久々のご紹介。堺市堺区の築100年町家リノベーション工事。
また改めて工事前の写真などと整理してご紹介いたしますが、元々はこの近隣一体のお屋敷の一部であったこちらのお家。時代が進み、それぞれバラバラに持ち主が分かれていき、長屋(と言ったら語弊がありますが)のように、お家同士がくっついた状態になったり、無理やり切り離されたり、増築をしたりと、なかなか複雑な過程をたどっているのがお家の構造を見ればよく分かりました。
それをお客様のお父様が随分昔にお買いになられて、また今リノベーションに至ったわけですが、今までの経緯からも、さすがに内部は素晴らしい仕事が見受けられましたが、外部と構造は色々な無理もしていて、あまり状態はよくありませんでした。(ただ、それでも100年経年しているのは凄いんですよ。そして根本の仕事や材料はやはりしっかりしたお家です。だからリノベーションできたわけです)
それい一昨年の強烈な台風の被害も加わり、また接近した3軒のお隣様。狭い前方道路。工事をする(一部解体やコンクリート打ちなど)のにも果たしてどうすればよいのか?
かなりの難工事であったと思います。しかし、そこはお客様の思いやお母様の一生懸命の努力に、神様も心打たれたのだと思います。幸運が続き、不安要素はすべて上手く解消され、ようやくここまで工事が進んでこれました。
このお家の素晴らしいポイント。縁側も昔の建具を活かし(断熱補強しています)、風情を活かして、そして途中の増築でつぶされていた廻り縁も復活し(ここがこのお家の絶好ポイントだと思うのです)
このように。
縁側の丸太も見せることができましたし、しっかりと断熱補強もできました。角の柱が腐っていたり、床板がシロアリに入られていたりと、ここもなかなかの難工事でありましたが、奥の庭がしっかりできてくれば本当に気持ち良い場所になりますよ。(奥の空き地は、建っていたお家が偶然解体となり、またご好意でお貸し願えました。本当に素晴らしいお隣様で最高にラッキーでした)
縁とつながるリビングから見るとこう。ここは和室であったわけで、耐震補強の柱なども加えていますが、それでも全体的な雰囲気は崩さずにまとめられたと思います。
2階にも床の間のある面白いお家でありましたので、その床柱なども活かして。2階は大きな子供部屋となりますが、ブランコを吊れるように梁を見せたり、
床柱を活かしながら机にできるように、床の板を再利用して机の高さまで上げたり、奥の風流な丸窓活かしたり(この丸窓には断熱補強はできないから前に障子か襖を入れて断熱を少しでもアップいたします)、上の網代天井も残したりとここもたっぷりと手間がかかっています。
外回りではもうすぐ足場が取れるので、そうするとよくお分かりいただけますが、伝統的な高塀の修復も完了しました。こちらは伝統的な地域に指定されておりますので、なかなか難しい制約などもあるのですが、堺市の皆様や町並み保存会の皆様にも、丁寧にに色々とお教えいただいたおかげで格好がついてきました。ありがとうございます。
裏側から。こうしてみると、「よくここまで来たな〜」としみじみと。(こんな事いうと叱られますが)「ほんまに出来るんやろか?」と思ったことも。。
先に述べたようにお客様・市役所・町並み保存会の皆様のおかげに加えて、大工さん職人さんのおかげ。ほんまのほんまに。
特にベテラン大工さんに助けてもらいながらも、現場の責任者として形にしてきた弊社若手社員大工の堺君は大したもんです。彼のおかげでここまでこれたと言っても過言ではありません。大したもんです。
まあそういう皆様の努力の上前をはねて偉そうにBlogで紹介する私ですが、めげずに?これからも元気にご紹介してまいります。
さて、完成まであと一息。油断せずに気合を入れて皆で頑張ります!!
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