あなたはいったい…

EPISODE3/#18


　浪人者が僕たちの前に立ちはだかった



　「あなたはやり遂げねばならない大切なことがあるはず。

　　あの時は、ああするほかなかったのです。

　　だれもあなたを責めたりはしない。

　　それどころか…。」


　痩せこけた僧の言葉を、浪人者が遮った。


　「村長に伝えてくれよ。うまい酒だったと。

　　流れてるうちに、どうも逃げ癖がついちまってた様だ。」




　浪人者は、ほこらに向かってゆっくりと刀を抜いた。

　決して長くはない、むしろ無骨な刀を。


　「いぇぃ！」



　野太い音をたてて刀が一閃した途端、

　突風が巻き起こり、ほこらめがけて叩きつけられた。



　「諦めの悪いあんたらの姿を見て、少し目が覚めたようだ。」



　浪人者は「おいしいところ」をさらい、

　僕たちは最後まで「あんたら」だった。



　ほこらから漂っていた妖気は、あとかたなく霧散してしまった。




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