どんがばちょ

日常の出来事を鋭い視点、オモロい切り口で綴っていく、オヤジのブログ

金メダルに想う不思議

2006年02月25日 | エッセイ
トリノオリンピック自宅観戦。32インチ液晶を買って一年、普段テレビもDVDもあまり見ないので、初めて買ってよかったと思った。小さなブラウン管の時からすれば32インチとはいえ格段の映像である。
さて、女子フィギュアスケート日本代表荒川静香さんが金メダルを獲得されました。普段は全くスケートに興味のない私(以前転んでムチ打ちになったこともあるくらいヘタレ^^)ですが、何事であれ頂点を極める人のオーラに興味があり、報道を楽しく見ていました。
荒川選手の表情、観客の感動、周囲の支えた人たちの喜び・・・ありとあらゆる映像に涙ぐむ程の感動がありました。彼女は本当に素晴らしい!!日本中を湧かせた24歳の勇姿に心からエールを送ったのであります。

問題はそこから。その後の彼女のコメントを聞いていてふっと思ったことです。
彼女は私の目からみても、明らかに頂点を極めた者のみが持つオーラ、目標に向かう執念、確たる自分の信念・・・等々バシバシとテレビ画面からも光線が放たれていた。誰が見てもそう思えたのではないか。にも関わらず、彼女の口から金メダル決定後に出てきた言葉は意外や意外。
「楽しんでやっただけ」「金はただただビックリ」など、「私はついに勝ち取ったんだー」という感じの言葉は全く出てこなかった。そういえば金が決定した瞬間も飛び上がっているのは周囲の協力者たちで、彼女はクールな固まった感じのいつもの笑顔をしているに過ぎなかった。

確たる目標を設定して結果に執着した者のみが成功者になれるという法則からすると、他のメダリスト(今年は居ないが)のような「私はやったんだーー」的なコメントとは質が違い、正直「????」でした。
色んな方のブログなどを見ましたが、あまりそのあたりに疑問を感じる声もなく、「無欲の勝利」「運」、ひどいのになると「ロシアとアメリカが転倒したから」等で結論つけているものまである。勿論、日本人のメダルは嬉しいとはいえ飽くまで他人事ですから、あまり詮索する必要はないのだが、何となく彼女が気になる自分としては、拭い切れない気持ちでした。

そこから荒川さんについての報道、過去の実績、挫折と復活、3人の選手との関係・・・等々興味深く報道を見たり、ネットで調べたりした。
もちろん私のお家芸である「性格診断」にも、生年月日もわざわざ報道してくれていることだし、見てみたりした。

最初は彼女の言動は所謂一般的な「謙遜」の部類の言葉なのかと思っていました。しかし、彼女の口からは全ての人への感謝なども述べられてはいるが、やはり表情からは「当然私が女王よ」というオーラが出ていて、喋っていることと不釣合いに見えた。こう感じたのは私だけか?

これは飽くまで私的な見解ですが・・彼女は異常にプライドが高く、負けず嫌いに違いない。しかもそのプライドは、負け戦にははなから参戦しない、当たって砕けろではなく、綿密な勝算の元にのみ行動にでる慎重さの類である。
狙いに行って取れなかった場合・・・最初から狙うとは言わず、取れた時は驚きの表情で。ダメな時は楽しんだだけだから・・と。
このあたりのクールなプライドは私の周囲に全く同じ傾向の人がいる。
大きな結果を「ハイ」と何食わぬ顔で持ってくるが、「それはたまたま得れたのであって、狙ってたのではない」と心中とは実は正反対の表現をして、またそれが周囲の人間にカッコいいと写るのである。
大物さを感じるし、全てが計算尽くされたスターの空気もある。
いずれにしても村主選手のもつ一直線な感じや、ジャンプの原田選手のもつオープンマインドなキャラクターとは明らかに異質である。

実は(わざわざ言わなくてもそうなんだろうが)、彼女はコーエンやスルツカヤよりも金メダルへの執着が強かったから取れたのである。勿論、運も実力、色んな要素があるのは当然だが、ただ楽しんだだけで頂点を極めるのもないだろう。勿論楽しんでやらずして極めるのもないのだが。
過去の悔しさのバネ、年齢的にも今回の五輪での金への執着、それが誰以上にもあって、そこに燃えるような執念で取り組んでいたに違いない。
彼女はそれをあからさまに表現するでもなく、クールに平静を装い、心の中に噛み締めて、期待以上の大きな結果で更に周囲を驚かせたのである。
実にかっこいい。身近な人というよりも、スターのように遠くからその偉業を羨望の眼差しで見てしまうようなかっこよさ。
彼女の美学は、実業家の男性のそれに近い気がした。真の彼女の叫びは多分どのメディアにも出てこないだろう。公式HPですら読み取れなかった。

さて私の私的な彼女に対する憶測・・・何も知らない素人の付け焼刃的な勝手な憶測・・・貴方は如何思うか?
どうでもいい(かもしれない)話題に長々と付き合ってくれてありがとう。
そしてここまで色々と思うのは、私は彼女のことが実は好きなんだろうか・・?
いい年をこいて・・・恥ずかしい。
いや、でも、多分、そうに違いない・・・・