ドアーズは67年の「ハートに火をつけて」と、68年の「ハロー・アイ・ラブ・ユー」と2つのビルボード№1ヒットを出しますが、7月29日のこの日は「ハートの火をつけて」が№1となった日、そして3週連続1位の大ヒットとなりました。
先にアルバムからシングル・カットされたのは、「ブレイク・オン・スルー」でしたが、これは残念ながらチャート入り出来ず、次のシングルには、アルバムの中で評判が良かった「ハートに火をつけて」を、となるのですが、7分近いこの曲はシングル向きでないとなり、やむを得ず2分半の短縮ヴァージョンを再録。
結果チャート1位となるのですが、いまこのヴァージョンを聞くとテンポは速めで、間奏は大幅にカットされ、ジム・モリソンも少し軽めに歌っている風に聞こえます。
とは言え、当時ドアーズに興味を持ったのは、あのジム・モリソンの声がきっかけで、50年代のバラード歌い的な声質でありながらロックしていて、その手の声のジェイ・ブラックやマイケル・ボルトンが好きな私は、そこで喰いついたのですが。
67年当時は、まだまだラジオから流れるシングルが中心で、一発ヒット屋…失礼ながら例を出すとヴォックス・トップスとか、ストロベリー・アラーム・クロックとかいったグループもまだ頑張っていましたが、時代は少しずつアルバム重視に向い始めた時期だったと思います。
なので、アメリカでは「ハートの火をつけて」のヒット後、アルバム収録のロング・ヴァージョンの方が多くかけられるようになったそうですが。
ロング・ヴァージョンで聞いてみると、まあレイ・マンザレクの間奏がとてもカッコ良いのです。オルガン好きの心にビンビン響いてきます。
ベース奏者がいないバンドなので、VOXのオルガンを弾きながら手ベースでバンドのファンダメンタル部分をしっかり支え、これがあって歌も生きるのですよ…と、ちょっとの期間、ヘタなベースを弾いた私の言うことではないのですが。
もっとも、この曲がヒットした当時は高校生だった私は、LPなどそう買える訳も無く、アルバムを手にしたのは大分後になってからなので、いまになって思うと、という部分も大きいのですが。
そしてジム・モリソン、67年のコンサートで客と乱闘騒ぎを起こし、駆け付けた警察官に暴言を吐き逮捕、69年のコンサートで陰部を露出し逮捕、70年には泥酔して他人の家のポーチで眠り込みまた逮捕、と武勇伝の持ち主。
まあ、こんなジムと、冷静沈着そうなレイが出会ってスタートしたバンドだったので、上手く回っていたのでしょうね。
ジムは27歳の若さでパリで客死、レイも2013年に亡くなり、と今はあの歌声もオルガンもCDの中だけになりましたが、彼らの音楽は今も私のオーディオ装置の中で歌ってくれているのです。
■ 以上、聞きたい365日 第316話でした。