBGが絡むのでわかりづらいかと思ったけど、それほど読者を置き去りにせず、登場人物が丁寧に説明してくれるので、そんなに理解しづらいとは感じなかった。

蓋然性

2007-08-15 05:27:25 | 最近読んだ本
・「エデンの黒い牙」/ジャック・ウィリアムスン

 人類上の、恐るべき発見を携えて空港に到着したばかりの博士。その場ですぐさま緊急会見に臨む博士だったが、突如謎の死を遂げる。その影には新聞記者の主人公がさっき出会ったばかりの謎の女、エイプリルの姿があった。かくして主人公はエイプリルの神秘性に惹かれるままに、彼女の黒い正体に深く入り込んでいくことになるのだが…。

 端的に言えば、主人公が謎の女の魅力に惹かれ、知らぬ間にズルズルと暗黒の世界へ巻き込まれていく…というダークヒーロー?みたいな話。というと、エイプリルとかいう女がエロい色仕掛けで主人公を誘惑していく…ようなイメージを思い浮かべるけど、そんなにエロいわけじゃない。むしろエロい欲望というよりも、獣となってものすごいパワーを得ることによって、何もかもを壊したくなるような欲望。

 狼憑き(ライカントロピー)に関するバックボーンも、それなりに上手く説明されている。様々な地方で伝承されている民俗学、ホモ・サピエンスとは異なる人類の遺伝学的な説明、あるいは心理学的なセラピー、などなど。そして獣性を持つことによって、敵となった親友を殺さなくてはならなくなる板挟みの状況。

 でもまあそれでもいいんだけど、やっぱり悪の世界への誘惑、という「引き」がこの話には弱いんだよな。もうちょっとエロい「引き」があってもいいと思うし、何よりも主人公が淡々としすぎる気が。原作は1948年らしいけど、そういう言い訳はナシにしても、もうちょっとエログロを前面に、という方向性で。

 あと文体は三人称じゃなくて、一人称で書いたほうがいいと思った。

ダメっすよその2

2007-07-26 22:18:19 | 最近読んだ本
・「DEATH NOTE」/大場つぐみ・小畑健

 っていうか漫画なんですけどね。

 Lが倒されてからの第2部はどこかグダグダで、あまり読む気もしなかったんだけど、とりあえず読了。漫画自体は12巻で完結で、第13巻としてキャラクターブック&作者インタビューなどが収録されている。中でもインタビューは興味深い。

 原作者の大場つぐみは一体何者か…、は置いておくとして、彼(彼女?)の語った言葉はこの物語のタネあかし的なものがあって、コレがどういう意図で作られたのか、というのが明確になってくる。
「ドラマ要素を排除したので、結果として展開がスピーディになった…」なるほど、そう言われてみればキャラの過去話とか、キャラ同士のカラミは作中には見られない。物語の進行は常にキラ側、L側のどちらか一方に限られる。
 キャラの造詣も意外にシンプルだ。ミサミサは月に心酔している。だから無条件で月の言うことを聞く。魅上はキラの狂信者だ。だからキラの命令には絶対服従する。それじゃあミサと魅上はお互いどう思っているのか、とかはどうでもよくて、キャラクターの性格が単純に「キラ側か、L側か」というスケールで表現できてしまうのが面白いところか(とはいってもミサミサと高田さんのカラミは少しあったけどね)。キラパパは中立、松田はちょっとキラ寄りなのかな?

 最後の落とし方はちょっとわかりづらくて苦しいところだったけど、アニメ版ではやや分かりやすく再構成されている。つまり魅上にやらせていると見せかけて、本当の裁きは高田が行っていた(魅上は偽のノートを普段持ち歩いていた)。しかしその高田が誘拐されて、高田を始末せざるを得ない状況になってしまった。結局月が高田を始末することになるのだが、魅上もちょうど同じ考えに到達していて、本物のノートを金庫から持ち出そうとしたところを運悪く尾行につけられてしまった…、という感じでいいのでしょうか。

 魅上の扱われ方もアニメのほうがいいかな。元々好きなキャラなのでひいき目で。原作の「あんたなんか神じゃない」という発言はいただけない。ペンを突き刺して自殺を図り、その隙に月を逃がす…う~んまあここらへんが妥協ライン。原作の構造のすき間にオリジナルシーンを挿入していくのは、ストーリーの全貌がわかっているだけに楽しみなところだった(監督がギャラクシーエンジェルの荒木哲郎、というのもちょっとひいき目で)。
 Lが死ぬ回の最初に映し出される、おぼろげな回想イメージ。Lがまるっきり、ミステリアスで超人的な存在というのも面白くないじゃないですか。だからちょっとだけ人間味を感じさせる、小さい頃のことを思い出させるようなシーンも入れてみたり、ね。まあ原作でコレやられたらダメですけど。「原作とはまた違ったものを見せる」という意味では、これはOK。ラストも倉庫で終わるのではなく、敗走しながら絶望感にひたる…というのもまた、いくつもある解釈のうちのひとつということでいいんじゃないでしょうか。

もうダメっすよ最近

2007-07-26 08:19:53 | 最近読んだ本
・「共鳴」/イアン・バンクス

 エディンバラの敏腕新聞記者をつとめる主人公。彼はタバコを吸い、アルコールもやり、果ては気つけに麻薬もやる。プライベートでは友人の妻と不倫をしているし、ひとたび記事を書けばジャーナリズムにまるっきり反した、ひとりよがりで敵意に満ちた文章しか書かない…。そういった、割とハードボイルド系の主人公像を持つ彼が一連の猟奇殺人事件を解決していくのか…と思ったら、全然違った。

 いくつかの殺人事件の後、彼は容疑者として身柄を拘束されてしまう。まったくの濡れ衣なのだが、警察官から事情聴取を受けているうちにすっかり弱腰になり、もしかしたら自分がやったのかも…、と泣き出す始末。ここで最初にイメージしていた、主人公のタフガイ像はもろくも崩れ去ってしまう。まあ元々ハードボイルドとか、そういうんじゃないらしいから。

 来る日も来る日も訪れる事情聴取シーン(静的なモノ)の中で、主人公の少年~青年時代のエピソード(動的なモノ)が走馬灯のように挿入されるのは中々面白い構成か。まあこんなふうに過去を思い出しているうちに、犯人の手がかりを解くキーワードがあるんだけどね。

 とはいえ新聞記者の身で自由気ままに悪いことをして生きてる姿は、読んでいて清々しい。それから、酒好き・女好き・麻薬…と、よくあるイメージのキャラにパソコン好き、という要素を加えたのがアクセントになっている(彼は記者なので常にノートパソコンを持ち歩いているのだ)。仕事をさぼってパソコンでゲームをしていたり、新しい機種を買って有頂天になっていたり。ここらへんの、妙に現代的な場面が微笑ましい。

だから7はアンラッキーの数字だって言ってるだろが

2007-07-07 22:48:03 | 最近読んだ本
・「軌道通信」/ジョン・バーンズ

 宇宙船の中で生まれ育った少女・メルポメネー。このお話はそんな彼女の船の中での活動やら、学校での授業のことやら、日々考えていることやらが、とりとめもなく書かれている。よくあるような冒険ものや、殺人事件などのショッキングな出来事はなく、ただ友達と遊んだり、争いあっている話が続くだけ。
 …とはいっても、こういった変化のない日常をそれなりに読ませる形で書く、っていうのは難しいもんだ。

 いちおうの山場は用意されていて、自分たちが何者かに操作されている…と感じていること、秘密裏に詳細を調べてみれば、自分たちの世代が新たな人類コミュニティのための実験であったこと…などなど。まあ読んでみると、妙に親しすぎる兄妹とか、何の後腐れもなく仲直りする生徒たちに、ちょっとした違和感を持つかもしれない。

 メルポメネーの手記という形で書かれているこの小説、終わりが「この物語に結びなんてない。私は生きているのだから、私が生きている限り、この物語は終わらない」と、あえてオチをつけないというのがいかにも子供らしくて、好ましい。
 それから地球から転校してきたトラブルメーカー、テオフィラス。彼を好きになったり、嫌いになったり、別の男の子に恋をしたり、最終的に仲直りをしたり。これもまた子供っぽい感情にあふれているかな。

激務

2007-06-26 17:12:19 | 最近読んだ本
・「茨の城」/サラ・ウォーターズ

 泥棒一家のわたしの家族に舞い込んできた、新しい儲け話。それは田舎の古い城に住んでいるお嬢様をたぶらかして、財産をそっくり奪ってしまおうという算段だ。17歳になったわたしの役目は、そのお嬢様の侍女として働き、この計画をサポートすること。なんてことのない、ちょろい仕事だ。でも侍女としてお嬢様に付き添っているうちに、彼女がいとおしくなり、彼女を欺いていることに心が痛くなってきて…。

 とまあそんなふうに進んでいくのかと思いきや、まったく予想外の展開にもっていってしまって驚いてしまう。そして「騙された!」と、怒りの感情のままに猛然と突き進んでいく後半。というよりもここからが物語のはじまり、といったところだろうか。
 わたしと令嬢、交錯する二人の少女の運命。互いに肌の触れ合いを求めて…、と書くと何だかエロっちくなって安っぽくなってしまうけど、まあこれもまたこのストーリーのキーワードの一つだからいいのか。『秘密の花園』みたいな、エロとは切り離した友情をやってほしかった…とは思った。

John

2007-06-22 05:55:28 | 最近読んだ本
・「怒りの葡萄」/ジョン・スタインベック

 刑期を終え、久しぶりに故郷に戻ってきたトム・ジョード。そこは相変わらず土埃の吹き荒れる、作物もろくに育たない土地だった。そんなところに突如トラクターが現われ、地主は人件費が払えないからと、一家を土地から追い出してしまう。土地を奪われた俺たちはどこに行けばいい?西に行けば仕事があるかもな、カリフォルニアでは一年中果物を栽培しているから…。
 そんなわけでジョード一家は故郷を離れ、全財産をはたいて手に入れた中古車で西を目指すのだが…。

 時代の移り変わりによって生まれてくる貧富の差、それから悲劇。ここでは世界大戦が始まるちょっと前の時代、機械化文明が引き起こす新たな世界像が描かれている。ジョード一家の物語を綴るメインパート、世界全体の流れを移すパート、それから中古車屋やレストランなどの、ジョード一家とは別にスポットを当てた寸劇。これらの多角的なカメラで映し出される映像はまさに、「ああ、本当に時代が動いているんだなあ」と思わせる。

 とはいっても、物語の中核はこういったプロレタリア的なものではなくて、あくまでテーマは「家族」、「故郷」に尽きると思う。明日を生きるために故郷を捨て、旅を続ける。お金はなくとも、家族みんなが支えあって苦境を乗り越えていく…。「どんなことがあっても、家族は離れ離れになっちゃいけない」と、事あるごとに主張するお母さんのセリフこそ、まさにこの小説のメインテーマではないかと思う。

 訳書が古いのか、キャラのセリフに古めかしい感じやひどい訛りがあるものの(まあ原書の雰囲気だろうけど)、読んでいくうちに不思議と味が出てくる。寸劇パートの落語っぽいテンポも、なかなか面白い感じだ。どこの国にも、いつの時代にもこんな場面はあるんだろうけど、やっぱり不況・格差社会の進む現代だからこそ共感できる作品、なのかもしれない…。

テンション低い

2007-06-08 21:05:28 | 最近読んだ本

・「暗黒の復活」/アン・ベンソン

 大規模な感染症によって簡単に渡航できなくなってしまった近未来。アメリカからイギリスに地質調査のためにやってきた二人の女性。彼女らは思いがけず、発掘中に古代のペストを解き放ってしまう。こちらが現代パート。
 方や中世、ペスト感染と必死に戦うユダヤ人医師。ユダヤ人であることへの迫害を受けながら、彼は医師としての使命感からペストの治療法を求め、旅をする。

 で、うーん…。とりあえず現代編が普通につまらない。というよりも、キャラのパニックぶりが全然見当違いというか、すごくムカついてくるんですが。中世編はそれなりに動きのあるストーリーで、まあ最後のほうはペストを治療する「医療サスペンス」的なところとはまた反れてくるんだけど。…まあこういうことを狙ってやっているんだったら、まさに作者の意図どおりということにはなるんだろうかなあ。

 コンセプトやネタ的はコニー・ウィリスの大作「ドゥームズデイ・ブック」に似ている。が、「ドゥームズデイ」よりも完成度は低いし。一言で言うとつまんね。


少年と少女の揺れ動く心

2007-05-30 01:08:35 | 最近読んだ本
・「復讐の子」/パトリック・レドモンド

 第二次大戦中、少女は兵士に恋をした。少女はその兵士の子を宿したが、父親は二度と戻らなかった。残された彼女は人生の全てをかけて子供を愛し、育てることを決心する。これはそんな境遇に生まれた、才能あふれる少年ロニーの成長のお話。

 私生児と言われながら、複雑な家庭環境にじっと耐え、学問に精進する。なんとなくディケンズ的な雰囲気を感じる。(とはいっても時代的には違うが。)そして途中から出てくる、少年と同じような境遇を持つ少女。これもまた、それとなくディケンズ風。

 衝撃的な結末を迎える話筋はひとまず置いといて、これには「親子の愛」の複雑さがよく描かれている。「親子間の愛」と、「夫婦間の愛」の対比。どちらが上かと言われれば、それは親子の愛が何よりも勝る。母親は胎内に自分の子供を宿し、究極的な形で自分の子を包み込んでいるのだから。そこには夫婦や、ましてや他人が入り込む余地などないわけで。
 そういう意味では結婚して妻(夫)を愛し、それから子供を作って子を愛す…、というプロセスはよくできていると思った。タマゴが先かニワトリが先か…みたいな感じの、ね(よくわからんけど)。だから子供が先であとに夫婦、という愛の順番は成立しない。

 これは先に子供を愛してしまった、親の物語。必ずしも容易い道ではないと知りつつも、それでもその道を選んでしまう。なぜなら、親は子を愛さずにはいられないから…。