３年目の真実

　クンクン出産の入院中、授乳室が混んでいる時は円座クッションの取り合い・譲り合いでした。

　私より先に授乳をして授乳を終えた人が横に座って看護師さんと話しをしてました。

　話し終え、立とうとしていますがとんでもなく痛そうでなかなか立ち上がれていません。

　ようやく立ち上がれたものの、壁に手をついて最初の一歩がなかなか出ません。

　目は必死だし、ゼイゼイいってるしなんだか大変そうです。

　「だ、大丈夫ですか？」

　私は意外にも（？）こういう場や初対面の人に自分から話しかけるのが苦手で、

　母親学級や公園などで一緒になった人に自分から話しかけたことがありません。

　そんな私が声をかけたんだからよほどの人でした。

　その人は

　「帝王切開だったんです…」

　と弱々しく答えました。

　「私も一人目がそうだったんですよ。産後が本当に辛いですよね。」

　と言うと弱々しかった人が力いっぱい私の方を見て力強く


　「い、いつまで痛いのですか？！一体！」


　と聞いてきました。

　「退院する頃には…」←圧倒されてる

　と答えるとまた弱々しく戻り、ゆっくりゆっくり力を振り絞って去って行きました。

　そういえば私もセガレの時はあんな歩き方してたなぁ…。


　
　それから退院してしばらくして、ふと、私は今まで勘違いしていることに気づきました。

　それはセガレ出産後に「腹筋がなくなった」と思っていたのは・・・

　腹筋がなくなってお腹が痛いと思っていたのは・・・

　あれは・・・


　術後の傷の痛み


　だったということを。

　私は10年前に腰骨折をして１ヶ月間寝たきり生活を送った時、見事に腹筋がなくなり、

　起き上がったりするのすらお腹が痛くなりました。

　あの時の痛みと同じだと勘違いし、大きくなったお腹のせいで筋肉が伸びて腹筋がなくなったと思っていたのです。

　ただ、この話をしても誰もそんな経験はない、というのでなんでかな？とは思っていたのですが、

　あの授乳室で会った弱々しく歩くママさんを見て、自分のときを思い出し、

　あぁ・・・あれが傷口の痛みだったんだ・・・と気づきました。

　
　と、いうわけで退院するころにマシになる痛みなんてありません。

　しいて言うなら傷口を貼っていたテープが不要になるころなので皮膚が引っ張られなくなるぐらい。

　痛みに慣れてきただけで、痛みがマシになるのは何週間も先でした。

　授乳室で会ったあのママさん、私のこと脅威のスピードで回復する女と勘違いしてるんだろうなぁ。



　至って平々凡々な一主婦ですよ。