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チョイ前までは夢と希望に満ち溢れとった小市民の浅まし過ぎる野望と欲望の為の高度浄水処理施設

いろいろ誤解されて面倒臭いんで、当たり障りの無いタイトルにしましたよ
飽きたらまた変えますから…

『河童 KAPPA』★石井竜也

2007年12月15日 06時32分05秒 | 映画
親ちゃんはなぁ…米米クラブのカールスモーキー石井に似てんねん。
黙ってじっとしてたらそれなりに男前やねんけど、動いたり喋ったりするからあかんねん。

これは死んだ原田美香が僕に言った言葉。
なんちゅうことを……、言いたいことだけ言って、さっさと一人でどっか行きやがって。
アホかっ!ちゅうねん!


そんなわけで、カールスモーキー石井こと石井竜也監督の『河童 KAPPA』を見る。
とにかく見たかった作品で、今月やっとDVDデジタルリマスターになったみたいで。
製作されたのはは1994年。
もう10年以上前の映画だけど、色褪せてないのがやっぱ才能なのかな。。。
実は人間のエゴへの警鐘や、自然との共生、親子の愛情なんていうテーマは、当時としては陳腐極まりなく、普遍的であるが故になかなか受け入れ難かったろうが、昔の良き物の多くが崩壊の危機に瀕している今となっては、誰もが意識する今日的なテーマとなり、非常に時代を先取りしていた作品であったように思う。

不覚にも、河童のテンが可愛いなぁとか…何でそこで発破のスイッチ入れるんだ!とか…大人気なく微笑んだり怒ったりと感情移入してしまうのは、やっぱ僕は未だに映画少年だからなのだろう。

確かに当時は、大して評価されなかった作品だったけれど、今見るととても新鮮でぐっと来る出来だし、作り手の命というか想いというか、そんなのがかなり伝わってくる作品になっていると思います。
作品テーマに時代が追いついたって感じでしょうか?
もともとファンタジーものは好きなんですが、それにも増してけっこう好きになったのでありました。

『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』★馬場康夫

2007年11月06日 15時20分33秒 | 映画
この映画観たかったんですよね。
やっと観ることができました。
タイムマシンものは好きなんで、そこそこ楽しめましたね。
ワンレン、ボディコン、太い眉毛に、ディスコでマハラジャ踊りですかい?
確か服装チェックとかありましたなぁ。
僕の周りでも馬鹿な大学生が株式投資やったり代理店立ち上げたりしてましたっけ…。
財テクなんて言葉が出来たのも丁度この時期で。
肩から掛けるデカイ携帯電話もありましたね。
この頃、僕は某ハリウッド映画の現場に入って、タクシーから自動車電話掛けたりして、確かに浮かれていたことを覚えていますよ。
大馬鹿ですね~。
出版社勤務の時は残業代全部付くは、おまけに残業時の夕食手当てもあって、終電間に合わなければ深タク乗り放題で、でもそのタクシーも午前2時過ぎないと絶対捕まらないという…まぁそんな感じで仕事していた20代前半です。
服装だって上下DCブランドのスーツとか着てましたねぇ…確かに。
大学卒業して社会出ていきなりこれでしたから感覚もおかしくなりますわ。
で、今こんな風なトチ狂った大人になっているのも仕方ないと言えば仕方ない…なんて言っちゃうと前後の世代から袋叩きに合いそうですね。
今じゃ考えられませんですね。

ほんと、細かいこと気にせず何も考えずに浮かれ気分で観れば、楽しめるエンターテインメントです。
まぁ、確かに作りは雑ですがね…ま、それも、バブル崩壊の後遺症と思えば納得ですよ。
さぁ、みんなでいっぱい働いて、いっぱい儲けて、いっぱい使おう!
そうやって、お金の巡りを良くして経済活性化させて、日本の未来を明るいものにして行こうではないですか!!!
今どきの人は、ほんとネガティブな奴らが多くて嫌になっちゃうね!
せこいこと言う奴も多いし。
さぁ、そんな奴らはほっといて、未来見つめて、希望を持って、自分信じて、努力は怠らず、そして謙虚に感謝して、半永久的につづくバブルへGO!!!!!⇒http://www.go-bubble.com/

『天国からのラブレター』★山口円

2007年09月27日 00時39分34秒 | 映画
毒にも薬にもならない映画とは、こういう作品を言うのであって。
実はけっこう期待して見たのに…。

こんなこと書くとかなり苛められるだろうな…俺。

光市母子殺人事件の公判に併せて公開されたこの映画。
作った人たちの意図がこんなに分からない映画も珍しい。
何がしたかったの?
こんなタイミングで公開するのであれば、もっとやり方があったような。
ホントにこれで良かったの?
とりあえず、お客さん入るからいいのか?
こんな内容なら、別にこの原作で無くても良かったんじゃないの?
この原作を選んで映画化した狙いは何?
単なる製作サイドの便乗ありありじゃないか?
駄目じゃん。
ホント、これは誇張した表現じゃなくて、オーバーに言ってるわけでもなくて、正直、映画見てこんなにも全く何にも残らなかった作品も珍しい。

本村洋さんや多くの犯罪被害者の皆さんには悪いけれども僕は死刑廃止論者。
法律の名の下に『報復殺人』が“正当化”“美化”“合法化”されて良いものでは絶対にない!
この世間のヒステリックな現状は何?
集団ヒステリーじゃないか?
今はいったい何時代?
江戸時代か!!!おい!
危ないよ…この状況。

だからと言って犯人を赦しているわけではないけれど。

いや、こんなに感情的になってしまっている僕が存在するということは、この作品は僕にとって“猛毒”になっているっていうことなんだろう…。
くぅ……やられた。

『殺しの烙印』★鈴木清順

2007年09月03日 02時03分50秒 | 映画
これ、やばいっすねぇ…。
宍戸錠ですよ。
エースのジョーですよ。
ヒロインは真理アンヌですよ。
ボンドガールですよ、11PMですよ(笑)!
やばいでしょ?

しかも清順監督ですよ。
マジやばいでしょ?

公開当時は若い映画ファンに熱狂的に支持されたらしいけど、当時の日活社長が完成した作品を観て「わからない映画を作ってもらっては困る!」と激怒し、鈴木清順監督に一方的に専属契約解除を言い渡した曰く付きの作品。
その後、鈴木清順監督は10年間映画が撮れなくなる。。。

日活の社長はわからないとは言ったけど、僕にはけっこう分かりやすい映画だったように思うけどね。
確かに古い映画なので、今の感覚でいけば、いくらでも突っ込みどころは満載でしたけどね。
でも、僕は好きですよ。

『ツィゴイネルワイゼン』★鈴木清順

2007年08月30日 01時09分28秒 | 映画
鈴木清順監督の映画が好きとか言っておきながら、これ見てないってどういうこと?
ツィゴイネルワイゼンと聞いてサラサーテよりも先に、桑原和男の名前が思い出される人は、至極真っ当な関西人です。
「神さま~!!!!!」

そう、ツィゴイネルワイゼンとは、あの吉本新喜劇の桑原和男のギャグのBGMで流れるあの曲なのです。
そして、鈴木清順監督の名作のタイトルです。

初めて見ました。
でも、最初のチャレンジでは途中で寝てしまいました。。。ま、そんなもんです。
再チャレンジでは寝ませんでしたが。。。ま、そんなもんです。
今、このブログを書きながら3回目見ています。
なぜ、3回も見ているの?ってか???
そらさぁ、1回2回見ただけじゃ、アホな僕の頭では理解できなかったからですわ…と言うか、、、この監督さんの作品に共通して言えることですが、訳分からないんだけれども何故かしら惹きつけられて、ついつい見てしまうんですよ。
まぁ、何でしょう…分かりやすく例えるなら、アンドレイ・タルコフスキーの『ストーカー』とか『サクリファイス』とか『ノスタルジア』とか『鏡』等々という映画を勢い込んで見るのは良いのですが途中で何度も寝てしまい、そのたびに見直すんだけれども、それでも何度見ても寝てしまうもんだから、未だに全篇をまともに見たことが無いという状態に似ていますかな…って余計何のことやらわかりまへんがな。

いきなりレコード盤のアップで始まる映画。
レコード針の雑音が心地良いツィゴイネルワイゼン。
そしてサラサーテが喋る。
だが何を言っているのか分からない。
次に盲の3人組が現われる…強烈な展開。
食事中の謎の声???
怖い。

で、作品全体に漂っていた曖昧さ。
登場人物たちは生きているのか…というか、実際話して動いているのだから生きているのだろうが、しかしこれが本当に生きているのか曖昧なのだ。

そしてその逆もあり。
本当に死んでいるのか?

しまいには、生きている死んでいるの境界さえも曖昧になってくる。
現実なのか幻覚なのかも分からなくなってくる。
そうしていくうちに、この鈴木清順という爺さんにみんな上手い具合に騙されて煙に巻かれて、自分が騙されているのかいないのかさえも分からなくなってしまう。
そして、もう1回見てみようとなる。
ああ、いつの間にか完全に相手の術中に嵌ってる。
この捉えどころの無い気分が鈴木清順ワールド。
そんな感じで、このブログも捉えどころの無い文章になるしかなかった。

手前味噌ですんません…『TheEARS(ジアーズ)』松山バージョンの感想

2007年08月22日 01時22分31秒 | 映画
松山プレミアが終わって、そう言えばワシ『TheEARS(ジアーズ)』の感想語ってなかったなぁ…って思った。
手前味噌になるし、なんつぅーてもスタッフが自作を語るほど、「信憑性」の薄いものは無いからね!
そんな感じで僕はこれまで純粋な感想を何も語ってこなかったんだけど…(いやプロモーションになることはシツコイくらい書いてきたけど)。
ここいらでちょっと…。

実は正直自信が無かった。
これは作品が良い悪いではなくて、客観的に見ることが出来ない自分自身の能力の無さに因むところが大きい。
大変失礼な話、新宿プレミアでは皆さんの高い評価をたくさんいただいたけれども、それでも慎重にならざる得ない僕自身の致命的な能力不足の故だった。
しかし、松山特別プレミア上映で全く作品とも映画業界ともスタッフ・キャストとも、全く何にも縁もゆかりも関係の無い通りすがりの松山の女の子が『TheEARS(ジアーズ)』を見て涙したという話を聞いて、自分の抱いていた思いは正しかったのだと信じることが出来た。
松山では自身で上映オペレーションをしながらの鑑賞だった。
僕のオペレーションひとつで、作品の価値が左右されることだってある。
この作品に関わった幾万の人たちの心を悲しませることだってあり得る。
しかも、前回の新宿の時は映写が途中で止まっているのだ!!!
もう絶対に失敗は許されない!!!
そんな胃腸が潰れるほどの緊張感の中での鑑賞。

ここからネタバレになります。

ぶっちゃけた話、作品の関係者がその映画を見る場合、そこには普段知っている人たちが芝居をしていたりするわけで、映画の世界になかなか入り込めないものなのだが、今回はけっこう違ったんですよね。
確かに途中まではそんな見方をしていたんです。
この人やっぱ上手いなぁ…とか、この人もっとこうすればいいのに…とか、あっ!こんなところにノイズが…とか、いろいろ。。。
でも、だんだんお話がクライマックスに進むにつれて、いろんな事柄に感情が移入していくんですよね。
そして最後、これが泣いちゃうんです。
私、普通に泣きそうになりましたもの…、多分タダの一般観客だったら絶対ポロポロと泣いてたと思うシーンです。
クライマックスに関わる役者さんの演技も凄いんだけど、そこに至る演出がなんとも心を情緒的にしてくれるのです。
あれだけハートフルだった海がその時だけは、悲しく恐ろしく…そして冷たいものに感じました。
それは、作品テーマに則した、つまり自然への大いなる畏怖を現しているとも思えるのです。
自然は私たちに大きな恩恵を与えてくれる偉大な存在ではあるけれども、その無垢な思いを裏切った時、それは容赦の無い牙を剥く…そんな感覚を抱きました。
そんな悲劇的なことがありつつも、ガベージ・ファクトリーやブルートラストのメンバーはポジティブに自分の成すべきことを行動に移すのです。
そしてそれは、渋谷で目的もなくタムロしている今どきの女子高生たちにも伝播して、次第に大きな潮流へと広がって行くわけです。
さらに、その行動はその正反対の立場にいる人たちの心をも揺り動かすことになるのです。
つまり、たった一人の命を懸けるような思いは、人の心や次代をも変えていく大きな力になると捉えることが出来ます。
それがこの作品の大きなテーマであるように思います。

改めて、僕はこの『TheEARS』を多くの人に見ていただきたいと思います。
出来れば日本全国の皆さんに!
そして、全世界の皆さんに!

そりゃ、いろんなこと言う人います。
それこそ重箱の角つつくようなことを恥ずかしげも無く…。
だったら、その足りないところをカバーしてくれるだけのお力添えを是非してくださいよ!マジで。
すんません、感情的になりました。

とにかくこればっかりは、いろいろな要素が絡み合って、難しいこと極まりないのですが、とにかくいろいろな人に見ていただきたいと思います。

『虹の女神 Rainbow song』★熊澤尚人

2007年08月16日 22時19分05秒 | 映画
いきなりエルモのGS1200かよ!
ZC1000も出てきてるじゃねーか?
シングル8のカートリッジにコダクローム詰め代えるだと?
多重露光とか、そんな言葉シナリオに書くんじゃねーよ!
そんなことされた日にゃ、昔の8ミリ映画少年はついつい、喜んで見てしまうでないかい!

またしかっしマニアックな。

明日から松山なので、しばらく映画も見られないな…と思って、しばしの見納めに選んだ作品。
以前からずーっと見たかったのです!
幸せです。

岩井俊二監督のプロデュースによるこの映画。
上野樹里に市原隼人が主演ですよね。
でも、毎度のように蒼井優が一番美味しいところを、ぜーんぶ掻っ攫って持って行ってしまっていますね。
でも、蒼井優のおかげで引き締まってましたよね、この映画。
彼女の存在感と芝居がなければ、ここまで感情移入できなかったですね。
いなかったらいなかったで、それなりに楽しめただろうし感動も出来ただろうけど、もっとワザとらしい作品になっていたような気がしてます。
なんか、若い男女の恋愛劇なんですがね。
出てくる人物がすべて現実感に乏しいのですよ。
なんなんだろうな…この感覚は…。
何処がどうって上手く説明できないんですけどね、リアルじゃないんですよ。
ま、映画だからいいんですけどね…。
妙な違和感。

あと、主人公の遺作となってしまった劇中8ミリ映画が、もうちょっと見応えある作品だったら、もっと印象変わってただろうなぁ。
あの8ミリ映画って、物語やテーマ上、一番の肝である部分の筈なのに、あの程度の出来でいいのだろうか?と思えたのでした。
http://rainbowsong.jp/start.html
しかし泣けましたよ。。。いい映画でしたよ。。。お勧めしますね。
と、散々貶した割には好きなのかよ!!!あんた!

『ブラザーズ・グリム』『未来世紀ブラジル』★テリー・ギリアム

2007年08月16日 03時59分00秒 | 映画
普段からアメリカ映画はあんまり見ない私だが、このテリー・ギリアム監督の作品だけは大好きで必ず見るようにしている。
で、この『ブラザーズ・グリム』と『未来世紀ブラジル』の2本をまとめて観るという至福の時間を過ごす。
特に『未来世紀ブラジル』は僕のMy favoriteだったりする名作なのだ。
多分、テリー・ギリアムの最高傑作だと思う。
この監督の映画はメジャーであれマイナーであれ、ホント見るものを異世界へ連れて行ってくれる。

とかなんとか書いている時に地震が来る。
ま、こういう時、阪神大震災を経験している人間は得だわな。
あ、これ、大したこと無いな…とかある程度分かるし、無駄な恐怖や緊張感に陥ることも無い。
外でやたらカラスが鳴いてるなぁ。。。
地震で目が覚めたか?
この程度でビビルなよカラス。
神戸や大阪のカラスを見習え!弱虫が!

そんなわけで、『ブラザーズ・グリム』にはけっこうカラスが印象的に使われていましたね。

『未来世紀ブラジル』大好きなんですよね。
なんつうか、美術とか視覚的なものもそうなんですが、演出のアイデアが凄いですよ。
強烈ですよ。
よくもまぁ、こんなこと考えるよなぁ…って。
詳細説明するのめんどくさいし、それ以前に言葉で説明しずらいので、とりあえず見て感じてください、とか言えないわけですが、それが感じられない人もいたりで厄介なわけです。
なんで?こんな凄い映画を凄いと感じられないの?って。。。
あのね、もうそんな世界なんですよ。
説明不要ですよ。
というか、実際見てもらって感じてもらう以外に、説明不可能なのですよね。
なんだったら、一緒に作品見ながら、横でレクチャーしましょうか?
え?ウザイって?

へえへえ。
すんません。

『ピストルオペラ』★鈴木清順

2007年08月15日 04時11分05秒 | 映画
以前見たときは、映画の途中で寝てしまい、どんな作品だったかほとんど覚えていない、いつぞやのリベンジ。
で、こんなもの見た日にゃ、私はどうすればいいの?
なんだかぶっ飛び過ぎて、これは確信犯ですね。
強烈に面白いです。
もう、最後の決闘のところなんざ、大笑いしてしまいましたよ。
完全にトリップしてましたよ。
見てる私がトリップなのですから、作った人たちはもっとトリップしていたのでしょう。
いい意味で気が振れ過ぎています。
危ないです。
ヤバイデス。

でも、こんなに褒めてる割には、人様には見てとは言えません。
好奇心旺盛な方ならどうぞ。

『ユメ十夜』

2007年08月09日 22時13分09秒 | 映画
夏目漱石の原作短編小説「夢十夜」を11人の監督により、10本の短編として映像化したもの。
監督はそれぞれ、実相寺昭雄、市川崑、清水崇 、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜孝、河原真明、山下敦弘、西川美和、山口雄大。
けっこうそそられるこの面子。
確かにいろんな作品があった。
不条理劇にホラー、アニメ、ファンタジー。。。
中には頭をひねりたくなる様な物も。
10本ある中で、僕が一番気に入ったのは、松尾スズキ監督の第六夜。
運慶がトランスにあわせてパントマイム風のダンスを踊りながら、仁王さんの顔を彫るという奇妙奇天烈な内容。
はっきり言って訳分からんが、なんか一番笑えたし、いいんじゃないか。
出演者陣も変で楽しい。
あと第一夜、『ウルトラセブン』の巨匠・実相寺昭雄監督の作品とかも、かなり魅せられた。
写真は山口雄大監督の第十夜。
これは作りが浅くて大して面白い作品ではなかったけれど…。

『紙屋悦子の青春』★黒木和男

2007年08月08日 03時24分17秒 | 映画
これまた地味な映画を見てしまった。
というか…地味さを装った、力強い作品というべきか?
黒木和男監督という人の映画は良く知らないまま予備知識無く見る。
その前に見た『さくらん』が派手派手な作品だったので、その印象が余計に際立つ。
なんて取り合わせだ。

永遠に続くかと思われたオープニング、病院の屋上での老夫婦の会話。
でも、これが全く老夫婦に見えない。
その虚構性を受け入れられるか否か…そこがこの作品を是とするか否とするかの境目なのだと思う。
原田知世が出てなかったら絶対見ていなかった映画だったけど、なんかすーっと引き込まれていく。
自分でも分からないが、自然と僕は受け入れていたのだと思う。
場面は替わり、昭和20年太平洋戦争末期の鹿児島。
これまた、永遠に続くかと思われた、卓袱台を挟んでの夫婦の何気ない日常会話。
しかし、その台詞の端々に、戦争末期の状況を垣間見ることが出来る。
とにかく、いろんな状況を平凡な日常会話を通して描き出していく。
そこに派手な演出も映像的カタルシスも何もない。
しかし見入ってしまう。
台詞の一言一句を聞き逃すまいと、ますます画面に集中する。
そして、唐突に終わる。
エンドロールを見ながら、この映画の価値を自身で悟った時、僕は日本人で良かったと思えた。

『さくらん』★蜷川実花

2007年08月06日 04時39分58秒 | 映画
けっこう面白かったですよ。
楽しめました。
画面が赤かったです。
とにかく赤かったです。
赤色好きで良かった。
芸大の授業に出てきそうな映像でした。
美しいです。
生活に余裕があればBGVに良いかもしれませぬ。
印象的な台詞も幾つかありましたね。
ま、それは見てからのお楽しみと言うことで。

実は見る前はあんまり期待してなかったんですけどね。

ラストは一見ハッピーエンド風ですけど、実は壮絶で残酷な悲劇を暗示させてますね。
とても悲しい物語だと思います。

ああ…あと、女って生き物は気持ち悪いな…と思いました。
女性視点の女性の物語って、何だか生々しくって。
だからと言って僕にはその気はありませんが…至ってノンケです。
念のため宣言しておきます。

『オペレッタ狸御殿』★鈴木清順

2007年08月01日 04時21分45秒 | 映画
鈴木清順監督と言えば『ツィゴイネルワイゼン』も見ていなければ、『けんかえれじい』も見ていない…『殺しの烙印』なんてもってのほか。
僕が見たのと言えば『カポネ大いに泣く』と『ピストルオペラ』の中途半端にマイナーな2本だけ。
しかも『カポネ大いに泣く』なぜカポネがチャック・ウィルソンなのか最後まで気になり、映画に集中できず訳が分からなくなりジエンド、『ピストルオペラ』に至っては途中で寝てしまうと言う快挙を成し遂げた私だったが。
それでも鈴木清順監督作品が好きだと言ってしまうモグリでシッタカを決め込むワシ。

いや、本能的に感じるんですよ。
(はぁそれこそモグリの何ものでもなし)。

そんな奴が『オペレッタ狸御殿』を見る。
実は正直心配だったが、けっこう楽しめたのです。
なんか最初の平幹二郎の芝居でいきなり大爆笑しましたよ。
多分笑うとこじゃないはず。
これでしっかり捕まえられたわけで。。。
その後は、この監督の作品を見たことがある人は良くご存知、清順絵巻のイリュージョンの世界。
もうねぇ、ストーリーなんてどうでもいいのよ。
そこに展開するイリュージョンを楽しむのです。
なんか、昔、僕が出演させてもらった『Pretty』っていう8ミリ自主映画に、絵作りとか演出が「似てるなぁ」。
さて増井さんはどう思ったのだろう。

『ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け』★山川直人

2007年07月31日 00時56分01秒 | 映画
さぁ「ZELDA」のライブ見たさに、Yahoo!動画へアクセス。
ネット配信で映画をまるまる見たのは初めての経験。
映画の途中で唐突にCMが入るのがなぁ…。
でも、ま、無料だし、昔劇場で見てるので、多少画像悪くてもいいかってな感じで。

さてこの映画のストーリー…

ビリィ・ザ・キッドは奇妙な酒場スローターハウスに立っていた。
彼は店のマスターに用心棒として雇うよう、早打ちを披露するが、間にあっていると断られる。
だが、マスターの愛娘テイタムに一目惚れ、何とかタダ働きのウェイターとして潜り込む。
その店にはビリィの他に、剣豪・宮本武蔵、サンダース軍曹、詩人の中島みゆき、念力を繰る104、マルクスとエンゲルスが合体したマルクス・エンゲルス、など一癖もフタクセもある妙な連中が働いていた。
だが、それは仮の姿であり、実はギャングたちの襲撃から店を守るため、雇われた用心棒たちだったのだ。

ロックバンド・ZELDAのライブを3日後に控え、ビリィは店の客になりすましたギャングを見つけだそうとやっ気になっていた。
張り込みの巡査、ナチス将校、イエス・キリスト、MP、ハリマオ、佐々木小次郎、某国立大教授、近所の割烹着のおばさん、パンク少年隊、人間になった雑誌ポパイ、来る客すべてが怪しい奴ばかり…。
しかし美人OLのシャーロットだけには気を許してしまう。

そして3日が過ぎ…ついにZELDAのライブが始まった。
ライブも最高潮に盛り上がったころ、4人のギャング、ハリィ・キャラハン、シャーロット、ブルース・スプリングスティーン、レオニド・ブレジネフが突如襲撃してきた。
ライブの観客を巻き込み壮絶な銃撃戦が始まる。
果たしてビリィたちの運命は…スローターハウスはどうなってしまうのか???

何ですか?これは。
変でしょ?
このストーリーを読んでどんな映画か分かった人…マズいないよね。
でも、この作品を純朴映画少年だった学生時代に見た僕は、「映画って何でもありでええんや!」と悟って、こんな大人に成長してしまったのでした。
おわり。

星は★★★★4つです。
なんだかんだ言っても好きなのですよ。

『悪魔の手毬唄』★市川崑

2007年07月28日 01時24分42秒 | 映画
市川崑監督の金田一耕助シリーズはテレビで旧作の『犬神家の一族』と母親にねだって映画館に連れて行ってもらった『獄門島』と『女王蜂』しか見ていなかった。
そう…子供のころ。
変な子供。。。
それだけ見ていれば充分だろ!と言う向きもあるけど、やっぱ市川崑監督による金田一もの最高傑作の呼び声高い『悪魔の手毬唄』はチェックしておくべきでしょう。
というわけでDVDを借りた。
モダンだわ。
古くないよ。
横溝文学って凄くビジュアル的でめっちゃ素敵なんだけど、この原作は超超特にですね。
殺し方が美しいです。
『獄門島』の殺し方も大好きだけど。
もう美学です。
文庫本で読んだ「貸しボート十三号」もチョー衝撃だったけど。
子供のころのドキドキが甦ってきましたよ。
な~んか今さらだけど、全部見たくなって来ましたよ。
そんな感じで今からテレビドラマ版の『三つ首塔』を見ます。
金田一耕助は古谷一行です!!!