2023年の記録
朝から雪が舞う函館を終日散策、夕方になり雪が止み、青空が広がった2日目の記録。
エメラルドグリーンの屋根に白壁の正教会聖堂は、雪景色に最も映えると思うのは、僕だけだろうか。聖堂にカメラを向けていると、吹雪いていた天に一瞬だけ青空が広がった。
ホテルから八幡坂を登り、日本基督教団函館教会→カトリック元町教会→聖ヨハネ教会→ハリストス正教会→遺愛幼稚園→元町公園→旧英国領事館と時計回りに散策した。(前編)
投宿したHakoBA Hakodateは、函館港を臨み函館山を背にした八幡坂のふもとに立地する。1932年(昭和7年)に安田銀行函館支店として竣工、その後、富士銀行、HOTEL NEW HAKODATEを経て、現在のHakoBA Hakodateにリニューアルされた。
2つのベッドルームのあるメゾネットタイプからドミトリーまであり多様性に満ちている。ローグレードの客室は、共用シャワー、洗面所となっていて、合理性的でリーズナブル。
僕は4階のシェアキッチンを利用し、コワ―キングスペースで、仕事をするなど、まさに旅×生活を楽しんだ。(レンガ調外壁の建物は、近年増築された建造物である。)
HakoBA Hakodateから八幡坂を登り、左に曲がったところに日本基督教団函館教会がある。バス通りにあり、鉄筋コンクリート造2階建てで、白い外壁に濃い青色の尖塔屋根のあるゴシック風建築が、ちょっと窮屈に建っている。1931年(昭和6年)竣工、函館市景観形成指定建造物。
大三坂に出ると美しい板張りの「蕎麦彩彩・久留葉」。メルヘン調に塗られた板張りや洋風建築の一般住宅を眺めながら函館元町教会群(聖ヨハネ教会、カトリック元町教会、ハリストス正教会)を目指す。
大三坂を登ると右手にカトリック元町教会が視界に入る。初代聖堂は1907年(明治40年)に火災で焼失、1910年(明治43年)に煉瓦造の二代目聖堂が竣工するも、1921年(大正10年)に二代目聖堂も焼失してしまう。しかし、焼け残った煉瓦の外壁を使用して1924年(大正13年)に高さ百尺(33メートル)の尖塔を持つ鐘楼があるゴシック様式の現聖堂が再建された。
大三坂を登り突きあたったところに日本聖公会の函館聖ヨハネ教会がある。茶色の屋根と外壁の十字架が特徴で、屋根も十字型である。(函館山山頂から十字型の屋根が見られるとか) 現聖堂は、1979年(昭和54年)竣工と新しく歴史的建造物ではないが、十分に美しい。
カトリック元町教会とも、函館聖ヨハネ教会とも道をはさみ向かい側にあるのが、ハリストス正教会。1860年(万延元年)、初代ロシア領事館の付属聖堂として建立されたが、1907年(明治40年)に函館大火で焼失した。1916年(大正5年)に二代目となる現聖堂が再建された。
建築様式はビザンティン建築・ロシア建築の影響を受けており、煉瓦造一部3階建ての平屋で、基礎は石造り、外壁は白漆喰を塗っている。
1983年(昭和58年)重要文化財指定、2022年(令和4年)大規模修復実施。
ハリストス正教会に隣接して、板張りの遺愛幼稚園園舎がある。ハリストス正教会に隣接しているが、ハリストス正教会付属ではなく、M・Cハリス夫妻の「日々学校(Day School)」を源流とした遺愛女学校の系列である。初代園舎焼失後、篤志家により1913年(大正2年)木造2階建て構造の現園舎が竣工された。
遺愛幼稚園から元町公園に向かって歩くと、“もどき”を含め、雰囲気の良い建物がならぶ。(自分の感性に従って、楽しんでいるので、“もどき”か、否かは、あまり関係ない。) カラーの板張りの洋風と純和風が、良い意味で混在しているところが、函館の街なみの魅力だと、僕は思う。
元町の西端にある元町公園内には、歴史的建造物が3つある。その1つ目が、旧北海道庁函館支庁庁舎である。当初の庁舎が、1907年(明治40年)の大火で焼失、1909年(明治42年)に洋風木造2階建てで竣工した。1991年(平成3年)にも内部を焼損したが、修復整備されている。道指定有形文化財、伝統的建造物。
元町公園内にひっそり佇んでいるのが、旧開拓使函館支庁書籍庫。次に紹介する旧函館区公会堂の煌びやかさの対極にある地味な建物である。1880年(明治13年)築。1907年(明治40年)の大火でも類焼を免れた。レンガは函館近郊の茂辺地製。北海道指定有形文化財。
旧函館区公会堂は、明治40年(1907年)の大火の復興として、初代相馬哲平(後編で紹介する相馬株式会社創業者)の寄付により1910年(明治43年)に北海道特有の木造2階建ての擬洋風建築、アメリカのコロニアル風洋館として建設された。国の重要文化財指定。
見ての通りの日本離れした煌びやかなハデハデな外装である。
元町公園から基坂を下り、旧英国領事館へ。現在の建物は、大火後の1913年(大正2年)に再建されたもので、1934年(昭和9年)年までイギリス領事館として使用されてた。レンガ造2階建、外装は塗壁仕上げが施され、全体に装飾は少なく、シンプルな意匠である。現在は、開港記念館として一般公開されている。函館市の有形文化財。
一般住宅であるが、綺麗にリノベーションされている。このような建物が、函館には多く、見ていて気持ちが良い。
【メモ】
いよいよ、ワラビスタンを離れる日が近づき、引っ越しの準備を始めている。「モノ持ちが良い」というか、捨てられない性格なので、こんな時でしか断捨離ができない。生来の貧乏性で、とにかく捨てられない。例えば、靴下の踵部分が薄くなると、その時点で捨てれば良いものを家履き用に捨てない、やっと穴が開き捨てるかと思いきや靴磨きのウエスにするために取っておく。家にいるより外にいる方が多いし、毎日靴磨きをするほどマメでもないので、ボロ着やガラクタが溢れてしまう。だから使えるか否かではなく、具体的に使う予定があるか否かで、バシバシ捨てることにした。
元々、新しもの好き、根なし草志向なので、引っ越しは苦どころか、ワクワクしている。
旅は続く