チャイナMBAマネジメント協会

「CMMA: China MBA & Management Association)」

日経ビジネスにインタビュー記事掲載

2012-08-31 | 長江商学院MBA
こんにちは!大内です。

日経ビジネスの6月25日号「ニッポンを売り込め」の中に、長江商学院MBAと私のインタビュー記事が掲載されましたので、転載します。長江商学院の特徴、私や中国人現役生の思いが載っていますので、ぜひご参考にしてください。


中国でのMBA取得:良質の人脈を築く近道

アジアビジネス界のリーダーで香港の大富豪李嘉誠(リ・カシン)。その李嘉誠基金会出資によるビジネススクール長江商学院は2002年に開学。すでに5000人を越えるビジネスリーダーを輩出している。

近年中国でもMBAが大流行りである。その昔は大学生というだけで一目置かれた時代もあったが、今では海外留学組も多数帰国し、単に大学を出ただけでは就職できない時代になっている。北京大学、清華大学をはじめ、中国の大学は挙ってビジネススクールを開校し、学生を集めている。

そんな中で香港の大富豪李嘉誠(リ・カシン)の基金の資金協力により10年前に項兵学院長が創設した長江商学院は異彩を放っている。北京の中心天安門広場近くの一等地にあり、欧米の一流大学で教鞭をとっていた専任教授陣、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏、青島ビール社長の金志国氏、TCL会長の李東生氏などEMBAの5000名を超える強固な卒業生ネットワーク、そして中国唯一のプライベートビジネススクールとして、教授陣自らが自主的に学校運営を行うなど、中国の大学が創設したビジネススクールとは一線を画している。

ここでは「欧米流のマネジメントスタイル」を学ぶ他、併せて中国でビジネスをする上で必要不可欠な「チャイナファクター」を織り込んで、より実践的な授業が行われている。卒業生の実例を基に、長年欧米で研究していた中国人大学教授が中心となって、チャイナモデルを作成し、ケーススタディとして使用、卒業後すぐに企業で使えるノウハウ習得が可能となっている。現在中国企業に欠けていると言われている「アカデミック」と外資系企業が欲している「中国的プロフェッショナル」の融合だ。MBAコースでは、他校より短い14か月で中身の濃い授業を展開し、使用言語は全て英語。卒業生に対しては国内外500社から求人が舞い込み、卒業後3か月で就職率98%、卒業後5年で大多数が企業のマネジメント層に就いている。勿論給与が数倍になるケースもある。優秀な中国人は決して安くはない学費を払い、このチャンスをつかみに来る。

在中国の日本企業ではMBA取得者の採用に極めて慎重な姿勢をとっているが、このような欧米流のマネジメントと中国的要素を併せ持った優秀な中国人人材を自社で活用できる体制を取る必要があると痛感する。また同時に自社の日本人社員を欧米のビジネススクールへ派遣するだけではなく、中国へ送り込むことにより、その「ノウハウ」「人脈」を構築し、現在起こっているストライキなどの人事労務問題、企業再編などのビジネスモデル構築に活用して行かなければ、業務推進が阻害され、企業のプレゼンス低下は免れえない。


中国でのネットワークづくり

大内昭典(31歳)は満面の笑みを浮かべて「北京で就職が決まりました」と語る。日本で大学在学中に公認会計士試験合格、大学卒業後、日系大手リース会社、米国系投資銀行などを経て、2010年に長江商学院のMBAコースに飛び込んだ。元々はアメリカのトップテンビジネススクールへの留学を志望していた彼がなぜ中国へ来たのか。

「リーマンショック後、世界の流れが中国・アジアに来ていると思ったし、中国を舞台に自分でビジネスを創っていきたかった。将来中国で仕事をすることを想像した時、アメリカに留学しても、中国でビジネスは出来ない」。大内の志向ははっきりしていた。「正直今でも世界で勝負するならハーバードが一番だと思いますよ。でも中国で本気で勝負したければ、断然こちらでしょう。中国語や中国の商慣習・文化を学び、中国社会に入り込まなければ、中国で大きな仕事は出来ません。中国人が圧倒的多数を占める長江商学院では中国人と如何に戦うかと如何に仲良くするかを同時に身に付けられます」と。

学費は決して安くはないが、アメリカに比べれば安い上、生活費も考えれば北京はかなりお得な選択になるという。「私費で留学するならこれからは中国でのMBA取得もあり」。就職も日本に帰ることは考えなかった。ネットや投資関連の会社を数社受けたが、最終的には中国人が活躍し、日本人駐在員が一人もいない日本企業の現地法人に決めた。「日本で培った実務経験と長江商学院の人的ネットワークを組み合わせれば自分しか創り出せない仕事ができると考えると毎日ワクワクします」。

日本人が中国でやって行く仕事が変化する兆しではないかと思う。日本人学生も日本での就職が難しい中、数年の就業経験を積んだ後、高みを目指して思い切ってチャレンジしてみるのもよいだろう。日本企業もこのような人材を採用し、中国市場の攻略、人事管理、企業管理などに生かしていくべきではないだろうか。

長江商学院MBAコースに在籍する中国人韓濤(29歳)はアメリカで化学の博士号を取得した逸材。その彼が「中国人が長江商学院でMBAを取る意味」をこう語る。「アメリカでMBAを学ぶことは出来るが、中国でビジネスするならここで学ぶのが一番と考えた。何よりEMBA卒業生5000人の生のビジネス教材がここには詰まっており、更にはメンター制度でEMBA在籍者から直接話が聞ける」。長江商学院がMBAコースを北京だけで開校している意味も「ビジネスなら上海などもあるが、トップの強い人脈形成はどうしても北京でないと」と解説されている。現在韓は得意の化学分野で起業を検討しているが、その為の資金は卒業生ネットワークのベンチャーキャピタルを活用する他、会社のオフィスから同業他社情報まで起業に関するあらゆることが長江商学院ネットワークから得られるという。「中国の大学の先生は偉くなることが目標となり、教えること、研究することに力が入らないが、長江商学院は私学のため、教授陣が学生の必要としている具体的な内容を研究し、教えることに専念できる。この環境が極めて大事」との話もある。

ただ中国で勉強すればよいという訳でもない。「強固な卒業生・在校生ネットワーク」「生のビジネス情報」「学生に必要な情報を提供できる教授陣」、これからは選択と集中の時代である。