某ギターメーカー社長室

ギターメーカー社長の色々な出来事

トラスロッド溝陥没の結末

2005-12-16 12:18:54 | 楽器
陥没した後どうしたかが気になっていらっしゃる方多いようなので続きです(笑)
お客様には正直に話をしました、それ以外ないですからね(汗)

グリップのリシェイプの結果、肉薄になっていた事、リフレットをする際の"フレット打ちつけ"の必要性、最後に平謝りと陥没部分の修理です。

そのギターは"貼り指板"の物でした、修理内容の前に予備知識を♪

トラスロッドの種類はザックリ分けて2種類、貼り指板用と1P用となります。
これは挿入方法の違いにより"頭"の形が違います。

挿入方法は1Pはネックグリップ側から溝を掘り、そこにロッドを挿入いたしますので頭が丸です。
一般的に"スカンクストライプ"と呼ばれるグリップ部分にウォルナットが埋めてあり線が入っております、これが溝の蓋になっている訳です。

貼り指板は指板を貼り付ける前に指板側からネックに溝を掘り、ロッドを挿入後メイプルで溝に蓋をし、その上から指板を貼り付けます。
ですから貼り指板のネックには一部例外を除き、基本的に"スカンクストライプ"は御座いません。

一部例外はフェンダー等のアメリカンスタンダードシリーズで行われている、ロッドの調整穴がヘッド側にあり、なおかつ"ブラウンエッグ(ヘッドの部分にあるウォルナットの丸)"部分にロッド調整穴が有る物と70sで見られるビューレットナットの物です。

ロッド調整穴が上でも上記以外は指板面からロッドを入れます。

てな訳で・・・・、預かった物は貼り指板、トラスロッド調整は下側だったのでスカンクストライプは無し!
トラスロッドの溝の形に陥没!

これは自然な感じに治すには"スカンクストライプ風"しかない!と言う事になり、お客様の同意を得てスカンクストライプ風にウォルナットを埋め、パッと見自然な感じに仕上げました(笑)

ロッドの入れ方をご存じなければ、修理したの判らないかも知れませんよ♪