某ギターメーカー社長室

ギターメーカー社長の色々な出来事

ギターの重量の盲点

2005-12-01 21:45:47 | 楽器
最近多いご依頼で"軽い物"が欲しい!と良く言われます。
もちろん軽い材料でお作りすれば同じギターやベースであれば重量は軽くなりますよね。

中には軽い材料を使用した上にさらに軽量化を図り、ボディーを一回り小さくしたりと色々と努力をなさる方も多いです。
当然軽い材料で小さく作れば完成重量は軽くなります、が、ここが非常に大きな落とし穴なんです(笑)

軽い物を製作する場合、軽い材料を使用すれば軽くなります。
が、軽い材料を使用する部分はどこでしょう?そうです、ボディーとなります。

では、ネックはどうか?
これは軽い物を使ってしまいますと強度的に問題がありますし、ボディー等に使われる材料と比べハードメイプルは極端に重量の個体差が無いのです。

ですから、仮に畳一枚分のボディーサイズのギターやベースとA4サイズボディー(ありえないですが)のギターやベースのネックの重量って基本的に同じになります。

ア~ンド、ハードウェア・・・・。
これもゼマイティスの如く"アルミ製"の物でも使用しない限り"一般的に流通"しているパーツを使用した場合、軽量化は不可能となります。

要するに軽くするにはボディーの重量を軽くする以外方法が無いのですな。
で、軽量化を図る際にネックやハードウェアは通常のギターと同じボディーのみ軽い材料でしかも小振りにすると何が落とし穴なのか?

基本的に人間が持ち上げられないような重量の物は置いておいて、ギターやベースは軽いと言っても3kg程度~重い物でも5kg位。
仮に畳一枚の重量が4kg、パチンコ玉一つの重さが同じ4kgだとしたら?さてさて、重く感じるのはどっちでしょうか?

全体的に軽量化が可能であればトータルでかなりの軽量化になりますが、極端に小さくする以外は所詮ボディーを一回り小さくしたところで他の部分が同じなので大した軽量化にはならないのです。

まして元々軽い材料を使用しているならボディー一回り分減らした材料の重さなんて高が知れてます。
軽い材料になればなるほど同じ体積を削っても軽量化の重量は少しになるのです。

で、ネックやハードウェアは通常のギターで重量全体の約半分を締めております。
その部分の重量はそのままなのである程度の重さになってしまうんですね。
重量が大して変わらないのにサイズは小振り!実際の重量は軽くはなりますが、持った感じはかえって重く感じてしまう結果となります(汗)

普通は軽い材料をさらに小さくするのですから"劇的に軽く感じる!"と思って必要以上の期待を持ちますから大ショックでしょう(笑)
軽い材料を使用する場合は普通サイズで作るのが軽く感じます、それどころか劇的に大きく作った方が軽く感じてしまいかねませんよ!

軽い楽器が欲しいなら軽い材料でもの凄くデカイ楽器を作るべし!
デカクなればなるほど軽いギターやベースになる!新しい理論ですな(笑)

気持は解りますが"持って軽く感じる物"と"計って軽い物"皆さんはどちらを選びます?(笑)