霜の朝に
おおげさなおもい込みが
北極を泳いでいる
手足はすでに
凍りはじめている
それでも少しずつ進んでいけば
どこかに出る
どこであっても南に向いている
息はできないが
地球の磁力をじゅうぶん楽しんだ
彼や彼女でもなく
自分ではないなにものかに惹かれながら
氷を浮上して
海面から頭をだした
眼をだした
ついに顔をだした
太陽はつねに昇るでも沈むでもなく
地平線にあるが
心は身を
脱いで落ちている
かっこつけないほうがいい
あやふやに
輝くもの冴え冴えと
深いところへ
生きてるふりもうやめたから