真保裕一 2007年 文藝春秋
ギリシアへ単身赴任した夫のもとに届く妻からの手紙には、「別れ」を望む思いが綴られていた。そして夫からの返信。また妻からの返信……その時、妻の祖父が亡くなり、遺品の中からかつて犯罪者として牢につながれていたらしき祖母と祖父との間で交わされた手紙が発見される。
祖母の犯した罪とは何だったのか?時は現代に移り、妻はなぜこうまでかたくなに別れを希望しているのか?それぞれの謎が交錯しつつ、すべて書簡のみのやりとりの中で、明るみに出る真実は…
真保裕一。
「ホワイトアウト」以来のご無沙汰読書だが。
こそばゆい。
あなたは悪くない、わたしが悪いのです。
いや、きみは悪くない、わたしが悪いのだ。
自虐自虐のてんこ盛り。
その気持ちの往来手段が「手紙」のみ、となると…
どうも嘘くささ感が否めない。
なあんて感想は、
「手紙」にして構えると、ついつい本心をふくらまして脚色しちまう輩の言うことか?