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チョイ前までは夢と希望に満ち溢れとった小市民の浅まし過ぎる野望と欲望の為の高度浄水処理施設

いろいろ誤解されて面倒臭いんで、当たり障りの無いタイトルにしましたよ
飽きたらまた変えますから…

2003年04月27日 03時52分56秒 | 詩作
ゲームの中の幼なじみは
梨の皮がむけなくて
その物語の中で
梨の皮むき練習するの

空想科学感情移入
叶わぬ想いはメモリーカードの奥深く
だけどいつでも再生可能

現実の中の僕は
やっぱり梨の皮がむけなくて
包丁で四等分して
種だけとって
仕方なく皮つきのまま食べるの

君にひと言頼めば
すぐにむいてくれるだろうに
叶わぬ想いは今も胸深く
二度と見えないリアリズム

残酷な聖夜に

2002年12月25日 01時14分24秒 | 詩作
あなたの肝機能は既に停止していて
肺には水が溜まり
心臓はその水圧で身動きが取れずにいた

深夜のナースステーションで聞く
医師の冷たい響きに
僕は成す術もなく
ただ呆然と硬直するのみ

レントゲンの黒い光沢は
絶望的な未来を暗示するには充分で
霧のような白い陰は
抗うあなたの魂そのもの

雑菌やウィルスが入るといけないので
そっと寝顔にキスしてあげることも出来ず
「おやすみ」と病室を後にする僕に
妙な音の鼾で答える

あなたはこの日
ケーキが食べられなくて
僕があなたの分まで全部食べた
その日の帰り際のことだ

以来
僕はクリスマスケーキを口にしたことはない

新夕陽ヶ丘にて

2002年10月14日 01時02分33秒 | 詩作
紅の海と空に発情する雌雄
人目はばからずの抱擁

僕と君は電脳通信擬似恋愛
君が見たいと言えば
僕は見においでと答え
君が膝抱っこと送れば
僕が膝枕と返す
いつの間にやら電脳通信擬似抱擁

この水平線の先は
英雄見下ろす桂浜
きっと君の横顔も
この照り返しに
紅く染まっているのでしょう

湾岸道

2002年09月08日 00時42分07秒 | 詩作
正面霞む湾岸道
その頃の流行歌聴きながら
二人120キロで駆け抜けた
かすむ記憶の天上道
海もを波打つ龍の背の先は
遥か遠く稜線に溶け込む
何れ夜になれば光の川となり
その記憶は美しく甦るだろう

でも僕はそれまで待たないよ

君に与えてもらった自由時間
無駄にはしたくないからね
また会ういつかその日まで
僕は僕なりの湾岸道を
時速130キロで駆け抜けよう
乗り物は替わっているかも知れないし
聴く歌は違うかも知れないし
君の席には他の誰かが
座っているかも知れないけれど
でも君がちょっと嫉妬して
見守ってくれていることを
ずっとずっと信じているから

自転車乗って大阪城へ行こう

2002年08月18日 01時08分33秒 | 詩作
「あの塔に登った男女には不幸が訪れるんだって…」
「だったらいちど試してみようよ…」

お互いの未来信じてた二人は
そんな昔の言い伝えなんてお構いなしに
仲睦まじく手をつなぎ
自信満々であの塔に登る

草むした石だたみ
一歩一歩踏みしめながら
爽やかな風
いっぱいに受けて
穏やかな夕日
しっかり見据えて

初めて見る絶景に
嬌声あげる無邪気な二人は
今まさに有頂天
そこまで迫った哀れと嘆き
気づきもせず
同じ苦しみ幾度も繰り返すこと
夢にも思わず


大好きなSUBWAY片手に
自転車乗って大阪城へ行こう
今日は一人でペダルを踏んで
むかし辿った同じ道
コンクリートの傾斜道

二酸化炭素の風
額に受けて
紫外線の夕日
少し避けるように
流れる景色
気にも留めずに

幾千年かぶりに夢に見るあなたは
虚ろな笑顔で僕を誘う

仮面オフィス

2002年08月03日 03時46分17秒 | 詩作
怒りたくても
無表情
笑いたくても
無表情
泣きたくても
無表情

自分の顔
仮面で覆って
素顔も見せずに
講釈たれて

嬉しくないのに笑ってみせたり
悲しくないのに泣いてみせたり
楽しいけれども怒ってみせたり

大根役者の猿芝居
仮面被って
またお茶濁して…
居たたまれずに心の癇癪
研ぎ澄ます

俺の前に壁を造れ!
俺の右に壁を造れ!
俺の左に壁を造れ!
俺の頭上に壁を造れ!
俺の背後に壁を造れ!
俺の足元に壁を造れ!
俺のデスクを壁で取り囲め!

遮断された空間で
窮屈だった仮面を外す
露わになった素顔は
自ら確かめる術もなく
空想するだけ自己満足

暗いの狭いの大っ嫌い!
暗闇の中瞬きもせず
静寂の中息を殺して
自ら造った壁の中
助けが来るのを待っている
またいつもの幼児性

俺をここから出してくれ!
拳にいっぱい力を込めて
正面の壁を撃つ
厚い壁はびくともせず
それでも拳を撃ち続ける

俺をここから出してくれ!
拳の先は傷つき爛れ
激痛に全身は身悶え
血と涙は絶えることはない

俺をここから出してくれ…
力なき愚かな叫びは
諦めの嘆きへと変わり
いつしか潰え去る自己矛盾

絶望の沈黙と暗黒の中
一条の光は射し込み
救いの女神は優しく囁く
「すみません…?」
光の向こうに見えるのは
訝しげな部下の顔

血の滴る拳の痛みに
今にも大きく泣きじゃくりたいのに
救われた喜びに
思わず笑顔で抱きつきたいのに
「あ、ごめん…ありがとう」
軽く彼女に微笑み返す…

あれ…それだけ?

仮面の下に
素顔と名乗る
別の仮面が現れた

土曜の夜の片想い

2002年07月21日 00時53分27秒 | 詩作
もしあの中に
あなたの想い人がいるのなら
何故そいつはあなたを守ってやれないの?
お互い好きだと言うのなら
何故あなたはそいつに守ってもらおうとしないの?

もしあの中に
あなたの想い人がいないのなら
何故そいつはあなたの側にいてやれないの?
お互い好きだと言うのなら
何故あなたはそいつと一緒にいようとしないの?

どうしてあなたは
そんな悲しい顔をして
いろんなことに耐えようとするの?
それがあなたとそいつの恋の形だなんて
とても認めたくはないよ

そんなの嫌で嫌で仕方がない!
悔しくて悔しくて死にそうだ!

けれど…

でもね…

だけどだけど…

僕はそんなあなたを抱きしめたい

不死鳥の灯り

2001年01月19日 00時49分54秒 | 詩作
アイスバーンの急な登りに
ノーマルタイヤが軋んだ時
何故か気持ちが安らいだ
これまでの二人の過去は
悲しい喘ぎ声をあげ
その瞬間に潰え去る

凍える静寂の中
穢れなく透き通る空気を媒介に
お互いの気持ちを重ね合い
またひとつ縮まる二人の距離

「冬の六甲なめたらあかんで」
不死鳥の街の灯りは笑うけど
煌めく光芒の中
涙ぐむあなたを見て
ほんとになめたらあかんな…
心からそう思う

誰もいない黄金色の駅舎に
化粧直しを終えたあなたは
元の明るい笑顔を魅せる
屋根の外はこの冬一番の寒さだけど
僕らのハートは
ポケットの中の缶コーヒー

雪の坂道
手に手を取って
あの灯りの元へ戻ろう
この時間はとても名残惜しくて
いつまでもこうしていたいけど
でもあの輝きの中にこそ
二人の未来がたくさん詰まっているはずだから

命日の母

2000年08月30日 00時58分20秒 | 詩作
毎月この日
うちの母は
僕の知らないうちに
僕の家を訪れ
部屋中を掃除して
洗濯物をたたみ
祭壇に花を生け
少しのおかずを置いて帰ってゆく

日付が替わり
深夜帰宅すると
冷蔵庫にはお弁当が二つ
そして卓の上にお手ふきとお箸が二つ
僕はそのひとつを経机に供え
箸とお手ふきを添え
もうひとつを独りで食す
悲しくも優しい時間が過ぎ
僕は涙で失われた水分をおぎなうが如く
二本目のビールを飲み干す