げに、いと小家がちに、むつかしげなるわたりの、このもかのも、怪しくうちよろぼひて、むね〱しからぬ、軒のつまごとに、這ひまつはれたるを、
「くちをしの、花の契りや。一房折りて参れ」
と、の給へば、この、押しあげたる門に入りて折る。
さすがにされたる 鑓戸 口に、黄なる 生絹の単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる、出で来て、うちまねく。白き扇の、いたうこがしたる を、
「これに置きて、参らせよ。枝も情けなげなめる花を 」
とて、とらせたれば、門あけて惟光の朝臣出で来たるして、たてまつらす。
「くちをしの、花の契りや。一房折りて参れ」
と、の給へば、この、押しあげたる門に入りて折る。
さすがにされたる 鑓戸 口に、黄なる 生絹の単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる、出で来て、うちまねく。白き扇の、いたうこがしたる を、
「これに置きて、参らせよ。枝も情けなげなめる花を 」
とて、とらせたれば、門あけて惟光の朝臣出で来たるして、たてまつらす。
源氏物語「夕顔」の帖より
ドビュッシー「小さな羊飼い」
ピアノ演奏:柳沼和子
語りと構成:みさきすずか
見せて頂けて嬉しいです。
扇をあのように使われたのですね。
お声もよく通っていて素敵でした。
コメントありがとうございます。
すこし遠出をしていて遅くなりました。
扇のシーンが印象的だったと仰っていた方がいらしたので お留守番をさせておきました。
コメントを拝見して、Podcastのままだと見づらかったのだとわかりました。
すこしお待ちくださいね。