
午後はジョルジュ・ルオー展を観に日比谷の出光美術館へ。出光美術館は行ったことがあるはずだが、日比谷の帝劇ビルなことはすっかり忘れていた。エレベータで9階へ。
ルオーと言う作家、今更ながら20世紀の画家なんだよなあ。そのプリミティブで力強い筆致に、もう何百年もの年輪を重ねてきた作品のように思えてしまうが、実は近現代の作家である。いわゆる時流とは関係ないところで独自の世界を作ってきた。
基本的に宗教画家。キリストの頭部を描いた作品が多いのは、中期の連作「受難」でもよく知られるところである。しかし、ルネサンス期の宗教絵画と異なるのは、やはり20世紀と言う時代が織り込まれているのは否めない。つまり、2回の世界大戦、大恐慌などの近現代的な苦難に直面することで新たにキリストと言う宗教的偶像を召喚する必然性がルオーにはあったのだ。
古典的テーマが現代によみがえるのは歴史的必然とも言えた訳で、例えば晩年の作品のキリストは苦悩に満ちた表情から慈愛に溢れた明るく、また悟りを感じさせる表情を浮かべており、大仏様や観音様が魅せる慈悲の表情とも共通するものがあり、仏像マニア(みうらじゅんとか笑)にも観てもらいたい作品群である。長時間かつ休日労働で疲れた身に、しっかりと癒しの時間を刻んでくれる展覧会。久々に図録も買った(安いからと言うのもあるが:-))。
さて今日の小旅行は終わり。有楽町からJRで帰途へ。