瞬刊★差楽部

ジャンルに特筆しない雑記です( ´,_ゝ`)

ミッシングリンク

2005-08-04 02:59:47 | 音楽

人類に最も近い祖先である新人クロマニヨン人。
遡ると旧人ネアンデルタール人、原人ピテカントロプス他、猿人アウストラロピテクス。

人類進化の過程は化石による限りにおいては400万年前の猿人アウストラロピテクスまでしか遡ることができない。
ある種の研究では人類の歴史は1000万年前には始まっていたという。
猿から猿人へのもっとも重要な進化の過程が物理的に証明されていないのだ。
アーサー・C・クラーク著、スタンリー・キューブリックによる映画化で著名な『2001年宇宙の旅』においては猿が猿人へと進化する過程をモノリスという地球外物質による外的要因だと設定している。
みつからないんだから、宇宙人=神によるやんごとなき力が働いたのだろうというこじ付けだ。

猿と猿人とを結びつける未知なる祖先の存在を地学、生物学ではミッシングリンク(Missing-link)と呼ぶ。
何故か日本ではLINKをRINGと勘違いしており、著名な学術書においても『ミッシングリング、日本語で言うところの失われた輪とは...』などと恥ずかしげもなく記しているので気をつけたい。

同じように和製英語となっているのが書籍の形状を示す言葉の“ハードカバー”。
あれはハードバック(厚手の紙で装飾された単行本)が正解だ。
ポールだって、ペーパーバック(文庫本)ライターって歌ってるでしょ。
アメリカではペーパーバックをパルプなんていったりするらしいが。

脱線が過ぎた。


ロックギターをもってして音楽の神アポロンの神座に手を掛けた偉人ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)はリトルウィング(Little Wing)という楽曲を残した。
彼が率いた『ザ・ジミ=ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)』の2枚目のアルバムに収められたそれは、多くの人間に影響を与え、エリック・クラプトンは“レイラ”で有名なデレク・アンド・ドミノス時代に、白人として最もブルーズに近づいた故スティーヴ・レイヴォーン、そしてスティング他数多くのアーティストがカヴァーしている。
ジミの楽曲にしては珍しい歌ものメロディーで構築されたバラード的な楽曲であるのも人気がある理由の一つであろう。

前述の2枚目のアルバム『アクシズ:ボールド・アズ・ラヴ(Axis: Bold As Love) 』はライブで演奏されることが少ない楽曲が多いためかとかく地味な印象をもたれているが、珠玉の楽曲で埋め尽くされた人類の大いなる遺産である。
ボイジャーに積まなかったのはNASA最大の汚点だ。

6曲目に位置するリトルウィングであるが、楽曲の最後のギターソロがワンフレーズのみを残してフェードアウトされてしまっている。
本来はそこから始まるであろう壮大な幕開けのみを晒して以後が失われてしまっているのだ。
アルバム『アクシズ:ボールド・アズ・ラヴ』のアウトテイク集を購入してはみたがそこでも同様に後半部分を見つけることは出来なかった。

ライブアルバムである『イン・ザ・ウエスト(In The West)※廃盤』におけるリトルウィングは残された数少ない演奏の中で最高のものだ。
歌が終わっての後半部分のソロ、そしてその大団円を迎えるワウプレイが実に見事で感極まる。
クラプトンやレイヴォーンの演奏でも後半部はジミのライブ演奏をなぞった展開を見せるが、これの足元にも及ばない。
『イン・ザ・ウエスト』の演奏をもってして進化の極致をみたのだと思う。
『アクシズ:ボールド・アズ・ラヴ』のそれよりもストラトキャスターは湿りを帯びて咽び泣き、ヴォーカルはいささかブルーズよりだ。
あまり演奏されることがなかった楽曲だが、少ないステージでのパフォーマンスを持ってして常軌を逸した速度で進化の過程を突き進んだのだ。

『アクシズ:ボールド・アズ・ラヴ』におけるオリジナルテイクの片羽を捥ぐかのごとく削られた後半こそがミッシングリンクに他ならない。
NASAがボイジャーに積まなかったのはつまりそういうわけだ。


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  Little Wing (Written by Jimi Hendrix)

  Well, she's walkin' through the clouds
  With a circus mind, that's running wild.
  Butterflies and zebras and moonbeams, and uh fairy tales.
  That's all she ever thinks about.
  Riding with the wind.
  When I'm said, she comes to me
  With a thousand smiles, she gives to me free
  It's alright she says. It's alright
  Take anything you want from me, anything. Anything

  Fly on, Little Wing
  Yeah yeah yeah

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おおお。 (愛人131号)
2005-08-05 11:13:18
いつもながらお見事!!

うーむ。『イン・ザ・ウエスト』

聴いたことありません。



聴いてみたい。。。

縁があればどこかでめぐり合えるかなァ。

今夜あたり、レンタルショップ徘徊のたびへ。

返信する
聴くだけなら (dekayocchi)
2005-08-05 12:17:08
>聴いてみたい。。。

>縁があればどこかでめぐり合えるかなァ。



かなり前に廃盤になっていて、且つ人気があるアルバムですのでなかなか売ってないかも...。

リトルウィングだけでなくその他の楽曲もかなりのレベルのものが入ってるんです。



このライブでのリトルウィングを聴くだけなら、BOXセットや『MORE EXPERIENCE』っていうアルバムに入ってます。

手っ取り早いのは後者でしょうか。



『IN THE WEST』焼きましょか♪
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IN THE WEST   (masa)
2005-08-05 12:50:01
オレも持ってるよ。このアルバムはリトルウィングもいいけど、オレは1曲目のジョニー

Bグッドにヤラれました。マジかっこいい!
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Unknown (リラックス)
2005-08-09 18:55:17
おお、レッドウイングか!

この曲は確かにこの人でないと出せない説得力がある。

他の人のカバーは比べると明らかにあっさりして聞こえちゃいますもんね。



この手の音楽はトリオでも何故かライヴのほうが全然いいっすよね!このヴァージョンは聞いたことないかも?



久々にあの狂気に満ちたサイケデリックな雰囲気を味わってみたくなってみました。

よかったら焼きお願いします!

(こっそりっ)
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レス (dekayocchi)
2005-08-10 02:27:21
>よかったら焼きお願いします!



了解!
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やぁやぁやぁ (もりこ)
2005-09-17 07:01:00
同じ高校OGです。みくすぃーから来ました。



ジミヘンドリックスは、最近まで黒人さんだと知りませんでした。

主人が、GBでデビューしたときの動画と、星条旗よ、の音源を持っていて、食い入るように見ました。



もう、凍るので、見ません。封印。



ギシギシと音を立てて、もりこの中にうわーーーーーっと色んなモノを入れました。彼。



よかったら動画もやきましょか?

(こっそり)
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