≪純粋バカ一代≫《第31話》【対決免許試験場】≪29≫

【２９】
「ええ、許しますよ。俺は試験も終わったんで帰ります」

管制塔を見ると、まだじっとこちらを見ているようだ。

俺は、立ち上がって、管制塔に向かって敬礼をした。双眼鏡男も敬礼を返した。

なんでそんなことをしたかわからない。双眼鏡男が試験課長なら、終わったことを伝えたほうがいいと思っていた。

駐車場まで歩いたが、機動隊の姿は見えず、動きはなかった。

今日の件も、不正合格の件も「勝った」という感覚はなかったが、これで終わったという感じはしていた。