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グレーゾーン

2020-08-05 07:43:58 | 環境汚染

新型コロナ、なぜこんなに「無症状」が多いのか?

年齢、免疫系、遺伝子…原因の仮説はさまざま、感染抑える鍵にも

新型コロナウイルス感染症で厄介なのは、誰が感染を拡大させているのかが見えづらいことだ。

 土曜日の晩には「元気」だったので大勢の人と接したが、月曜日になって咳、熱、疲労感に襲われ、感染していたことに気がついた。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、そんなふうに症状が出る前の人がウイルスをうつすケースは、感染例のおよそ半数を占める。

 だが、さらに実態をつかみにくいのは、ウイルスに感染していても全く症状が出ない人のケースだ。CDCによれば、全米の感染例のうち、そうした無症状の感染者は4割に上るという。

 発症前(pre-symptomatic)に他人に感染させる人や、無症状(asymptomatic)の人がなぜこんなにも多いのか。知らない間に感染が広がるのは、インフルエンザやかぜなどのウイルスも同じだ。しかし、新型コロナウイルス感染症では極端に把握が難しく、したがってコントロールも難しい。

 問題の一つは、病状の現れ方がよくわかっていない点にある。高齢者のほか、肥満、喘息(ぜんそく)、糖尿病等の既往症を抱えている人の方が、重症になるケースが多いことは明らかになっている。しかし、感染しても重症化を免れる人についてはよくわかっていない。

 現在、無症状あるいは軽症になるメカニズムや、そうした人からどのように感染が拡大するかを予測するモデルについて、競うように研究が進められている。今のところ、遺伝的要因や年齢、免疫系における個人差が複合して、症状の重さを左右しているのではないかとの結果が出てきている。

無症状者を把握する難しさ

 無症状での感染拡大を調査しようにも、そうしたケースがどれくらいの頻度で起こっているのかを把握することが最大の難関となる。どこも調子が悪くない人は、そもそも検査に行くこともないだろう。

 中国やアイスランドのように広範な検査を行った場所でさえ、信頼性の高いデータは少ない。理由の一つは、検査を受けた人が後になって発症したかどうかを、十分な期間を設けて追跡する調査が行われていないためだ。7月22日に学術誌「Nature」に掲載された論文では、パンデミック発生当初の中国、武漢においては、発症前のウイルス保有者による感染を保健当局が知らなかったため、感染例の87%が見逃されていたと推測されている。

症状が全く出ない人による感染を調査することは困難なため、そのような人にどのくらいの感染力があるのかは不明瞭だ。CDCは、無症状者の感染力は症状があるケースの75%ほどではないかと推定している。これは、症状の有無や程度によって、体外に排出されるウイルスの量や感染力にどのような違いあるかについて調べた研究に基づいている。だが同時に、この数字について注意を促してもいる。いわゆる「ウイルス排出」の仕組み自体があまり解明されていないからだ。

 無症状の人はそもそもウイルスの量が少ないのかもしれない。あるいは、コウモリのような免疫系を持っているのかもしれない。「コウモリはウイルスを保有していますが、全く症状が表れません。特殊な免疫反応によってウイルスを抑え込んでいるようなのです」。米アイオワ大学教授で微生物学と免疫学が専門のスタンリー・パールマン氏はそう説明する。

 こうした説は、中国で最近行われた研究の解明に役立つかもしれない。6月18日付けで学術誌「Nature Medicine」に掲載された論文によれば、無症状の人は全般的に免疫反応が弱く、ウイルスと闘う武器である抗体をあまり作らないことが示唆されたという。

若さの背景にあるもの

 研究者たちはまた、どんな人が無症状や軽症になりやすいのかを調べている。英国の1730万件近い医療記録の分析によれば、新型コロナウイルス感染症は高齢者では死亡に至るリスクが高い一方で、若者の大半は重症化しない。

 重症化するかどうかについて「関連性が圧倒的に強い要素は年齢です」と、米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院感染症科の診療部長と医学部教授を兼務するポール・サックス氏は言う。

 しかしそれは、一般的に若者の方が健康であるという単純な理由からではない。新型コロナウイルスが細胞に感染する際の入り口となるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)というタンパク質を多く持っている人は、より高リスクなのではないかとの説がある。高齢者は全身や、ウイルスにさらされやすい鼻にACE2を若者より多く持っているのだ。また、肥満の人もACE2が多い。

 注目が集まっている説は他にもある。若者の方が一般的に呼吸器系のウイルスに感染することが多く、それが新型コロナウイルスに感染したときの危険度を下げているのではないかというものだ。「すでに複数種類のコロナウイルスに暴露されているため、新型コロナウイルスに対する部分的な防御態勢が出来ているわけです」とサックス氏は説明する。

 7月15日付けで学術誌「Nature」に掲載された、査読済みだが編集前の論文では、特定の種類のコロナウイルスに感染して回復した人は、新型コロナウイルスを撃退したり軽症に抑えたりできるような「メモリーT細胞」を保有しているのではないかと主張されている。

 あるいは、無症状の人は単に遺伝的に運が良いだけではないかと示唆する研究もある。特定のタイプのACE2遺伝子を持つ人は、新型コロナウイルスに感染しやすかったり、炎症を起こしやすいせいで肺にダメージを受けやすかったり、血管が収縮して症状が重くなりやすかったりする。イタリアとスペインで実施された調査の結果、特定の血液型の人は入院に至るリスクが高いとする報告も出された。しかし、それを否定する、より大規模な調査結果が、7月に入って複数発表されている。

「無症状」にもいろいろある?

 他の一般的な感染症でも、無症状のまま感染を拡大させることはありうる。だが、研究は重症患者に注目して行われることが普通であるため、無症状者が関わるケースは見落とされがちだ。

 こうした見えない感染の実態を把握するための調査が、2016年の秋から2018年の春にかけて米ニューヨーク市で行われていた。市内の複数箇所の214人を対象に毎週、かぜの原因となる従来型のコロナウイルスやインフルエンザウイルス等、18種類の呼吸器系ウイルスの検査を実施した。1年半の調査の結果、陽性のケースのうち、なんと55%が無症状であり、ほとんどのウイルスにおいて無症状感染の割合は70%を超えた。

 とはいえ、こうした無症状者の感染力について、特にインフルエンザ研究者の間では見解が分かれている。

「長年、議論されていることです」と話すのは、香港大学公衆衛生学院の教授で疫学・生物統計学分野を率いるベンジャミン・カウリング氏だ。「インフルエンザウイルスの潜伏期間は1、2日です。感染はすばやく起こり、多くの場合、症状は軽く済みます。患者の行動歴をたどって感染した経緯を調べようと思っても、大変難しいものです」

 新型コロナウイルスの感染経路を突き止めることは容易ではないが、カウリング氏が言うには、最長で約2週間という長い潜伏期間のおかげで、接触者を追跡したり無症状感染者を特定したりするチャンスは増える。ただし、ここで注目すべきことがある。感染していることを告げられると、そう言えば全く症状がなかったわけではない、と考え直す人がいることだ。

「症状について聞かれて初めて、体調が良くなかったことを思い出すのです」とカウリング氏は述べる。「喉がイガイガする、頭痛があるなどの軽い症状や、調子が悪いものの、感染による症状なのか寝不足のせいなのかよくわからない、というグレーゾーンがあるのです」

新型コロナウイルス感染症の症状とされるものは日々増えつつあるので、何がそれに当たるのかについて混乱があるのも無理はない。現在では、味覚や嗅覚の喪失、足の指が紫色になるほか、吐き気や下痢など消化器系の症状なども、典型的な症状の中に含まれている。6月18日付けで学術誌「Nature Medicine」に発表された論文によれば、明確な症状がない人でも肺にダメージを受けていることがあるという。

 つまり、これまで完全に無症状と思われてきたケースは、あまりに症状が軽いために、本人も感染を疑わなかっただけかもしれない。「なんとなく調子が悪いけれど、まさか新型コロナのせいだとは思わないような症状です」。米テキサス大学オースティン校で感染症のモデルを研究する統合生物学の教授、ローレン・アンセル・マイヤーズ氏はそう話す。

 こうしたグレーゾーンについての知見を深めることが、ウイルスの感染拡大を抑える鍵になるかもしれない。

「軽い症状にどんなものが多いのかがわかれば、感染者を迅速に特定し、隔離することができるようになるでしょう」とマイヤーズ氏は言う。「完全に無症状というケースが思ったよりも少ないのであれば、今後の道筋や活動制限の緩和方針に大きな影響を及ぼすかもしれません」


感染者狩り

2020-08-05 07:29:36 | 日記

浜松コロナ【感染者狩り】被害者の告白「人殺し扱いされ、外を歩くのも人に会うの怖い」

全国で感染拡大が広がる新型コロナウィルス。7月29日に初めて感染者が確認された岩手県では、感染した40代男性に対してインターネット上で誹謗中傷やデマ憶測などの書き込みが相次ぎ、県でも対策を講じ始めた。達増拓也県知事は31日、「犯罪にあたる場合もある。厳格に臨む意味で(中傷に対して)鬼になる必要がある」と強調している。

コロナ感染者をまるで“魔女狩り”のように吊し上げるケースは岩手だけではない。7月下旬、2つの店舗でクラスターが発生した静岡県浜松市では、クラスター発生が確認された飲食店2店舗と、陽性反応が確認された男性客・Aさんに対し、いわれなきバッシングが続いている。

《コイツが撒き散らしたらしい》

 7月23日、浜松市は飲食店2店舗でのクラスター発生を確認。男女複数人が新型コロナウィルスに感染したことが確認された。濃厚接触者である来店客や従業員160人に対し、市はPCR検査を始めたことを発表。店名も公表された。

 すると同日、浜松市民の間にはLINEやSNSを介して感染者を特定するような情報が一気に拡散し始めた。市内在住の30代主婦に聞いた。

「同級生の友達やママ友など、複数のグループLINEで、《コイツが撒き散らしたらしい》といったメッセージが飛び交って、その日は通知音が鳴り止まなかった。感染者を出したラウンジ『X』やマジックバー『Y』の情報、店のママのSNS、立ち回り先などの情報も回ってきました。『X』や『Y』のお客で、感染が早くに確認された経営者のAさんについては顔写真、会社名、出身高校、出身中学、親や子供のことも書かれていました」

 Aさんは30代で、市の中心部からは少し離れた場所で不動産会社を営む地元出身の若手経営者だ。

Aさんも「県内で誰かからうつされた」

「不動産屋の仕事柄、どうしても営業や接待の仕事で夜の店を使うことが多かったそうです。Aさんは7月中旬に『X』と『Y』の両店舗を利用。結果、取引先の相手にも感染させてしまった。感染が広がったことで、やっと活気が戻ってきた浜松の夜の街は大ダメージ。Aさんへの誹謗中傷はどんどん酷くなっていき、デマも広がっていった」(地元紙記者)

《Aは東京に遊びに行ってコロナをもらってきたらしい》

《Aはコロナとわかっていて、周りに酒を勧めたらしい》

 飛び交う噂話のほとんどがデマだ。Aさんの友人が事情を説明する。

「Aは3月末に東京に仕事に行っていますが、それ以来、行ってませんし、最近は県外への移動もしていない。つまりAも県内で誰かからうつされたわけです。『X』を利用した日は、別の飲食店で体温を計っているのですが、36度台の平熱で、体調が悪くなったのは『X』を利用した翌日、外出先でのことだった。それでも医者は最初、風邪と診断して、後日もう一度受診して、念のために検査をしたら、まさかの陽性だったのです」

 Aさんは驚きのあまり、対応を誤ってしまった。「(取引先などの)相手に迷惑をかけたくない」という思いから、保健所の聞き取りに対して「X」や「Y」の店名を伏せたのだ。結果、保健所が両店舗に検査に入るのが遅れることとなった。これがのちに発覚し、誹謗中傷の火に油を注ぐ結果となった。

「コロナで損失した分を立て替えろ」電話が日に30件

「Aのもとには連日、日に30件以上の無言電話や嫌がらせの電話がかけられています。『コロナで損失した分を立て替えろ』とか『税金でPCR検査が行われるから全てオマエが払え』とか。ですが、AがPCR検査を受けていなければ、被害はもっと広がっていたわけですから、Aを責めるのは筋違いだと思うのですが……」(同前)

 8月1日までに「X」や「Y」関連での感染者数は約100名に上る。誹謗中傷の声はAさんだけでなく、店舗にも波及している。「X」のママを務める経営者はこう話す。

「店を潰してやる」「人殺し!」

「知り合いの方は心配してくださるのですが、面識のない方から厳しい言葉を浴びせられます。『もしうちの家族に何かあったら店を潰してやる』とか『人殺し!』とか、脅迫めいた電話がお店にかかってくる。検査で陰性だったアルバイトの従業員も昼の職場を不当に解雇されました。私をはじめ、スタッフや家族の写真がSNSで拡散され、Aさんと同じようにデマが拡散されています。私が東京にホスト遊びに行ったから感染したとか……。コロナより人の怖さを感じています。我々の感染対策は甘かったのかもしれません。ですが、それは緊急事態宣言が解除されて以降の浜松の街全体に言えることだと思います」

「文春オンライン」特集班は6月に別件の取材で浜松市を訪ねたが、たしかに繁華街では多くの人がマスクを外し、至るところの店で酒宴が開かれ、街はコロナ禍以前の生活様式に戻っているようだった。だが、今回のクラスター発生が公表されて以降、ふたたび夜の街には閑古鳥が鳴くようになった。

野次馬がAさんの会社の写真を撮影しにくる

 一時は入院していたAさんだが、体調は回復し、すでに退院している。だが、今も外出できずにいるという。会社の扉は閉められ、明かりは消えている。近隣住民の証言。

「たまに(Aさんの)会社の前に車を停めては指さしたり、野次馬が(会社の)写真を撮ったり、心ない人がいるんです。私も近所に住んでいるだけなのに、コロナ患者の扱いをうけて、他の町内の人から『うつりたくないから近寄らないで』って言われたこともありました」

 電話で取材を申し込むと、Aさんは怯えた様子を見せながらも心境を吐露した。

「最近励ましのメールもいただけて何とかやっていけていますが、今もコロナのことを考えると胸が苦しくなります。外を歩くのも人に会うのも怖いです」

Aさんはネットに謝罪文を掲載した

 7月31日、Aさんは会社のホームページに《お詫び》と題し、長々とした謝罪文を掲載した。

《〇〇不動産のAと申します。この度は、私が新型コロナウイルスに感染してしまいご心配、ご迷惑をお掛けしてしまった方々、感染させてしまった方々、浜松市の多くの飲食店関係者の皆様、医療関係者の皆様、不安な日々を送らせてしまっております浜松市民の皆様、その他全ての皆様、この度は誠に申し訳ございませんでした。 心よりお詫び申し上げます。(略)浅はかで自分勝手な判断をしてしまいました。その結果、数多くの方々に、取返しのつかない多大なるご迷惑をお掛けしてしまいました。この度は誠に申し訳ございませんでした》

 地元記者が故郷の現状を深く憂う。

「こんなの間違っています。コロナに罹ってしまったことを責めるべきではなく、むしろ積極的に検査を受けたAさんの勇気をたたえるべきでしょう。浜松には『やらまいか』という方言が息づいています。『やりましょう』『やろうじゃないか』というチャレンジ精神にあふれた浜松を象徴する言葉なんです。今こそ、この浜松の力を見せるべきときなのに……」

 海、山、川、湖に囲まれた、自然豊かでのどかな鰻の名産地が戦々恐々とした空気に覆われている。

ひどい話ですね。罹りたくてかかったわけじゃないのに・・・・・この状況はだれでもかかってしまうか、健康保菌者がいるのも事実かも

防ぎ様がないと思います。高齢の家族がいる人は帰郷もできないですし、もし自分が罹っていたら・・・・・早く特効薬ができれば