自分史・・純粋バカ一代・・ZAIYA友二 ・・デビルモンスター回顧録……旧タイトル 515の放浪

デビルモンスター逸話集・・そののちにアメリカ人たちから『デビルモンスター』と呼ばれた『オレ』の思い出話・・

《第9話》【潮来にて】《第2章》

2013年08月31日 05時00分00秒 | 515の放浪
 千葉から東関東自動車道を東進して、その当時の終着点『潮来』まで来た。

 朝5時半頃だったろうか。かなり明るくなってきた。車の外に立って体を伸ばし、朝の空気を吸った。深呼吸するにはちょうどいいきれいな冷たい空気だった。

 向こうから、50才前後と思われるおばちゃんが歩いてきた。犬を連れて朝の散歩のようだ。

 バックミラーで、おおげさに髪を整え、ネクタイを締めなおし、背筋を伸ばしてぴっと立ち、おばちゃんが近づいてくるのを待った。

「おはようございます!さわやかな朝ですね!」
 めったにこんなに元気よくあいさつはしないが、ここは印象をよくしたほうが得策かなという考えもあった。

 おばちゃんは
「おはようございます。ほんとさわやかな朝ですね」
と笑顔で答えた。『さわやかな朝』は日常会話ではほとんど使わないと思うけど、新鮮な印象がこのさわやかな朝にはちょうどいい。

 いっしょにいたゴールデンレトリバー並みの大きさの雑種犬は、おばちゃんの横に座りおおきなあくびをしてる。
『なんで止まったの?』とご主人を見上げている。犬にもあいさつをした。
「おはよう。まだ眠いね」
『こいつ誰?』またあくびだ。

「もう、ねぼすけなんだから……」
 おばちゃんは、飼い犬をやさしく見ている。

 さあ。この近所の情報を聞いてみよう。
「すみません。この辺に、プロパンガスを配達してるお店か、そこへガスを卸してる会社をご存知ないですか?」

「う~ん、ガス屋さん?あたし、その両方知ってるかも」
 おばちゃんは、80年代アイドルのようにあごに人差し指を当てて、首をかしげている。

「ああ、そうですか、よかった。……じゃあ、ガスを卸してる会社の場所教えていただけませんか?」
 ほんとによかった。最初に会った人に、ガス屋の場所を教えてもらえそうだ。この人が知らない場合は、場所を変えて何人にも聞くつもりでいたから、朝早く不安用件は解決して、少しゆっくりできそうだ。

「うんとねぇ……」
 80年代アイドルが説明してくれる道順をしっかり覚えて
「ありがとうございました、おかげで助かりました」とふかぶかと頭を下げた。『一生恩にきます』とまでは言わずに、ガス屋に向かった。

(つづく)第9話全編 は[FREE PAGE]に掲載します






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