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OYAMA CROSSROAD BLUES

mimi-tab.社長の妄想迷走奔走日記

Jason Kostal guitars

2016-07-11 03:09:15 | ギター
先日、今一番勢いのあるルシアーと言われているJason Kostal を弾くことが出来ました。まだ値段が決まっていませんでしたが250万くらいだそうです(その後235万で売りに出ています)。2016年製の新古品です。新古品=新しい中古、ようは中古です。中古で250マンえん!!あれあれ新品価格ってどんなだったっけと彼のサイトを見るとベースプライスは13,500ドルとなっています。今ならロンドンショックで135マンえん。でも今回の個体はオプションが乗っかっています。トップのヨーロピアンスプルースは+250ドル。サイドバックのブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)は+6,500ドル(!!)。カッタウエイ加工で+600ドル。これだけで7,350ドルのオーバーチャージです。でもそれだと210マンくらいにしかならない。今はオーダーを取っていない、手に入れることが難しい幻のギター、夢のギターなので若干のプレミアムがのているのですね。まるでフェラーリみたいです。まあ、いいじゃないですか、それだけ良ければ、価格に見合う価値があれば良いんです。よく”クルマが買えちゃう値段”とか言うけれども250マンじゃプリウスの一番安い奴しか買えないですからね。アコギは250マンで夢と幻が買えちゃうんです。しかもあまり値下がりしません。安い安い(大汗)。さあ、弾いてみましょう!

まず最初に感じるのは大きさです。サイズ的にはマーチンのドレッドノートをひと回り小さくした、いわゆる彼の師匠であるマエストロ・Eirvin Somogy氏が考案したサイズ”Modified D"なので大きいことはないはずなんですけれど、大ぶりな塊を抱いている印象がします。ヘッドが大きめだから?ヒールが下駄の歯のように(失礼!)ガッチリしているからか? そして次に感じるのは重量。ずっしりと重いです。これはサイドがダブルレイヤーになっていることが原因なのですが、ハカランダという比重の大きい材であることも重量の増加に影響しているでしょう。立って弾くのは避けたい楽器です。ゆっくり全体を眺めると随所に作者Jason Kostalさんのこだわりとセンスが感じられます。Stained Glass Rosetteと呼ばれるカラーリングが実に美しいロゼッタ(サウンドホール周りの装飾)、ヘッドの立体的な加工とそれに繋がるブリッジのデザイン。通常エンドピースが付く部分にもその両サイドにうっすらとStained Glass Rosetteと同じ加工をした材でストライプを入れてあります。グッドセンス!!ブレイシングはトップはラティス、バックはラダーとのこと。楽器自体がかなりがっしりしているように感じられるので気が付かないのですが、トップは結構薄くしてあるそうです。

弾いてみるとまず6弦のサウンドが素晴らしい。ドスンとした重厚な低音ですが、低域にいるだけでなく全体を包み込むような倍音が出ていてこれはなんとも美しいサウンドです。6弦が全体を柔らかくまとめてくれています。こういうサウンドにはなかなか出会えないです。よく聞くと5弦も同じトーンです。そして3,4弦はエネルギーを感じるパワフルなサウンド。弾いていると倍音の厚みに時間を忘れてしまいます。1,2弦は落ち着いていてそれでいて沈み込まない絶妙なサウンド・メイキングが施されています。各弦の厚みがすごくて重厚で、いわゆる高級なサウンドです。似ているものがあるとすれば、Somogyさんの弟子(兄弟子にあたります)Mario Beauregardさんのギターとは抱えた印象が似ていると思いました。ただ、トップの厚みやブレイシングなどが違うのでしょうね、鳴り方は違います。その情報量が多くて重厚なサウンドは軽快なプレイには若干トウーマッチな印象もありました。これはきっと”そういう曲やプレイスタルには僕のOMモデルをオーダーしてください!”ということなんでしょうね。雄大なバラードと軽快なラグタイムをKostal Toneで表現しようと思ったら迷わず2本発注です。占めて500マン。それでもポルシェだったら一番廉価なボクスターしか買えない値段ですから、安い安い。。。。でも大丈夫、現在オーダーは受け付けていないのです(何が大丈夫なんだか)。弾いているそばからどんどん鳴りが良くなってきて各弦のバランスも整ってくる感じ。胸が高鳴り興奮し、汗ばみますね(笑)。立ち上がりの速さや豊かな音量、弾いた直後にトップを押さえるとサウンドが相当変化することからやはりトップはそれなりに薄く作ってあるようですが、サイドやネックががっしり作ってあるせいか繊細すぎたり頼りなかったりすることはありませんでした。

ここ数年、個人製作家(ルシアー)が作る素晴らしいアコースティック・ギターがいくつも生まれていると思うのですが、値段は概ね1万ドル以上になってしまっていておいそれとは買えないものになってしまいました。Martinなどの大きなメーカーのものもきちんとした音がするものは個人製作家の作品より高価だったりするし、楽器と工芸品の境目はどこにあるのかと考えてしまいます。ただKostalさんのように彼の美学と研究とが積み重ねられ表現されている楽器は芸術品であり、最新のモダンな楽器であり、それだけの価値が有るのだと思います。体験できたことは非常にラッキーでした。お店の方に感謝します。


なんとも美しいロゼッタ。Stained Glass Rosetteというそうですがガラスではなく木材に着色されているようです。


迫力満点のネックヒール。


立体的な加工が施されたヘッド。


ヘッドに合わせて同じラインでデザイン、加工されたブリッジ。材質はハカランダ


分かりにくいと思いますがおしゃれなラインが2本入っています。殆ど見ない箇所だからこそのこだわりですね。



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