2016年の記録
東トルキスタンへの想いを断ち切れず、再訪したクチャを離れる日が来た。郊外の景勝地を恩人・Rさんのタクシーで、クチャ郊外を観光した時の記録。
オアシス都市のクチャ市街を外れると、赤茶けた土漠が、どこまでも、どこまでも続く。
クチャの南は、なだらかなタクラマカン沙漠が続くが、逆方向の北方は、赤茶けた岩山と土漠が続く。
“金字塔自然旅游区:雅丹地貌”、和訳すると“ピラミッド自然観光エリア:ヤルダン地形”といったところか。(Zhen訳) ピラミッドの形をした岩山ということだが、かなり無理がある。なお、ヤルダン地形とは、風雨などによって、地面の柔らかい部分が侵食されて、堅い岩部分が、小山または堆積物のように数多く残る乾燥帯を指し、中央アジアなどによく見られる地形である。
ポタラ(布達拉)宮景点は、チベット自治区ラサのポタラ宮の形をした岩山が見えるところなのだが、これも無理がある命名かな。カラッカラに乾燥した岩山の眼下を雪解けの水が流れる光景は、なかなかの見応えがある。
目的地の天山神秘大峡谷の手前にあるキジリア勝景。“キジル”は、ウイグル語の“赤”を意味する。
はじめてRさんを撮影させてもらったが、愛車の前での直立不動になってしまうところが、実直な漢族らしい。(笑)
最終目的地・天山神秘大峡谷、クチャの自然景観では、僕のお薦め。見ての通りの赤茶けた岩山の間を進む。“東洋のグランドキャニオン”といった説明書きがされていることもあるが、“Red rocky mountain”として、東洋の××といったイミテーションにする必要のない凄さがある。
前回の訪問時は、まだまだ先に道があり、最奥部に到達できずに引き返してきた。今回は、崩落のため先に進めず、安全第一で、引き返すことにした。(入山口ケートから約1時間弱の地点)
一本道なのだが、登りと降りでは、景色も微妙に異なる。良くも悪くも、すれ違う入山者は皆無。
「1ヶ所くらいは、有名観光地に寄ろうよ」と、Rさんの提案で立ち寄ったのが、スパシ故城。
スパシ故城は、「大唐西域記」(唐僧玄奘が天竺インドまでの見聞を口述し、弟子の弁機がそれを筆録したもので、フィクション作品「西遊記」の基。) で言及されているアーシュチャリニ寺と考えられ、それが正しければ亀茲国最大の仏教寺院で、第一次大谷探検隊も訪れている。2014年に世界遺産に登録された「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」の構成資産でもある。
【JUST NOW】
2023年、今までで一番暑い夏に思える、まったくの個人的な感覚だけど。オフィスで仕事をしている、あるいは、ライオン宮殿で、グダグダしていれば、暑い、涼しいは、クーラーの効き如何なのだが・・・・・・。世界中、四季を通じて、睡眠時は、エアコンをオフにしている。そもそも、訳あって、ここしばらくは、エアコンのない農家で、日中をすごしている。
日々の暑さ、台風の異常な動きを見ていると、やっぱり“地球温暖化”が、確実に進行しているのかな、との思いに至る。“地球温暖化”のいやらしいところは、“茹でガエル” のように少しずつ気温が上昇していき、解っちゃいるけど、緊急事態にならないことだ。ほんとうは、ロシア・ウクライナ戦争などといった二酸化炭素を大量発生させる破壊活動などやっている場合ではないのだ。我々にしても、不要不急に関わらず、徒歩と自転車にシフトしなくてはならないのかもしれない。でも、そんなことを考えている人は、極めて少なく、ガソリン代が高騰しているからクルマの利用を控える程度なのだ。偉そうなことを書いている僕自身が、二酸化炭素排出抑制に真剣に取り組んでいるとは言い難い。
ある研究者は、「“地球温暖化”は、閾値を超えると進行を止めることができなくなる」と発信している。気温上昇のため、エアコンをガンガン使うと、そのための電力が必要になり、その発電で、多量の二酸化炭素を排出する。すると、気温上昇が進む、無限ループである。
二酸化炭素を排出しない発電、いわゆる再エネ(太陽光、風力、地熱、水力発電)で、必要な電気を賄えるかというと、期待できない。だからといって、原発に傾注できるかというと、別の問題で、「No!」だろう。
そこまで解っていても、「何とかなる」と思っている脳天気な我々は、“茹でガエル”以下の存在でしかないのだ。
旅は続く