松井今朝子 2007年 幻冬舎
[ちょいすじ] 吉原遊郭を形作る、引手茶屋のお内儀、遊郭の番頭、見世番、遣手婆、楼主、幇間、芸者、女衒、そして客。彼らそれぞれの語りを通して見えてくるのは、「葛城」という花魁。花魁にいったい何があったのか。いや、花魁は何をしでかしたのか。聞き手の若い男はいったい何を引き出そうとしているのか。
吉原という世界の特徴をあますところなく利用しきった“花魁ミステリー”
よくぞここまで調べなすった。
その上、よくぞそこまで筋を立てなすった。
実にウマい。
と、それだけならウマいだけだが、
最後まで登場しない花魁「葛城」 ( 登場、してるけどしてない )
の、「その後」を思うときにゃあ、胸中一陣の涼風あり。