『ルルーシュ・ランペルージ』
『ナナリー・ランペルージ』
隠されるように作られた遺体のない墓に刻まれた二人の名前。
彼等の本来の身分を考えて、ひっそりとアッシュフォード家によって、その墓は作られた。
空が泣いてるみたいな雨の中で行われた。
数人の親しかった友人たちだけで行われた葬儀。
スザクは、その光景を見ながら、紅くなった瞳を伏せた。
昨夜、彼女たちの姿を探して、クラブハウスを駆け回った。
最期に辿りついたルルーシュの部屋で、かすかに彼女の気配が残るその場所で、
かつて、彼女を抱いたベットで、彼女たちの死を否定しながら、泣いた。
けれど、理性が告げた。もう彼女達はどこにもいないのだと。
それを感情が認めたくなくて、葛藤しながら、泣き疲れ、微かに残る彼女の香りに包まれて、眠った。
朝陽の眩しさに目を覚ました。
ルルーシュが死んでしまった夢を見た。なんて残酷な夢。そんなことがあるわけがないのに。
そう思って、目を開いた。自室ではなく、ルルーシュの部屋にいることに驚いた。
反射的に隣を見る。
「・・・・・・・ルルーシュ?」
けれど、あの日のように彼女が隣で眠っていることはなかった。
なぜ?と思いながら、昨夜の記憶が甦る。
『ルルーシュとナナリーが亡くなったの。』
残酷な言葉が甦る。
「・・・・・本当に、いないの?・・・・・どこにも、いないの?」
夢であれば、よかったのに。あの日のように、彼女が自分の腕の中で眠っていてくれたなら、どれほどよかっただろう。
あれほど、昨夜泣いたのに、また涙が零れていく。
『ばーか、すっかり泣き虫だな。スザク。』
呆れたように笑いながら、僕の涙を拭ってよ。
お願いだよ。
もう一度、僕に触れて、僕の名前を呼んで。
気づいた想いがあるんだ。
好きだったんだ。
包み込むみたいに優しく護ってあげたかった。
あの箱庭で微笑む君が愛しかったんだ。
過去の俺も、今の僕も否定せずに、ただ、受けとめてくれた。
君が大切だったんだ。
こんな簡単なこと、君を失ってから気付くなんて。
『馬鹿だ!お前は』
脳裏によぎる、よく、そう怒っていた君の声。
そうだね。僕は馬鹿だ。
君を失ってから、気付くなんて。
もっと早く、気付けば、君を失わずにすんだのだろうか。
みんなが帰った後、一人ルルーシュの墓標の前で、立ち尽くす。
「ルルーシュ。俺は君を愛してるんだ。」
墓石に語りかけるなんて、なんて、空しいことだろう。
もう君がどこにもいないなんて。
どうして、俺は、君を守れなかったんだろう。
「ルルーシュ!!!」
まるで、彼の流した涙のように、雨が彼を包みこんだ。
「・・・・・。」
「どうした?ルルーシュ。」
突然立ち止まり、振り返ったルルーシュにC.C.が問いかける。
その声に、何もない空間を見つめていたルルーシュは正気に戻り、視線を戻す。
「いや、呼ばれたような気がしたんだ。」
C.C.は、その言葉を受けて、周りを見回す。
「誰もいないぞ?」
「そうだな。行くぞ。」
ルルーシュは、小さく笑って、歩み出す。
C.C.もその後に続いて、歩き出す。
願いを、誓いを叶えるために、少女は歩み出す。引き換えに失ったものに心が悲しいと叫んでも。
『ナナリー・ランペルージ』
隠されるように作られた遺体のない墓に刻まれた二人の名前。
彼等の本来の身分を考えて、ひっそりとアッシュフォード家によって、その墓は作られた。
空が泣いてるみたいな雨の中で行われた。
数人の親しかった友人たちだけで行われた葬儀。
スザクは、その光景を見ながら、紅くなった瞳を伏せた。
昨夜、彼女たちの姿を探して、クラブハウスを駆け回った。
最期に辿りついたルルーシュの部屋で、かすかに彼女の気配が残るその場所で、
かつて、彼女を抱いたベットで、彼女たちの死を否定しながら、泣いた。
けれど、理性が告げた。もう彼女達はどこにもいないのだと。
それを感情が認めたくなくて、葛藤しながら、泣き疲れ、微かに残る彼女の香りに包まれて、眠った。
朝陽の眩しさに目を覚ました。
ルルーシュが死んでしまった夢を見た。なんて残酷な夢。そんなことがあるわけがないのに。
そう思って、目を開いた。自室ではなく、ルルーシュの部屋にいることに驚いた。
反射的に隣を見る。
「・・・・・・・ルルーシュ?」
けれど、あの日のように彼女が隣で眠っていることはなかった。
なぜ?と思いながら、昨夜の記憶が甦る。
『ルルーシュとナナリーが亡くなったの。』
残酷な言葉が甦る。
「・・・・・本当に、いないの?・・・・・どこにも、いないの?」
夢であれば、よかったのに。あの日のように、彼女が自分の腕の中で眠っていてくれたなら、どれほどよかっただろう。
あれほど、昨夜泣いたのに、また涙が零れていく。
『ばーか、すっかり泣き虫だな。スザク。』
呆れたように笑いながら、僕の涙を拭ってよ。
お願いだよ。
もう一度、僕に触れて、僕の名前を呼んで。
気づいた想いがあるんだ。
好きだったんだ。
包み込むみたいに優しく護ってあげたかった。
あの箱庭で微笑む君が愛しかったんだ。
過去の俺も、今の僕も否定せずに、ただ、受けとめてくれた。
君が大切だったんだ。
こんな簡単なこと、君を失ってから気付くなんて。
『馬鹿だ!お前は』
脳裏によぎる、よく、そう怒っていた君の声。
そうだね。僕は馬鹿だ。
君を失ってから、気付くなんて。
もっと早く、気付けば、君を失わずにすんだのだろうか。
みんなが帰った後、一人ルルーシュの墓標の前で、立ち尽くす。
「ルルーシュ。俺は君を愛してるんだ。」
墓石に語りかけるなんて、なんて、空しいことだろう。
もう君がどこにもいないなんて。
どうして、俺は、君を守れなかったんだろう。
「ルルーシュ!!!」
まるで、彼の流した涙のように、雨が彼を包みこんだ。
「・・・・・。」
「どうした?ルルーシュ。」
突然立ち止まり、振り返ったルルーシュにC.C.が問いかける。
その声に、何もない空間を見つめていたルルーシュは正気に戻り、視線を戻す。
「いや、呼ばれたような気がしたんだ。」
C.C.は、その言葉を受けて、周りを見回す。
「誰もいないぞ?」
「そうだな。行くぞ。」
ルルーシュは、小さく笑って、歩み出す。
C.C.もその後に続いて、歩き出す。
願いを、誓いを叶えるために、少女は歩み出す。引き換えに失ったものに心が悲しいと叫んでも。