個人情報保護法（個人情報の保護に関する法律）というのは、誰か個人を特定し得る情報を取り扱う行政や企業に対して、望ましい管理の仕方を以て、個人の権利や利益を護ることに主眼が置かれているはずなのだが、これによって、個人になんとも不思議な権利を生み出すことにもなったと言える。
個人が所有しているとは言い難いけれど、その情報は間違いなくその個人に関わる情報である。ひと昔前にはプライバシーと呼ばれていたいろいろが情報化されるにいたり、個人情報とプライバシーは厳密に別種の概念になったと言える。
しかし。もともと所有しているわけではない情報に対して、あたかも所有権があるかのような権利が発生するのは、どこか不思議な事態のようにも思える。
わたくし自身がその身をおいて考えてみると、わたくしに関わる情報というのが、例えば高度な医療情報であった場合。その情報を有効に利用できるのは、わたくしではなくて、医療機関であることは間違いない。様々に専門的な知見に耐えうるだけの情報は、すべてわたくしに関わるとしても、わたくしがそれを生成したわけでもなければ、管理をしているわけでもない。それどころか、わたくしがその情報に自由にアクセスすることさえ、管理上は許されていないという事態が普通に考えられる。
実際に所有もしていなければ、管理もしていない情報、アクセスさえ自由ではない情報について、わたくしが所有しているという事実があるか？と言えば、そういう事実はなく、所有を実感することも難しい。
だが、ひとたび、これらの情報が流出してしまう事態が起これば、決定的な不利益、取り返しのつかない被害を被るのは、他ならぬ「わたくし」であることも、疑いようがない。
こうした種類の「個人情報」というのは、当該個人による所有という概念からは遠いところにある。
「わたくし」は、「わたくし」に関わる情報を所有はしていない。
どんなことが自分に関わる個人情報なのか、その全容を掴みうる「わたくし」個人というのは、言わば想定される架空の人物のようにさえ思えてくる。
現実に、決定的な影響を与えうる個人情報であっても、その情報が使用されるまでは、当の本人にとってはどこまでもVirtualな領域で管理される質の、潜在的要素でしかない。
「わたくし」に関わる重大な情報に、「わたくし」がアクセスすることが可能か？
行政に対しては、その情報にアクセスする権利を、当該個人（ここで言う「わたくし」）に認めることが求められている。
個人情報の開示請求権は、「わたくし」が所有していない、「わたくし」の情報に、「わたくし」がアクセスするための権限を保証するものであるが、それにはステップがある。
あくまでも「わたくし」に関するという条件、限定の下に、情報開示を求める「わたくし」に対して、「わたくし」の情報を公開するというのは、自治体なり、行政なりの責任ということになる。
このあたりのことを真正面から考えると、保証されている権限というのは、言葉からもたらされるイメージとはだいぶ違うものになりそう。というのも、実際に情報そのものに接してみるまでは、どんな内容が「わたくし」の「個人情報」なのか、明らかにはならないということでもあるから。
開示する側、すなわち管理する側がどのように係る個人を認めているか。各機関によって、表現の仕方は様々で、個人の認め方にも違いはあるだろう。「わたくし」が関わるとされる範囲について、開示する側が是とする範囲、解釈があって、そのフィルタをくぐり抜けられるものだけが、開示可能な情報ということになる。
情報が開示されなければ、「わたくし」に関わる個人情報がいかなるものか、「わたくし」に知る機会はない。
「わたくし」が開示を求める情報というものが本当はいかなるものなのか？
知る機会のなかった情報について、その奥行きを推し量るのは難しい。
ところで、その存在さえも知らない一個人が、自分の情報について開示を求めるというのは、あり得ることなのだろうか？
権利はあるが、その行使については思いも寄らないというのが、一般的な「わたくし」なのではないだろうか？
ちょっとそんな事を考えていたら、めまいがしてきた。
「知らない」というだけで、事実上、放棄してしまっている権利というのが山ほどあるような、そんな風に思えたからだ。
だとすると、この開示請求権というのは、いったい誰のための権利なのだろうか？
個人が所有しているとは言い難いけれど、その情報は間違いなくその個人に関わる情報である。ひと昔前にはプライバシーと呼ばれていたいろいろが情報化されるにいたり、個人情報とプライバシーは厳密に別種の概念になったと言える。
しかし。もともと所有しているわけではない情報に対して、あたかも所有権があるかのような権利が発生するのは、どこか不思議な事態のようにも思える。
わたくし自身がその身をおいて考えてみると、わたくしに関わる情報というのが、例えば高度な医療情報であった場合。その情報を有効に利用できるのは、わたくしではなくて、医療機関であることは間違いない。様々に専門的な知見に耐えうるだけの情報は、すべてわたくしに関わるとしても、わたくしがそれを生成したわけでもなければ、管理をしているわけでもない。それどころか、わたくしがその情報に自由にアクセスすることさえ、管理上は許されていないという事態が普通に考えられる。
実際に所有もしていなければ、管理もしていない情報、アクセスさえ自由ではない情報について、わたくしが所有しているという事実があるか？と言えば、そういう事実はなく、所有を実感することも難しい。
だが、ひとたび、これらの情報が流出してしまう事態が起これば、決定的な不利益、取り返しのつかない被害を被るのは、他ならぬ「わたくし」であることも、疑いようがない。
こうした種類の「個人情報」というのは、当該個人による所有という概念からは遠いところにある。
「わたくし」は、「わたくし」に関わる情報を所有はしていない。
どんなことが自分に関わる個人情報なのか、その全容を掴みうる「わたくし」個人というのは、言わば想定される架空の人物のようにさえ思えてくる。
現実に、決定的な影響を与えうる個人情報であっても、その情報が使用されるまでは、当の本人にとってはどこまでもVirtualな領域で管理される質の、潜在的要素でしかない。
「わたくし」に関わる重大な情報に、「わたくし」がアクセスすることが可能か？
行政に対しては、その情報にアクセスする権利を、当該個人（ここで言う「わたくし」）に認めることが求められている。
個人情報の開示請求権は、「わたくし」が所有していない、「わたくし」の情報に、「わたくし」がアクセスするための権限を保証するものであるが、それにはステップがある。
あくまでも「わたくし」に関するという条件、限定の下に、情報開示を求める「わたくし」に対して、「わたくし」の情報を公開するというのは、自治体なり、行政なりの責任ということになる。
このあたりのことを真正面から考えると、保証されている権限というのは、言葉からもたらされるイメージとはだいぶ違うものになりそう。というのも、実際に情報そのものに接してみるまでは、どんな内容が「わたくし」の「個人情報」なのか、明らかにはならないということでもあるから。
開示する側、すなわち管理する側がどのように係る個人を認めているか。各機関によって、表現の仕方は様々で、個人の認め方にも違いはあるだろう。「わたくし」が関わるとされる範囲について、開示する側が是とする範囲、解釈があって、そのフィルタをくぐり抜けられるものだけが、開示可能な情報ということになる。
情報が開示されなければ、「わたくし」に関わる個人情報がいかなるものか、「わたくし」に知る機会はない。
「わたくし」が開示を求める情報というものが本当はいかなるものなのか？
知る機会のなかった情報について、その奥行きを推し量るのは難しい。
ところで、その存在さえも知らない一個人が、自分の情報について開示を求めるというのは、あり得ることなのだろうか？
権利はあるが、その行使については思いも寄らないというのが、一般的な「わたくし」なのではないだろうか？
ちょっとそんな事を考えていたら、めまいがしてきた。
「知らない」というだけで、事実上、放棄してしまっている権利というのが山ほどあるような、そんな風に思えたからだ。
だとすると、この開示請求権というのは、いったい誰のための権利なのだろうか？
