意外性だとか、ギャップだとか、そういうものに魅力を感じるのはよくある話だと思う。
先日、僕に宛てて一通のメールが届いた。送信元は全く面識のないアドレスで、しかもヤフーのフリーメールだったため、日々、大量に届けられる出会い系の類であろうと推察。即、削除するつもりだったのだが、次の瞬間、目に飛び込んだのは「蝶々結びが出来るんですか?」というタイトルであった。
「団地妻の秘密クラブ」、「恵美様がご連絡を待っています」、「ナンバー1キャバクラ嬢の痴態を激写」などのタイトルにトキメくことは既になく、「ご無沙汰してます」や「先日は失礼しましたm( )m」などに対しても疑いの目を向けるようになって久しいが、「蝶々結び」とは、一体、どういう意味なのであろうか。
恐る恐る開いてみると、
「S美から聞いたんですが、アソコで蝶々結びが出来るんですよね。 私も胸が大きいのが自慢です。 私と大物対決しませんか?」
という内容。その下には出会い系のホームページアドレスが貼り付けられていた。
予想通り、といえばそれまでなのだが、果たしてアソコで蝶々結びが出来る人間が実在するのだろうか。広告というのは、潜在的な顧客の購買意欲を喚起するもので、「アソコで蝶々結びを出来る人達」が存在しなければ広告自体の価値を疑がわざるを得ないと考えた。というか、それが一般的だと言われれば、僕だって自信をなくす。が、世の中は広く、この、筒井康隆の小説のような性質を自慢とする層がいないとは限らない。これは難しい話である。
早速、ムカイ君とコバヤシさんに話を振ってみた。実は、意外性を狙った高等戦術で、僕はまんまと嵌められたのではないか(別に返事は出していないけど)という話もあったが、二人のアソコを考慮しても、蝶々結びは望むべくもなく、「担当者がヤケになったんでしょ」という結論に落ち着いた。確かに、折りたたむまでは良いとしても(僕はこの段階で候補から外されるが)、さすがに蝶にして結ぶという行為は現実的ではないだろう。
ちなみに、その場で行われた「第一回 こういうタイトルだったら何となく開いちゃうよね選手権」の結果、
「ハハキトク レンラクコウ」
(これはビビる。 というか振り込め詐欺か)
「同窓会の件」
(まるで縁がないと知りながらも気になる)
「TSU○AYAからのお知らせ」
(多少、思い当たる節がある)
「焼肉ご馳走さまでした」
(プライベートっぽい響きがいい)
などの強豪を抑え、
「メアド変えました」
に決定した。