マタニティブルー①

　授乳は大変だったけど、

　大泣きするセガレもかわいそうだったけど、

　乳首は痛かったけど、

　仕方ないと思ってました。

　
　夕方、ダンナがいてる時に義父母が来ました。

　そこへ夜の授乳指導がありました。

　ダンナと義父は部屋を出て行きましたが、義母は

　「私はいてるでっ！」

　と部屋に残りました。

　セガレが生まれた時、

　「おっぱい飲んでるところを見たい」

　と言っていた、と母が言っていたので。

　あぁ～、これか。と思いました。

　人にもよりますが、私は女の人になら授乳しているところを見られるのに抵抗はありません。

　なので授乳指導中、義母が見ていることに嫌悪感はありませんでした。


　そう、それがニコスケの大失敗・・・。


　授乳指導中、セガレは大泣きです。

　「お母さん（ニコスケ）、もう少し赤ちゃんの頭を右に。」

　「もうちょっとしっかり首を押さえて」

　と指導してくれています。

　義母は

　「あ～セガレ泣いてるよー」

　「かわいそうに・・・」

　と大きな声で言います。

　助産師さんにも

　「おっぱい出ないんですか？！」

　「もっとブワーと乳腺張りますよね？普通。張ってませんよね？」

　「もっといいグッズ（吸引器や乳頭保護器）はないんですか？」

　など質問攻めです。

　助産師さんは

　「まだ授乳始めてすぐなんでこんなもんですっ！！」

　とはっきり言ってくれました。（少しキレ気味、でも実母と思ってる様子）

　結局ほとんど飲ませられなかったのでミルクを飲ませましょう、と助産師さんと私は部屋を出ました。

　助産師さんに「あの人は姑」と言うと絶句しました。

　やっぱり・・・実母だと思ってたよね。

　そうよね、あんなはっきり言うんだもんね。

　私の母は辛口だけど、あんなデリカシー無しではないよ。

　「す、すごいね・・・同居じゃないよね？あ、別居？よ、よかったね・・・。」

　と安心されました。

　
　ミルクを持って部屋に戻るとダンナと義父はまだ戻っていませんでした。

　セガレにミルクを飲ませていると義母は

　「ママー、なんでママのおっぱい出ないのー？」

　「なんでミルクなのー？」

　「なぁ・・セガレ、ママにばぁばが代弁しといてやるわな。」

　「セガレ、かわいそうになぁ・・・」

　

　しくった・・・。

　
　
　翌日も同じ時間に来る義父母に備えて早めにミルクを飲ませました。

　（親の勝手で飲ませてごめんね、セガレ）

　しかし義父母はいつもより遅く来ました。

　そしてまた授乳指導に義母はいました。

　「お母さん、もう少し前かがみになりましょう。」

　という助産師さんの言葉に、

　「わかった、私押さえとくわ。」

　と私の背中を押す義母。

　もう・・もう止めて・・・・。

　泣くセガレ。

　相変わらず義母は

　「なんで出ーへんのやろうなぁ・・・。」

　「ママーお腹すいたよーってセガレがゆってるで！」

　などなど言います。

　「私だけの問題ちゃうもん！セガレだって舌短いって言ってたもん！

　すぐに舌巻くし、飲ませにくいって言ってたもん。」

　と言い返すと

　「かわいそうに～～セガレのせいにしてるでー。ママひどいなぁー」

　「ひどくないわっ！」　お前がひどいわ。←心の叫び

　「ママーおっぱい飲みたいよーー！って言って泣いてるで。」


　翌日も義父母が来る前に授乳を終えたつもりが失敗。

　６時になり夕食を食べていると義父母が入ってきました。

　開口一番、

　「どう？おっぱい出た？」

　と言われ、私の中でこみ上げてくるものがありました。

　目も合わせず、黙々と夕食を食べながら

　「まだ。」

　と元々低い声をさらに低いトーンで答えました。

　他にもいくつか質問されましたが、ずっとそんなトーンでした。

　

　義父母に限らず、職場のイヤなヤツにもどんな人にも比較的人当たりよく接しているニコスケです。（←えっ？ちがうって？コメントで批難お断りです）

　（家族や友人らには普通ですがね）

　こんなあからさまに態度を悪くすることって今まで皆無に等しいです。

　でも義母はそれに気づかず（義父は気づいていたかもしれない）

　「なんで出ーへんのやろうなぁ。」
　
　「おっぱい飲みたいなぁ・・セガレ。」

　と言っています。
　
　目を合わすと泣きそうでした。

　義母は私がこんな思いをしてるなんてわかっていないのです。

　傷ついているってわかっていないのです。

　「この調子だったらさ、ミルクが必要やん。哺乳瓶も。買っておくで。

　発送してもらえるんやったら、うち（実家）に発送してもらったらえーねん。」

　「ほら、ケーキ食べたいって言ってたやろ？今日は持ってきたで。あとでタローと食べ。」

　とか、言ってくれます。

　こんな嫌やと思ってる自分が悪いんやろうか？

　毎日毎日、私の好きなものを買って持ってきてくれてる人らやのに。

　世間の姑と違って息子だけじゃなく、嫁もかわいがってくれているのは十分わかってます。

　初めてダンナの実家でご飯をよばれた時、「カレー」でした。

　カレーだと嫌いな人いないと思ったからだと思います。

　そのとき、好きな食べ物と嫌いな食べ物を聞いてくれました。

　それをいつも作ってくれたり、持って来てくれたりしています。

　

　仕事を終えたダンナが来ました。

　ダンナは買ってきた夕食と義母が持ってきた食べ物を食べました。

　食べ終わるとタバコを吸いに部屋を出ました。

　義父母は「じゃあ、私ら帰るわ。」と部屋を出て行きました。

　パタン

　とドアが閉まった瞬間


　うわぁぁぁぁぁぁぁぁーー

　と泣きました。

　ドアが閉まると共に

　プチン、と堪えていたものが切れました。