落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_番外編 CVTの伝達効率

2014年03月16日 | エンジン・自動車

ベルトCVTの伝達効率は業界のタブーなのか、具体的データを目にしたことがない。

と思う方はEPA公開データを参照。

 

2020/01追記 

2019年公開伝達効率データ EPAサイト データ取得はFEV(コンサル屋・請負屋)

https://www.epa.gov/vehicle-and-fuel-emissions-testing/benchmarking-advanced-low-emission-light-duty-vehicle-technology

Transmission Test Data

2013 Nissan Jatco CVT8 Transmission - Test Data Package - Dated 07-15-19 (ZIP) (11 MB,   July 2019)

 

 

************************************    以下は駄文 ***************************************

 

イマドキは、情報はどこからか漏れてくる。カタログ燃費の儲けは、

① エンジン運転点 ハイギヤード=とにかく低回転化 要求駆動力が満たせればひたすらシフトアップし最適燃費線に近づける

② トルコンロックアップ 段付変速をしないので発進後即ロックアップ容易

③ 減速燃料カット 段付変速をしないのでズルズル低車速まで引き伸ばし容易 引き伸ばし過ぎて引き込まれ感がひどい

「引き込まれ感」について、テキトーに計算すると

どう頑張っても燃料カットのまま減速すると、30km/hあたりから下は不自然になり引き込まれ感になる。エンジン回転一定の燃料カットだからエンジン消費パワーPは一定で、車速V、力Fの関係は

P=F×V=一定、 F=P/V = m×(d2x/dt2) = m×減速G 

車速Vに反比例で減速Gが増える。力Fで考えるなら「どんどんダウンシフトしているから減速Gが増える」

引きこまれ感の先の押し出され感は、燃料カット→再噴射 ロックアップON→OFFのどちらか、or同時に両方。赤信号手前で止まりそうなら早めにNレンジへ、が対抗手段。停止位置合わせの再踏込・発進時のD戻し忘れに注意。Nで空ぶかし→慌ててDに入れるのは最もヨロシクない。

ここまで暗黙の了解事項になって10年程度経過。

 

唯一記憶に残っている数字がある。MotorFan 1987年、富士重工部長氏と兼坂弘氏との対談記事で当該誌は手元にないが、

「総合効率で85%」  

見たときの印象は強烈で【メチャ悪じゃん】 簡単には忘れない数字。

オマケで本音ポロリ

「以外と実用燃費がいい」

当時のCVTの動機は、トルク&パワーに余裕がない小型AT車のカッタルサの改善。3速4速ATでは段間比が荒すぎ+荒すぎでロックアップも困難で最上段の高車速以外はトルコン領域で伝達効率メチャ悪。オマケにトルコンはエンジン回転を上げる→(トルコンの中に詰め込んである)ATFを更に加速する、のプロセスを経ないと駆動力が増えないので応答遅れがついて回る。カッタルイのは当たり前。

燃費は二の次三の次だった。「意外と燃費がいい」は「伝達効率は悪い」を含意している。

文章とか、公式発表では本音は全て隠せるが対談相手が一枚上手では・・・

 

伝達効率に戻る。

「総合効率で85%」の条件等は一切不明だが、勝手に条件を推定すると

1 「総合」はオイルポンプ込の意味。オイルポンプ分をチョロまかそうとする業者サンがいるようだが、イマドキは速攻でツッコミが入って退散。

2 終減速機(デフ)無し。ベルト変速部のみ。デフ付きで測るのは新規開発でもないデフ分という外乱が入ってしまうので、フツウはやらないと思われる。デフ込みで85%に届いていたとは思えぬので思い込みを書く。

3 入力トルク=100Nm(最大トルク) 低入力トルクの伝達効率は更に悪い。 

4 入力回転数=1500rpm程度の最低回転数付近。イマドキは1000rpm位だが当時はこの程度だった。入力回転数を上げれば伝達効率は悪くなる。

5 変速比=1.0 重要なのはHigh側だがHigh側は更に伝達効率は悪くなる。 

 

High側で伝達効率が悪くなる理由は、手頃なところでは 

CVT入門 (守本佳郎 グランプリ出版 2004年) に詳細な説明がある。内容を記憶モードで書くと、ベルト(業界用語はリング)とコマ(業界用語はエレメント)、ベルト同士は、変速比固定でも各々相対移動をしている。小難しい話は一切なく、幾何学の話のみ。相対移動があるからベルトが曲げられ動力伝達ができる。互いに力が加わったモノ同志が相対移動すれば損失になる。変速比High側で大きくなる。

「ベルトが滑っているから」は安易に言わないが吉。マクロにエレメントとプーリーが滑ればCVTはゴミ箱行きになる。マクロに滑っているのはベルトの内部。

「マクロ」は、物理学でいう原子分子スケールの対義語としてではなく、もっとアバウトな意味で使っている。摩擦伝動とか、トラクション理論とかは無知なのでこれ以上ごちゃごちゃ書かない。

エレメント~プーリー間に「相対移動」が【皆無】だとは言わない。←どうも相対移動はある模様。1%なのか何%なのかはっきりした数字が出てこないのがまた不思議。「滑り」はいろいろ誤解を招くので当面禁句。定義がなければどうとでも解釈できる。エレメント~プーリーの「相対移動」を計測しようとすると、どうやって計測するの?にたどり着く。高速写真撮影でも併用しないと難癖がつかないデータの取得は無理では?

CVTの伝達効率の悪さ(オイルポンプ駆動パワーは除く 別駆動にしたと思えばいい)が、エレメント~プーリーの【滑り】に100%帰着すると仮定する。CVT(オイルポンプ駆動パワーは除く)は歯車伝動(MT)に比べて少なくとも数%~2桁%伝達効率で劣る。多板湿式クラッチの引きずりガー、オイルポンプガー、とかの(ここでは)本質的でないモノ言いをなくすためMTと比較する。これだけの【エレメント~プーリー間の滑り】(入力プーリー~エレメント、エレメント~出力プーリーの掛け算)が発生していないと辻褄が合わない。これでも【滑っているから】と言いたい方はご自由に。歯車伝動でも歯面の滑りはあるが、歯面のμ=0でも動力伝達が成立するところがベルトCVTとは本質的に異なる。

 

 業界ではオイルポンプが目の敵。最大20気圧とかの高圧(ストール発進では入力トルクが2倍になるのでさらに2倍)で馬鹿力を食うから当然だが、オイルポンプ駆動パワー=0にしても、伝達損失パワーは半分になれば御の字では?オイルポンプを別駆動にしてみれば直ちにわかる。テキトーに調べると、最大油圧は段付ATの2倍以上。「最大」と書くのは、運転条件で油圧はコロコロ変わる(変えている)から。CVTでも段付ATでも電子制御の有無にかかわらずライン圧(意味がすっきりしない業界方言だが、オイルポンプに最も近い、最大油圧、元圧のことで、油圧回路中にESC付ブレーキのような増圧機能はない)制御バルブ(業界方言はレギュレーターバルブ)が漏れなく付いている。

 

オマケ

ここ20年間の燃費低減ネタ

・超飛び道具 High-Low切り替え追加 伝達効率の悪い【最Highかつ中高入力回転数】は使わない

「遊星ギヤ1セットでHigh-Low切り換え追加」は、ダブルピニオン式(ラビニヨ式)を使っているから誇大広告。従来は前後退切り替えはシングルピニオン(フツウの遊星ギヤ)を使用。シングルピニオンでフツウに設計するとRは前進最Lowよりも(不本意ながら)ハイギヤードになる。ギヤ比の数字としての要求はRと前進最Lowで変わらないが、使用頻度でこうしている。

・オイルポンプ駆動パワー低減(オイルポンプ本体、油圧回路、CVTオイル早期昇温)

・エンジン運転領域をいじる ドライバビリティ限界以上に減速燃料カットを広げる

・ロックアップダンパー改良 左上攻め込み+3気筒エンジン対応

・ベルトクランプ力をベルト【マクロ】すべりが発生する限界まで下げる エンジントルク推定(精度はモータートルク推定よりも劣る)が必須

 

ベルトCVTの伝達効率の悪さは誰でも体感できる。クリープが、歯車式トルコンATに比べて格段に弱い。ブレーキを離した直後(アクセルは踏まない)の動き出しが重いのだ。二昔前の、メカロスの塊だった4WDに通じるものがある。

アクセルオフ、0km/h近傍のCVT入力トルク(トルコンの次段)は

・エンジン回転数←言うまでもないがエンジントルクではない

・トルコン特性

で決まる。トルコン特性は大同小異。CVTでも歯車式でも入力トルクは同じ。オイルポンプは、トルコンは経由せずにエンジン直結だからどれだけパワーを食ってもこの条件ではCVT入力トルクには関係ない。馬鹿食い分はISCが持ち上げてアイドル回転を合わせている。歯車式ATとの差分=ブレーキを放した直後の出だしの重さ(アクセルは踏まない)は、ベルト+プーリーで食われることによる。最Lowトータル減速比はCVTの方がローギヤードなので出だしの重さ(フリクション感)の説明にはならない。

最近はNアイドルが標準で(アイドル燃費で2割儲かる EVと同じでブレーキを踏んでいればクリープは無い)、アイドルストップも準標準。Dレンジアイドル回転を無理やり下げる必要性が薄れている。ブレーキを離した直後にクリープを出すためにわずかにアイドルアップするとかはワケ無くできる。厳密に比較したければ、アイドルストップ禁止(ドライバー入力スイッチで大抵は禁止できたとキオク)+ブレーキスイッチコネクタ外しぐらいはやって比較しないとダメかもしれない。わずかなDレンジアイドル回転アップでも、トルコン消費パワーはエンジン回転数の3乗で効くので燃費はメチャ悪となる。

 

チェーン式がいくつか復活している。

http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/ecology/environment03.html

ここに、ベルトとチェーンの伝達効率の比較がある。絶対値は各自が好きな数字を入れる。ベルトの曲げに伴う損失がなくなる+オイルポンプ馬鹿力&プーリーとの摩擦伝動にまつわる損失はそのままと思えば、納得がいく。

伝達効率は条件でいろいろ変わるが、条件を明示した上で、入力回転数×入力トルク×変速比 のややこしいマップになる。3入力1出力 合計四次元でグラフィックに1つの立体グラフでは図示はできない。常用する範囲はこのうち限られたものになる。変速幅が5程度で狭い旧世代では、街中以外は最Highがほとんど、変速幅7超クラスでは最Low比5前後のHigh側を多用していると想像。

グラフは横軸の説明がないが、平坦路一定速と解釈できる。ベルト式の効率ピークは変速比=1.0で、変速幅=5とすれば20~30km/h程度、50km/hも出せば以降は最High、速度を上げても変速比はそのまま(ケーサツの餌速度域になると駆動力不足でLow側へシフト)だが入力回転数は上がりどんどん効率は落ちる。高速燃費はメチャ悪。ウルサ方は、変速中の伝達効率まで気にしそうだが、個人的にはどうでもいい。

 

ラバーバンドフィール

四輪車のCVTで話題になる。意味するところは、おそらくまず第一に加速初期のG抜け、ヒョイヒョイ変速をまず止めるしかない。目標エンジン回転をいきなり持ち上げず、変速応答を考慮した上でそれなりの速度で上げる。と文章に書くのは簡単だが・・・変速比幅を広げて、巡航時のエンジン負荷率を上げる(エンジン回転を下げる)ほど、G抜けはシビアになる。最大トルクとの差が小さくなるので、加速に使えるトルクが小さくなる。

超ワイド変速幅段付き変速ATで、回転~トルクマップの左上を目一杯攻め込んだ設定をすれば(しなくてもダウンシフト時にエンジン回転を持ち上げる分は)G抜けするが、こちらは「踏み込みダウンシフト」として認識される。

変速幅ついで

「ATはトルコンで1速分もうかるからその分ハイギヤード」は、超ワイド多段の出現で過去帳入り。1速はMT相当までローギヤードにしている。

表向きは「動力性能」とするようだが、真意、真のユーザーメリットは極低速のフィーリング改善。1速ハイギヤードはトルコンスリップ増大がフィーリングを悪くする。ヌラ~っとした例のぼやけた応答のことで、お好きな方もいるだろうがフツウは嫌う。燃費もちょっぴり儲かる。トルク増幅域を使うほど燃費は悪くなる。

 

スクーターは気にならないのは以下の理由か。50ccは公道上の乗り物(四輪車との混合交通前提)として非力過ぎるので対象外で、絶対パワーが圧倒的に不足してはラバーバンドもクソもないそれ以前の話。

・変速幅が狭い(3前後 二輪はMTも変速幅3前後) 最Highで最高速が出る設定

・騒音規制対応の制約がない限り、車速に対しエンジン回転は斜め上げ

・変速幅上は最低最高エンジン回転が使える車速でも、実際には使わない(機構の特性上使えない?)

・パッシブな機械式で変速機構が根本的に異なる。大型車に電子制御式があるが変速幅は狭い+電子制御はプライマリプーリーのみでセカンダリプーリーのトルクカムはパッシブのまま。

オマケ

マニュアルモード付某大排気量車は、変速幅が3を超えていて二輪では異例に広く、マニュアルモードを使うと通常変速線よりエンジン回転を落とせるが、ここは振動の嵐で超不快で実用性無し。走行距離〇万超えレンタルなので新車実力は不明。通常変速線は振動を逃げて設定されている。二輪は元々空気抵抗大+エンジン回転高い+車重は軽いでダウンシフトエンブレの必要性は少ない。加速性能は余裕の塊でマニュアルモード不要。ギミックに過ぎないと判定。元々の変速機構がフル電子制御なのでタダ同然で付けられるが。

 

MTでCVT以上の街中燃費(高速巡航以外)を出そうとすると、多段(最低6速か)+ワイドレシオ(最Highは燃費ギヤで最高速は出ない)+加速に不安感が出るところまでどんどんシフトアップ+減速はさぼらずに燃料カットを維持する回転ギリギリに30km/h程度まではこまめにダウンシフト、が必要。できるだけ低回転を維持し燃料カット時間を稼ぐ。20km/h以下はギヤ抜き。減速しすぎて再加速のロスを回避する。伝達効率の大差は軽負荷多用ですぐに食われてしまう。      

 

CVTの伝達効率が悪いのは、四輪車用に限ったことではない。スクーター用でも同じ。

エンジン、車重、変速比(最High)、タイヤが酷似しているチェーン駆動車、ベルトCVT車の60km/h定地燃費を比較する。大差でCVTが悪い。これが伝達効率差。オイルポンプがなくてもバカにならないロスがある。損失メカニズムは金属ベルトとは別物のようだが、損失は熱になり、材料が高温に弱いので冷却ファン必須。ゴムベルトの動力伝達損失はおぞらく材料のヒステリシス損失が主。金属ベルトの「曲げに伴う内部構成部品間の滑りによる損失」と、巨視的には似た現象に帰着する。これに「プーリー円周方向の滑り」(ベルトがピッチ円周方向に弾性変形すれは必然的に生じこれで動力伝達ができる)「ベルトの半径方向の滑り」が複合しているようだが、定量的に各々の影響ははっきりしたものがない模様とだけ書いておく。これに「各部が摩擦力で動力伝達するための馬鹿力を受けることによる損失」が加わる。非金属ベルトはμが大きいので金属ベルトよりもプーリー推力は小さいが、小型スクーターのセカンダリープーリーでもスプリングコンプレッサーがないと押し込めない力が加わる。更に金属ベルトCVTは「オイルポンプ消費パワー」が乗ってくる。

60km/h定地燃費の悪さを見れば、ゴムベルトCVTの伝達効率(@60km/h定地)は確実に10%以上チェーン駆動に対し劣る。この条件では変速比は最Highでエンジンrpmは大同小異、走行抵抗は大同小異、BSFCはCVTの方が伝達効率が悪い分負荷が高くなるが大同小異、燃費の悪さの主因は伝達効率に帰着する。「Vベルト 伝達効率」でググると「91~94%程度」なる数字が出ているが、この数字は良すぎ。それでもチェーンに比べればメチャ悪で、過負荷のときは滑らせる前提で変速機構無しの数字?スクーター用CVTは更に悪いと思って間違いない。同じサイトで「Vベルトの滑りは一般的には通常運転時0.5%~1.5%程度」なる数字(「Vベルトの滑り」の定義が?だが、例えば等ピッチ円半径としたときの入出力回転数差のことを意味すると勝手に想像)が出ているが、これだけでは伝達効率の悪さの説明にはならないのは↑に書いた通り。

 

160911追記

エンジンテクノロジー誌 (2004/12 山海堂) p54~p59に、スクーター用CVTの伝達効率が算出できるデータがある。2st直噴(低中負荷HCCI)の記事。

① 385cc 4st  エンジン単体出力  19.8kW   後輪最大出力 15.9kW

② 250cc  2st直噴  エンジン単体出力 20.8kW  後輪最大出力 16.8kW CVTは①流用で2次減速比のみ変更

③ 250cc 4st   エンジン単体出力  13.2kW   後輪最大出力 10.0kW

CVT伝達効率は(Vベルト変速部以外の減速ギヤ込)

① 80% ② 80% ③ 76%  (全てエンジン最大出力かつ最高速付近)

CVTを歯車式変速機+チェーンに置き換えるだけで、後輪出力は確実に10%以上アップする。

この数字、「意外と悪くないじゃん」と思ってはいけない。プーリー押し付け力、Vベルト等のスペックは最高速、最大出力、最大トルクで機能性能耐久性信頼性を満たすように設計される。↑は伝達効率の最良点(に近い)条件で、負荷、速度が下がればメチャメチャ悪は確実。機械式CVTで油圧制御系は皆無で、ベースのプーリー押し付け力(ベースのベルト張力を与えていて緩み側の張力≦0になると機構として成立しない)はセカンダリープーリー内の圧縮ばねで与えられている。ばねだからオイルポンプ馬鹿食いと違ってタダでネンピに関係なしと言い出したら馬鹿で、必要以上のプーリー押し付け力は無意味なゴムベルト変形、動力伝達損失に直結する。少々の設計変更程度で、「伝達損失を10%削減」ならともかく「CVTの伝達効率を10%改善」したらしい。60km/h以下の巡航条件での話で、元々がメチャ悪だからできる話。

 http://www.jsae.or.jp/engine_rev/enginereview_04_01.php のp5参照。

目盛を勝手に記入すると↓ 伝達効率の絶対値がこれより悪いことはありえるが良いことはありえない。理由は毎度書くように、60km/h定地燃費の悪さである。これ以外に大差を説明できる理由がない。記事からは不明だが、二次減速部のフリクション低減にも触れていて、トランスミッションASSYでの伝達効率と解釈しておく。

他社よりも何がしかのアドバンテージがあるかもしれない某社でも、この程度の伝達効率。曲りなりにも伝達効率に言及している。他社から伝達効率の話は聞いたことがない。やりつくしてゴミも出ないのか、販価がとれるわけではないから何もしないことにしたのかは知らない。

 

自技会20004399 乾式複合ベルト式CVT 伝達効率マップ

ベルトの細部構造は違うが、セカンダリプーリーにトルクカム+圧縮ばね、プライマリープーリーはモーター駆動で電制で、構成は一般的なスクーター用CVT(電制)と同じ。某大排気量スクーターは登場以来これ。スクーター用クラッチは遠心湿式多板で四輪用は電磁パウダークラッチ。これが四輪車用として廃れた理由のゲスの勘繰りは、

「トルコン対応が困難」

ベルト強度、「乾式」でベルト&プーリー周辺に油は禁物であることは無視したとしても、電子油圧制御ならストール発進時のみ油圧を2倍にするとかはワケなくできる。プライマリプーリーの押し付け力を2倍にすれば一緒じゃねとか言い出したら思考停止の精髄反射で、入力トルク限度を上げるにはセカンダリプーリーの圧縮ばね押し付け力を上げねばならない。発進時入力トルク対応の為だけの理由で、全域伝達効率は悪化する。

金属ベルトCVTで話に出る変速比の要素がマップ上にないが、なくてもイメージは掴める。全開、全閉、R/Lの動作点を勝手に記入するだけ。入力回転数が上がるほど効率が良くなるのは金属ベルトCVTとは逆の傾向。ベースの損失は初期設計で決まり低負荷ほど伝達効率は低くなる。R/L線を記入して、↑↑の伝達効率と比べてみると、「形の雰囲気」はソックリである。

 

オマケ

本CVT(四輪用)は、タイヤロック急停止時のLow戻り不良対策として「ツーウエイクラッチ」(正回転、逆回転方向共有効なワンウエイクラッチ クラッチ→リバースギヤ→CVTの構成のためリバース時はCVT逆回転 以下TWCと書く)なるものが付いている。開発者の解説がわかりにくいのでゲスの勘繰りを書く。「ベルト空回り」とは絶対に書きたくなかった模様。「ベルト空回り」状態は絶対にあってこれがないとシステム構成が無意味になる。

二輪車用CVTは100%セカンダリプーリーにクラッチが付いているので、エンストしない限りCVTは回りっぱなしでLow戻り不良はカンケーない話。

CVTと「発進用ギヤ列」が並列で配置されている。並列配置の「発進用ギヤ列」の途中にTWCがある。他にクラッチは見当たらない。「電磁パウダークラッチ」はエンジントルクのON-OFF用(中間的トルク制御も可能)でここでの話には関係ない。

TWCサプライヤーのNTNの解説。

 
駆動系模式図を見ると、前後進切り替えはドライブギヤ、リバースギヤをインプット軸との間で締結~空転を切り替えて機構はMTと同じだがリバースギヤも常時かみ合い、ギヤを辿るとTWC入力&TWC出力の回転方向は同じ、Dレンジを正回転とするとRレンジは逆回転、TWCとはそういうことね・・・と想像できる。

①タイヤロックさせて急停止 CVT_Ratioは中間減速比のまま

②発進 CVTプライマリープーリーを広げるがセカンダリーは中間減速比のベルト位置のままで、CVTの回り始めはベルトは空回り。セカンダリーに馬鹿力を加えて動かす(押す)ことはできず、圧縮ばねで押されているだけである。CVTベルト空回りで、発進用ギヤ列がトルク経路となって発進。ここでベルトを空回りさせないとTWCの機能でCVT_Ratioでの発進になってTWCは無意味になる。

③動き出すとどこかでベルトが食いつこうとする。半端にHigh側でベルトが食いつくとこのCVT_Ratioで動力伝達してしまうので、通常の「最Lowリミット」よりプーリー幅を広げて「エマージェンシー最Low」までプライマリプーリー位置を戻してベルトを空回りさせている。「エマージェンシー最Low」へプーリーを広げてベルトを空回りさせれば、発進用Gear_Raioで走行。プライマリプーリーポジションセンサーで「エマージェンシーLow位置戻り」を判定する。

④プライマリープーリー幅を狭めるとどこかでベルトが食いつく。CVT_Ratio>発進用Gear_Ratioの状態は「インターロック」になるので、このとき必ずCVT_Ratio≦発進用Gear_Raioでなくてはならない。発進用ギヤからのTWC入力トルクは0になり空転状態となる。CVTからのトルク入力で走行。

⑤「発進用ギヤ」のトルク経路を常時使っているか、Low戻り不良時のエマージェンシーかは「設計的」にも「実力的」にも不明。CVT_Ratio>発進用Gear_Ratioの状態は「インターロック」になるので、セカンダリープーリーのLow側変位を機械的に規制している。常時「発進用ギヤ」のトルク経路を使う理由も見当たらないので、通常時はCVT_Ratioの最Lowは発進用ギヤよりわずかにHiレシオにして(エマージェンシー時プライマリープーリー幅より、通常時最Lowプライマリープーリー幅は狭い)、「発進用ギヤ」は実質エマージェンシーでは?100%確実に「発進時は発進用ギヤで走行」するためには毎回、発進時はエマージェンシー最Low幅までプライマリープーリー幅を広げてベルトを空回りさせる必要がある。そのようにする理由、意義が見当たらない、

と書いたものの解説記事は「毎回ギヤ発進」(=毎回ベルト空回り)のように読める。Low戻り不良は「毎回のように」発生するとは書いておらず減速Gによる。Low戻り不良を↑図のセンサーで直接検出することはできない。食いついているか空回りかの区別ができないから。トルコン付けて発進時トルコンからの入力は発進用ギヤで受けるのなら「発進用ギヤで必ず発進」はアリ。と書いたものの発進用ギヤ→CVTに乗り替わる前にトルコンをロックアップせねばならず、「つなぎ」がうまく成立するか?ベルト切れ時は発進用Gear_Raioで走行できるので、ベルト切れ時の退避走行用に役立った模様。

番外

「発進用ギヤで発進」の状態(CVTベルト~プーリー間が空回りでトルク伝達無し)はTWCで「コースト側フリー」(タイヤ側からエンジン逆駆動不可のエンジンブレーキ無し状態)で、「発進用ギヤで必ず発進」をやりたくなる。本CVTは電磁パウダークラッチ(富士重の初期ベルトCVTと同じ)で、減速側はこれで誤魔化すことはできる。

長々と書いたが、自技会9534207を見返すと、「発進時は必ずギヤ発進」とある。ベルト素人としては、走行→停止→走行で「ベルト空回り→食いつき」を必ず繰り返す使い方が?なので↑を書いた。この辺はセッティングでどうとでもなるが、減速G(セカンダリ回転センサ)等でLow戻り不良が高精度で推定できれば疑わしきときだけ空回り、そうでなければ毎回空回り。

と書いたあと自技会20014752を見ると、スペックが判明。

変速比 発進ギヤ:2.03  Belt Low:1.98  Belt High;0.46  ベルト変速幅 4.3 

フツウのCVTの変速比は眺めて終わりだが、本CVTは設計上重要な「発進ギヤ」と「Belt Low」の差、比をガン見する。↑に書いたが、発進ギヤ<Belt Low は「インターロック」。Belt Lowがどれだけばらつくかがいつも開発者の頭の中にあるので、ベルト変速比の小数点3ケタ表示は無意味として2ケタで止めている。2.03/1.98=2.5%のマージンだが、経時変化として「ベルト伸び」「ベルト摩耗」「プーリー摩耗」を考えるとBelt Lowは小さい側(High側へ)変化するので「これで良し」としている模様。スクーター用CVTも同じで、プライマリーセカンダリーとも「最狭幅」が機械的に規制されるので、上記経時変化に対して最Low、最High共「変速幅が狭くなる側」に変化する。

Belt Low 1.98(ベルト食いつき限界)よりプライマリプーリー幅を広げて「ベルト空回り」でギヤ発進。「ベルト空回り」とは、ベルトに張力が与えられず少なくとも1つのプーリーがトルク伝達しない空転状態のこと。皆様大好き?な「ベルト滑り」に非ず。

 

180406追記 180226付 T社プレスリリース Direct Shift CVT

「発進時は必ずギヤ発進」をウリにするモノが登場。「ベルト空回り」はないはずで↑とは別物だが、「歯車伝達とベルト伝達の切り替え」という面は同じ。ベルト&プーリーは接触状態で滑り無しで回しているが、トルク伝達には寄与しない状態(プライマリ軸orセカンダリ軸とプーリー間がフリー)で「ベルト空回り」に非ず。

広報的一般人的には「発進性」「1速→2速ショック」ばかり注目だろうが、ヲタ的には

①クリープは強く(マトモに、フツウに)なったか?動きだしのフリクション感がなくなったか?微小アクセル発進は軽快になったか?「軽快」であって「早開きオラオラ発進」に非ず。ここがカイゼンされないようでは意味半減で看板に偽りあり。ブレーキ離すとアイドルアップするようではイカサマ。歯車式ATはそんなことをやらずともフツウにクリープする。

↑を書いて思い出したが、金属ベルトCVTのコーストダウン法による走行抵抗は一般にMT・歯車式ATより悪く出た。ドリブン側にクラッチがないタイプではNレンジでもタイヤからベルト&プーリーが回されて有意にパワーロスする。Nレンジだから馬鹿力でベルトクランプはしていないが、エンジンパワーを伝達しない状態でも有意なパワーロスがある。シャシーダイナモ上では減速時間で合わせるのでベルトロスはチャラになるので物理的におかしなことにはならない。

更に思い出したのが4WDの燃費測定法。フルタイム4WDなら、4WDでコーストダウンタイム測定→車両を2WDに改造(センターデフロック)→2WDシャシーダイナモで4WDのコーストダウンタイムに合わせる。これがデタラメであることは誰の眼にも明らかで、プラス二輪を駆動することによるパワーロス、前後輪のケンカによるパワーロスを再現できない。話題になったのが大昔だが、イマもこのまま?関東北部某所にはとっくに4WD C/Dが導入されているようだが。

切替スイッチ等で2WDにできる車種は、2WDでコーストダウン測定→2WDで燃費測定と思われ。「思われ」なのは、かかわったことがないから。

②ベルトに対するトルコン経由トルク入力の回避は設計上意図しているか?(←その臭いがする) それによる儲け代は?

 

 

自技会9731325 乾式複合ベルト式CVTの伝達効率解析 より引用した伝達効率は↓。

伝達効率の数字は勝手に記入。トランスミッションASSYで、デフは左右直結(等回転数)での測定。軽自動車用なので、トルクは1/5負荷程度の軽負荷。

 

ベルト自体は違うモノだが、

「金属ベルトCVTのオイルポンプ駆動パワー=0にしても伝達損失パワーはいいとこ半分」

のかつての個人的感覚と一致する。

金属ベルトCVTはRatio=1.0付近に効率のピークがくる特徴が出ている。

Ratio違いの効率は↓

数字は勝手に入れたのではなく元記事のままの数字、と太字で書かねばならない。

 

 ↑↑のグラフとは、Ratio=0.5の効率が違うようだが、この辺の事情は知らない。

記事では、High側の効率悪化は、セカンダリ側の回転数上昇によるとしている。トランスミッションASSYなので、減速ギヤ、デフが付いている状態。

ベルト+プーリー単体での伝達効率は↓ High固定のプーリー推力違い。赤字は想像で勝手に記入。

入力トルク50Nmに対し2000N(≒200kgf)のセカンダリープーリー推力だが、これでも同一入力トルクの金属ベルトCVTに対し随分と小さな値。

 

某大型スクーターのネンピは、「なんとか許せる」「許容下限」程度の水準。「High側を振動で使い切れていない」ことは感じられた。よりHigh側を使えばネンピ向上するのかは伝達効率×BSFC次第。加速性能に問題が出るかは知らない。

 

60km/h定地燃費ついで

四輪車は1998頃に記載義務が消滅しているので、MT、CVTの定地燃費が比較できる車種は限られるが、手元の数字で比較すると全てCVTが悪い。最Highのトータル減速比は、全てCVTの方がハイギヤード。

 

↑ は、CVTの事実現実。自動変速代はタダではないが、無段変速代は輪をかけてタダではない。現状では定常の伝達効率が歯車に対して良くなる要素は皆無で

良くなると考える方がおかしいのだ

無段変速代がタダではない理由はいろいろある模様で、理論的定量的に突き詰めると泥沼にはまるようだが、一般人の関心事は

伝達効率は? 

だけ。

ググると、玉石混交でいろいろ引っかかる。素人物(職業の意味ではなく、筋の通らない説明)&業者物(カイシャの規模がデカかろうと、売れりゃいいだろの事実真実から外れた内容は業者物)は一発判定、即場外退場。中の人としては、アレ以上は書けないところまで書いているので伝達効率はアレぐらいと思えばよく、最良点の伝達効率は30年近く停滞中。エンジンの目玉燃費率も似たようなモノ。

 

こうしてみると、CVTは「現物先行」「実用品が先にありきで定量的理論は後から」の色が強い、と書いたがマトモな実用品は現物先行がフツウ。理論先行の代表は誰でも知っているアレで、ガラクタ以下の面倒な存在。

ゴムベルトCVTも現物先行で、

http://global.yamaha-motor.com/jp/profile/technical/thesis/pdf/browse/47gr02.pdf 

2011年時点で、これが立派に仕事として通用する。当方はこれを理解できたのではなく、ヤヤコシサに感心したのみ。一方通行ではなくあちこちに【機械的な】フィードバック系がある。系のmodelは後知恵で、ゴムベルトCVTの原型に達するには思考+試行錯誤の連続と想像できる。一発で探り当てたのなら天才or幸運による。関心事は「プーリー推力極小化の観点から、このシステム構成は合理的か?」ケチれそうな気もするが、変形亜種が全く出現しないところを見ると、安易にいじってもどこかが破綻するのだろうと想像しておく。

プライマリプーリーをウエイトローラー→電制に変えても実質は同じで、変速線設定の自由度が増える+マニュアルモード+最低エンジンrpm底上げモードぐらい。変速線自体は大して変わっていない=純機械式で実用上不足のない変速特性が得られている。250ccクラスに付けたところで元々の車重が肥大化しすぎでデブにつける薬はなく、最重量級は「冗談でしょ?」の220kgを記録して自滅。大型クラスなら全てが余裕の塊で必要性は?気まぐれ的散発的に採用車種があるところに性格、正体が現れている。ウエイトローラーと比較して、コスト、重量、占有空間、信頼性、消費電力等の不利要素を覆すメリットが現状では感じられない。少なくとも定常的な変速比特性は、プライマリープーリーで部品ばらつきや経時変化の影響を吸収できるので、振動の限界までエンジン低回転に攻め込む(四輪と同じ考え方)設定はできそうではあるが、余裕駆動力がそれなりにあることが前提。G抜けだらけになってはソッポを向かれる。

 

こう書くとMTまんせー風だが否。客の立場で言えば、バスタクシーは全てAT→CVTが当然の姿。やっとMTタクシーは絶滅したようだが。達人が運転したところで、客には迷惑なG変化が必ず出る。エンジン音とかG変化とかドライビングプレジャーとか「味」とかは客にはどうでもいいことで、静かスムーズショックレス以外は「ハイソウデスカ~」

コスト、パフォーマンス、その他に一長一短がある。行く先は、一長一短がどう変わるか+客がどれを選ぶか次第。

 

 

オマケ

遊星ギヤと組み合わせた「トロイダルIVT」(IVTのアイデア自体は骨董品らしい)の「ギヤードニュートラル」は要警戒な宣伝用語。珍語の発明者は日本人ではなさそうで、宣伝用珍語の発明は万国共通。この状態は、フツウの人の頭の中にある「ニュートラル」状態ではない。「ギヤード出力軸0rpm固定」「タイヤロックされた状態」で、「ギヤードパーキング」。ATCVTのPレンジとドライバーから見た車両状態は同じで「エンジンは0rpm~レブリミットまで空ぶかしできる・任意のrpmで回せる」「タイヤは0rpmに拘束されている」

これでは宣伝にならないが、機械的にはこの状態。

と書いたがコレまた算数の世界だけの話になって

「ATCVTのPレンジとドライバーから見た車両状態は同じ」

にするのは現実的には不可能。

CVT_Ratioを「ビタ一文狂いなくギヤードニュートラルになるRatio一定値」(遊星ギヤの歯数で決まる)に保持し続けない限り、エンジンrpm=0以外では車両が前後どちらかに動く。お決まりの「フィードバック」は無駄な抵抗で、目標CVT_Ratioからわずかなずれがあってもエンジンが回っていれば車両が前後どちらかに動く。「車両の前後動を検出してCVT_Ratioを制御する」とかはバカの上書きで、永遠に貧乏ゆすりを続ける。

完全クラッチレスで、前進⇔後退がウマクいくことになっているようだが信じる人はオヒトヨシ。完全クラッチレスではタイヤ~エンジンが常時何らかのギヤ比で拘束されているから微速での操作性がダメ。「ギヤードニュートラル」はタイヤロック状態でタイヤは理想的には0rpmに拘束されている。ダメな一例は、微速で急ブレーキすると100%エンスト。エンスト後はCVT_Ratioがギヤードニュートラルになっていると思うのはオヒトヨシで、スターターを回すと車両が動く。「タイヤrpmに応じてCVT_Ratioを制御する」は絵空事で完全に追従できるワケがない。回転物が止まった状態で変速できるの?

クラッチトルクを電子制御しても微速での操作性が満足できないから大型トラックのAMTはクラッチペダルを残している。クラッチを切る=タイヤとエンジンがギヤ比で拘束されているのを解放。半クラも同じで、この状態がないと微速での微小なコントロールができない。トルコンも発進時の主機能は発進用クラッチで、エンジン~タイヤを固定された減速比で拘束していない。

乗用車ぐらいなら完全クラッチレスCVT_Ratio制御のみで微速の操作性は成立♪ を信用するのは信者の勝手。と書いたが「微速の操作性は成立」を判断するのは信者ではなく、客=フツウの人。1速クラッチONのままではどうやってもギクシャクする。1速エクストラLowならクラッチONのままでもギクシャクしないでスムーズ♪ を信じるのは信者の勝手だがフツウに考えれば単なるバカ。バカなる理由=減速比がLow側になればなるほどがギクシャクが厳しくなることは「味ガー・プレジャーガー」とかの「文芸」を無視する人間でもわかっている。

THSだって変速比無限大だろ?残念でした、エンジントルク分割比≒0.7、ファイナル=フツウなので、ムリヤリギヤ比換算すれば5速(OD)相当。アバウトに言えばLowレシオ(相当)のエンジン動作点になるほどパワー伝達は電気伝達割合が増える+エンジン→タイヤのトルク伝達は変速比(相当値)にカンケーなく常時5速(OD)相当だからドラビリは楽。

完全クラッチレスのEVとの違いは、

・エンジンはアイドル回転以下では運転不可能 正確に書くと、実用下限回転=アイドル回転

・モーターは負トルク~0トルク(空回り)~正トルクに【連続的に】【高応答で】制御可能だがエンジンは不可能

・エンジンはトルク変動の塊だがモーターはトルク変動小 エンジンのトルク変動はトルコン、クラッチを滑らせる、フライホイール、ばねダンパー等で誤魔化している

完全クラッチレスでは車両として成立しないのでどこかにクラッチは必要。仮にビタ一文狂いなくギヤードニュートラルのCVT_Ratioで車両停止、IGN key off→そのCVT_Ratioをビタ一文狂いなく保持して次回エンジン始動が可能としても、シフトポジションN、Pは必須。「CVTはビタ1cmたりとも牽引はまかりならん!Nレンジはない!」とゴリ押しが通るワケがない。ゴリ押しを飲んでまで買うのは狂信者だけ。押して移動すらできない、燃費試験のコーストダウン(惰行法による走行抵抗測定)は不可。当たり前になった「走行中Nレンジ相当のドライブシャフトフリー回転状態」は他のネタに比べればタダ同然なのでやりたくなる。

どうせクラッチ付けるならCVT_Ratio を往復で使って変速幅稼ぐのが「High Low切替」。変速幅無限大だからファイナルギヤでどうとでもなるから「変速幅稼ぎ」もクソもないのでは?実は「変速幅稼ぎ」もクソもあって、「ギヤードニュートラル」近傍はCVT_Ratioに対してT/M減速比の変化が立ちすぎていて安定的定常的に使えない、はゲスの勘繰り。ファイナルギヤをHighにしてギヤードニュートラル側に常用域(発進⇔停止の極低車速以外の領域)を寄せると、わずかなCVT_Ratioの変化でギヤ1段分ぐらいは変速比が簡単に動いてしまう。限られたCVT変速幅を遊星ギヤで前進最High~ギヤードニュートラル~後退最Highに割り振ることによる必然。実効変速幅(MT、ATの1速相当~最High)は10ATにも楽勝!とはならない模様。

動機は知らないが、¥重量体積部品点数切替要素が増えることをわざわざやるのは理由がある。変速速度程度では誰も振り向かず、むやみに速くしたところでダウンシフトのG抜けがひどくなるだけ。変速速度の自由度が増えれば(任意の変速速度で変速できれば)この辺は料理の余地が増えるが

「味ガー」

「リズムガー」

「切れガー」

さんにお任せする。最低限伝達効率と実効変速幅で多段ATに勝てなければ出番はなし。誰かさんのゴリ押しで出番を作ると→皆様不幸になる。

某社1は数年で見切りをつけて撤退、胴元の某社2も撤退した模様で「最後屁」の後は音沙汰無し。最後屁を撒いての撤退は稀有な事例で、こっそりやめるのが通例。

 

 

190608 ダイハツD-CVT 「ベルト+ギヤ駆動」のパワースプリット

どこかで見たような・・・ベルトモード(低車速)⇔スプリットモード(中高車速)の切り替えは無視してスプリットモードだけで見れば

サンギヤ: CVT(セカンダリプーリー)

キャリア: CVT(プライマリプーリー)、エンジン

リングギヤ: タイヤ

Nc/NsをCVT_Ratioで制御してエンジン変速比 Nc/Nr を変える構成は↑のIVTと同じ。

CVT_RatioでNrを逆回転させる「IVTモード」は使っていないように見える。リバースはベルトモード? ヤヤコシイので詳報待ち。

ダイハツD-CVT(遊星ギヤによるパワー分割)は「伝達効率を最大8%カイゼン」らしい。ベルト伝達効率が悪いからベルト伝達のパワー分担比を下げて伝達効率カイゼンする。