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徒然音楽夜話

つれづれなる音楽の道草情報です

プロの演奏家は、いったいどれくらい練習しているのであろうか?

2013年06月17日 | 徒然音楽夜話
プロの演奏家は、いったいどれくらい練習しているのであろうか?
渡辺克也のベルリン音楽旅行から、”一万回?いやいや二万回”



この疑問のウラには、既に一流の音感、リズム感等音楽の基礎が既に備わっているという前提がある。
アマチュアの団体等は、正職等の合間に練習し、発表会等を行なっているのは当然のことではあるだけに、プロの世界と比較すれば月とスッポンの差の乖離であろうとは、容易に想像できる。
演奏会に足を運ぶたびにこのテーマが浮かんでくるが、かってNHKでのギター講座の中で今はなきギタリストの(1)故阿部保夫氏の”プロでも3分足らずの曲でも演奏会上に乗せるためには、1000回近くの練習を要しています”の一言の記憶が強烈に蘇ってくる。

私達が数千円のお金を払って聞く演奏会は実はこれに近い猛練習を背景にしているのではないかと気にしつつ聴き続けているのが正直なところ。これを考えると、現在の入場料は高いのか安すぎるのか?
そして、これほどの練習に時間を割くと、当然他のやるべき時間を削ることになるのではないか?の疑問が当然湧いてくる。よく音楽家の言動は世間的ではなく、独特のものがある、と指摘する人がいるのも、ひょっとしてこれが淵源かとも思ったりもするが、実際のところどうなのでしょう。



渡辺克也のベルリン音楽旅行
一万回?いやいや二万回

http://www.katsuyawatanabe.com/ より

Q
6月のコラム、「1万回練習の場所探し」につきまして、質問をいただきました。モーツァルトの協奏曲の演奏時間を20分とすると、1万回練習するには、頑張って毎日8時間練習したとしても417日かかってしまい、実際には不可能なのではありませんか? 」

A
私たちは、個人練習の段階で作品を最初から最後まで通すことはほとんどなく、できない部分だけを取り出して練習いたします。

典型的な場合は、4つの16分音符が滑らかなレガ-ドでつながらなかっつたり、均等に運ばなかったりする場合、メトロイームが1分間に80回刻むのに合わせて(かなりゆっくりです)、機械的完璧さを目指して繰り返し練習いたします。

正確に聞こえるようになるだけでは済まされず、指が完全に覚えて一切の違和感がなくなることが大切です。8回連続して完璧にできたらよしとし、ようやくテンポを少し上げます。ここまで厳しくするのも、ステージ上の極限状態におかれた中で、ちょっとやそっとの事では崩壊しないようにするためです。

この計算ですと、1万回で2時間5分ですか。頑固な運指の場合、2時間以上それだけ、なんてことはざらです。まあ時々深呼吸したり水を飲んだりすることを考えに入れても、2時間ずつ3日かけて仕上げるとそれだけで2万回くらいいってしまうでしょう。

このあたりは練習というより、ほとんどリハビリに近いと思われます。貴金属や宝石を一点の曇りもなくなるまで根気よく磨き上ける作業にも、似ているかもしれません。一度仕上がっても、まだおしまいではありません。私たちは『指がぼつれる』という表現をしますが、しばらく安心してすっ飛ばして演奏していると、再び指がスムーズに回らなくなってきます。こうなると、もう一度ゆっくりから練習し直します。
 
好きこそものの上手なれ!

家探しをするときに必ず楽器を持参し、音を出してみて、近所にどれくらい音が漏れてしまうのか確認いたします。「お隣に音楽家が引っ越してきて、これから美しい音色が毎日タダで聞けるんですね。まあ、素晴らしい」なんて喜ばれてしまったりしますもの。聞こえてくるのは極めで機械的な部分練習の繰り返しだけで何の曲かすらわからない有り様ですから、おわびにコンサートのご招待券を差し上げたりして、近所付き合いには気を配ります。(オーボエ奏者)


(1)
故阿部保夫 ギタリスト 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E4%BF%9D%E5%A4%AB

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