高校の頃のクラスメイトをスーパーで見かけた。
実家を改造したラーメン屋さんを夫婦で始めてから15年程になる。
そ~っと近づいてから「◯ズオ、久しぶりっ!」って声かけると
「あっ!Yuko!」と驚いた顔でまるで何十年ぶりに会うかのように
いきなり私の手を取って肩を叩きながら
「もう、、涙が出そう、、」と言った。
私としてはたまに見かけるし、そんなに感動する程久しぶりでもないので
冗談かと思って目を見たら本当に潤んだ目に涙が溜まっていた。
どういう事なのか分らないまま思わず遠慮がちにハグをして
「じゃ、またね」と言い
「ありがとう」とカートを押していく彼の後ろ姿をしばらく見ていた。

高校卒業後、彼は英語の専門学校に進んだ。
優しくて皆から慕われる彼の高円寺のアパートはいつの間にか
友人達のたまり場になっていた。
いつも誰かがギターを弾いていた。
それに合わせて誰かが歌を口ずさんでいた。
夜の公園で缶蹴りをしておまわりさんに注意された事。
深夜バイトの洗車場が「寒くて大変だよ」と言うWに私がダウンコートを貸した事。
野菜炒めに胡椒を入れすぎたのに「美味しい」って食べてくれた事。
寝ているTの顔に落書きをした事。
KがTを散髪して切りすぎて泣きそうになっているのを
「おかしくないよ~」ってみんなでTを慰めたのに
その日、別の件でKとTがケンカして
「言っとくけどお前の髪、変だから~」とKに言われて
Tは「うっ、、」と泣きそうになっていた事。
色んな友人の顔や一人一人に対する思いが一気に蘇って来た。
私は◯ズオにとってどういう友人だったのだろうか。
どうして、さっきスーパーで彼は泣きそうになったのだろう。
ホントに分らない。年とった??
そういう事を考えながら車を運転していたら
どこかで見たような白くてヒョロとしたオジさんが元気よく手を振って
こちらに向かってウォーキングしてくる。
近づいて「あっ!」と思った。
数年前からガンを煩っていると聞いた高2の時のオネエ担任だ!
嬉しくて思わずクラクションをプップ~って鳴らしたら
誰?と言う顔で振り向いて私の顔を確認して笑顔で大きく手を上げた。
「先生、元気になったんだ。もう死んだのかと思ってた。」
思わず涙が出そうになった。