紀州七代大彦の木の家づくり日記

「ここちよく美しい暮らしのために」
和歌山大阪にて「一軒一軒ていねいに150年」家づくりに取り組み続けています

災害とお家

2019年10月15日 | 日記・エッセイ・コラム

先週末の台風の被害がどんどん分かってきていますね。どうやら風は不幸中の幸いで心配していたほどではなかった様ですが、雨が凄かったんですね。

学生時代の思い出もあって、大好きなあの多摩川が氾濫していましたから。

もちろん色々な河川が氾濫していおるわけですが、自分のもってる多摩川のイメージでは氾濫などほど遠い穏やかな河川のイメージでしたから、本当にびっくりしました。また地元のおっちゃんなどの多摩川への信頼や愛も凄くて、大げさですが「多摩川があるから俺たち大丈夫よ」みたいな感じを受けていました。

それが和歌山市民の「紀の川」に寄せるイメージと似ているし、川の雰囲気も似ているなと(自分はそう思っておりまして。)思っていて、初めて一人暮らしした際の不安な感覚も多摩川のおかげで随分まぎらわされた事も思い出されました。

その多摩川が氾濫するなんて。。と。しかし調べてみたら昔はやっぱり氾濫しているんですね。紀の川も今は大人しくて水不足も無縁の素晴らしい川ですが、父に聞くと昔はやっぱり水害もあったようです。

いつ何時何が起こるか分からないってことなんですね。

ただ、自分の小さい頃や父などの体験を聞いても、どう考えても今より昔の方が台風はきつかったとは思いますから(昨年は凄かったですが)、『温暖化?の異常気象で段々台風が強くなってこれからは毎年凄いのが来る!』なんてテレビで言っているのには素直にうなずけないし、そもそも人生は何か起こるか分かりませんから必要以上に恐れるのもどうかと思いますが、、

ただ、それに対しての備えというか建築的考え方は変わっていくのだと思います。個人的な感覚で申し訳ないのですが、阪神大震災以降(つまり私が建築を勉強しだした頃からは)家づくり界は「台風」への意識はあまり注がれていなかったように思います。(あくまでも一般的に、個別は分かりません)

だから、それだけ、近年は台風があまり強くなかったと思うのです。父親世代(70歳代)より上の家づくり界の人達は、「第2室戸台風や伊勢湾台風」など、事あるごとに台風の怖さを言っていました。だから、阪神大震災以降「屋根を軽く!軽く!」というのが世間で大きな声で言われると、大工さん達が「大きな台風来たらどうすんのや?」とよく言ってましたもの。あちこちで。(屋根を軽くというのを間違っているというのではありませんので、あしからず。)

それが昨年今年(特に今年。首都圏にいってますから)の被害を見て、また色々と話は変わってくるのだろうなと思います。

もちろん今までもお家の構造は「地震」だけでなく「風圧」も検討していますから、台風にノーチェックなんて事はないんですよ。ただその基準の数字とかも変わるでしょうし、工法的にもまた少し違う角度からの理論がでてくるのだろうなということです。

そして、それはそれで良いことだと思います。

が、お客様のお家や会社、そして自宅の廻りが水に浸かってしまったらどうするのだろう?とテレビを見ながら考えていたわけです。

構造的に工夫した「ベタ基礎」が良いのは分かっているわけですが、水没したらどうしようか?泥まみれになったらどうするのか?など考えていると、昔みたいに畳をめくったら床下が見えて、そしてそこは土。だったら水害にあった後は畳をあげて乾かしていたら、床下も乾くし、直しやすいし、理想的だな。と。

断熱や構造(構造は厳密言うとちょっと違うけど)もあるから、すぐに昔の石の上に建てるなんてわけにはいかないでしょうが、堤防などなく災害が多かった頃の手法の良いところも見直す所もあるのだろうなと思っておりました。

他にも色々ありますが、ちょっと終わりませんので、、

総合的に見ると、時代が進めば必ず良い方向に変わっているわけで、だから昔のお家が絶対良い!なんて事はありません。畳をめくったら床下なら床は寒くてしょうがないわけですし、今の暮らしは昔の暮らしとは違うし、せっかく得たお家の快適性を犠牲にすることはできません。

だけど、床廻りの木は水に濡れても強い木を選ぶとか、柱も水害で浸かってもヒバやヒノキなどの水に強い無垢の木なら大丈夫。すぐに腐りなどしません。(ベニヤや集成材などは残念ながら弱いと思います)だから、そういう根本的な昔からの知恵を大切にすることは大切だし、

災害が起こった際、地域の工務店としてお役に立てるには、現場の大工さん職人さんを抱えていることもやっぱり必要だと思うのです。(昨年の台風でも全ての応急処置に3日で回ることができましたから)

仕事がある時だけ呼ぶ下請け大工さんなら、ご自分の仕事を優先するのは当然です。

なんて、最後は結局自分所に有利に言っちゃうわけですが、万一を考えて水に強い木を使うとか、緊急の際にでも自社大工体制があって直しに回れるとか(私みたいな、設計や営業とかでは屋根なんて上れませんから、役にたちませんしね。)は、普通に考えても当たり前に大切な事だと思うんですよね。

と、色々と述べてまいりましたが、

つくづく、家づくり業は、やっぱり大切な社会インフラの側面も強くもっているなと思わされた週末でありました。社員大工体制で永続していくのは地域のためでもあるとの自覚と責任をもって、頑張ってまいります!!

和歌山・大阪「心地よい木の家づくり」 大彦(株)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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