でりら日記

日々の雑記帳

読んだメモ「バーナム博物館」「梢の博物誌」

2010年02月02日 | 趣味の雑記
・灰原薬、スピリッツにて「SP」連載中とな。コミックス楽しみ。

・バーナム博物館/スティーヴン・ミルハウザー、柴田元幸 訳
 先日DVDで観た映画『幻影師アイゼンハイム』の原作含む短篇集。原作、というより原案。映画は映画ですばらしかった。だけど、原作としてしまうのはあまりに乱暴と言おうかなんといおうか。アイゼンハイムの設定を生かしてロマンスとサスペンスを仕立て上げた映画の脚本に脱帽、といったところか。
 ミルハウザーの小説は私にはちょっと微妙。正直判断に迷うことも。

・梢の博物誌 大台ケ原の森と昆虫をめぐって/柴崎篤洋
 昭和62年7月5日 印刷 昭和62年7月25日 発行
 装幀/高須賀優 思索社 310p

 トウヒツヅリハマキ、という蛾がいる。トウヒという樹の葉を主に食草とするハマキガである。煙草の葉巻ではなく、カイコのように糸を吐き、食用とする葉を貼り合せ、その中でもりもり喰っちゃ寝しながら育つから「ハマキガ」。で、トウヒは広葉樹ではなく針葉樹、これを糸で綴りあわせるから「トウヒツヅリハマキ」。成虫でも7mm、羽を広げても1.5cm程度。このガに関する研究レポート、である。といっても、いわゆる論文ではない。

 トウヒツヅリハマキは年一化性の蛾である。年一化、というのは、成虫が1年に1回出現することを意味する。アゲハチョウなどは春型・夏型などあるし、ショウジョウバエなどは1週間ほどで卵から成虫になる。で、この研究者は、このトウヒツヅリハマキを自然の状態で観察し続けた。つまり、観察のチャンスは年に1度しかないということ。室内環境で人口孵化という方法もあるのだが敢えて作者は自然状態での観察を選ぶ。

 このトウヒツヅリハマキの発生が年によって異なることに着目し、どのような条件で大発生や減少が起きるのかを詳細に記録した一連の研究のまとめ書。森に入って一定の長さの枝を切り、その葉についた卵の数を一個一個数える。樹の生えている場所により条件は異なる。日当たり、他の植生との兼ね合い、などなど。そういった条件ごとに細かくわけ、大台ケ原におけるトウヒツヅリハマキを15年間(!)にわたって調査し続ける。もちろんその間に自然環境は変わってゆく。人の手によって。

 気が遠くなりそうな調査。論文ではない分、当時の苦労や破壊され続ける自然への愛情、悲しみ、営利追求の人の営みへの怒り、などが率直に書かれていて、冷静さはあっても科学者然とした冷たさはない。
 害虫の発生のメカニズムがわかればその駆除に活かせる。農業へ役立つ研究=換金できる研究。(それならば稲の害虫を研究テーマに選んだほうが効率的で、しかも年二化性のものもいる)だが、「研究したいからした」という理由から15年を費やせるものだろうか、と。

・NHK特集「無縁死」。を今観ながら(録画してた)。私もこのままなら自宅で孤独死というのは充分ありうる。父も見たいというので続きは明日。

・バスもなくなったので歩いて帰ったら、会社から家までの30分の間にしもやけ!らしき痛みが!ン年ぶりである。手袋してたのにこの寒さ。大阪は雨。

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