アジア映画巡礼

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ムンバイあれこれ(下)

2023-03-13 | インド映画

ムンバイでは、やっと最後に1本映画を見られました。3月8日公開のヒンディー語映画『Tu Jhoothi Main Makkar(君はウソつき、僕はペテン師)』です。出発前にブログにも書いたように、ソング&ダンスシーンがなかなかよくて、期待していた作品です。主演は、ランビール・カプールとシュラッダー・カプール。同じ姓ですが姻戚関係はまったくなく、しかもこれが初共演とか。どちらもここ10年ぐらい青春映画の代表的スターとして活躍してきたのに、誰もペアリングを考えなかったのですね。というわけで、初のケミストリーを期待していそいそと見に行ったのでした。

Tu Jhoothi Main Makkaar Title Card.jpeg

物語は、「別れさせ屋」というか、恋人同士の片方から依頼されて、仲をさくお膳立てをする男ミッキーことローハン・アローラー(ランビール・カプール)が作戦を指示しているシーンから始まります。手先となっているのは、親友のマヌ・ダバース(アヌバウ・シン・バッシー)と、金で雇われた占い師やレストランのボーイなどなど。今回は、相手の女性に対して自信のない男からの依頼だったのですが、かえってそれがうまくいってハッピーエンドに。ミッキーの懐には何万ルピー(多分)というお金がころがりこみ、雇った人たちに数千ルピーずつ支払っても懐は豊かに。とは言っても、ミッキーはお金持ちの実業家ラメーシュ・アローラー(ボニー・カプール)の息子で、お金にはまったく不自由してない男でした。ミッキーの家は家族同士が仲がよく、母レーヌ(ディンパル・カパーディヤー)が一家を仕切り、祖母と姉夫婦に姪のスウィートゥ、時にはマヌも転がり込んで、毎日賑やかに暮らしていました。

そんな時、マヌが結婚することになり、独身旅行と称してミッキーとスペインに行くことに。マヌの婚約者キンチーも一緒に行くのですが、キンチーには親友のティニーこと、ニシャー・マルホートラーが同道します。スペインで過ごすうち、ミッキーはティニーに惚れてしまい、ティニーも彼を受け入れ、帰国後互いの家族に紹介することに。ティニーの父はミッキーの父に輪を掛けた大実業家で、話を聞いたミッキーの母はすぐさま2人の相性をお坊さんに占ってもらい、相性抜群と知って、もうすっかり2人は結婚するものと両家は考えるようになります。しかし、ティニーには一抹の不安がありました。ミッキーの家族があまりにも仲がよすぎ、自分たちだけの生活が保てないのでは、と思ったのです。ティニーは噂に聞く「別れさせ屋」に依頼し、自分たちの仲を壊してもらおうとしますが、その「別れさせ屋」がミッキー自身とはつゆ知らず....。

すべてがゴージャスな作品で、超セレブな2家がこれでもか、のゴージャスな衣装に身を包み、豪邸で夢のような生活ぶりを見せてくれます。ミッキーのお父さんは、自分で料理を作ったりするきさくな人なのですが、お仕事をする姿はとんと見られず、何だか前世紀のボリウッド映画を見ているようです。ティニーも自分のキャリアが大切で、結婚より仕事を選ぼうとするシーンが出てきたりするものの、これまた何の仕事やらリアリティがまったくありません。でも、そんな細かい点は置いておいて、主人公2人の駆け引きを楽しみ、ユーモラスなやり取りに笑う映画、という位置づけで作られたようです。それにしても何だか、いろんな作品のいいとこどりして作り上げたようなデジャブ感も満載で、「別れさせ屋」のシーンは『たとえ明日が来なくても』(2003)のシャー・ルク・カーンがサイフ・アリー・カーンに指示を送ってプリーティー・ジンターとくっつけようとするシーン、スペイン旅行はもちろん『人生は二度とない』のシーン...というわけで、ソング&ダンスシーン以外は目新しさもあまりない作品でした。でも、映画評は結構好意的で、早くも10億ルピーをクリアするヒットになっています。この作品の監督ラヴ・ランジャンは、ヒットした前作『SKTKS~お見合い大作戦~』(2018)も私は良さが全然わからなかったことから、どうも相性が悪いようです。この前作に出ていたカールティク・アリャーンが本作ではカメオ出演していて、なかなか魅力的です。前にご紹介した以外の歌のシーンを2つ付けておきます。

Maine Pi Rakhi Hai (Song) Tu Jhoothi Main Makkaar: Ranbir Shraddha Pritam Shreya G Divya K Amitabh B

 

Tere Pyaar Mein (Song) Tu Jhoothi Main Makkaar| Ranbir, Shraddha| Pritam| Arijit, Nikhita | Amitabh

 

というわけで映画もあまり収穫がなかった今度の旅行ですが、ポスター屋さんもきれいさっぱり消え失せていました。コロナ禍前は、それでもまだヒマーンシュ・ガーンディーさんが店をやっていたのですが、今回そのあたりにいる人に聞いてみると、「もう店をたたんで、故郷のグジャラートに帰っちゃったよ」とのこと。もう1人、2017年ぐらいまでガーンディーさんと競っていたマンシーさんは、ガーンディーさんより2年ほど先に脚を洗ってしまったし、こうなると手に入れる方法はないかも。そう思いながらなおもしつこく聞き回ってみると、あそこに行ってみれば、と教えてくれる人がいて、ある小さな事務所を訪ねたところ、「手に入れてやってもいいよ」というおじさんが。ただ、在庫を確認して手に入れるまでは2、3日かかるとのことで、帰国前日だったことからあきらめました。まあ、もうインド映画講座もなくなったので、手に入れる必要性も減ったことから引き下がってきたのですが、そんな中で「『RRR』の大判のならあるぞ。値段は1000ルピーだ」という老人が現れたり、だんだんと怪しさが増すことになった、今回のポスター屋さん探しでした。

今回は4年間の空白を埋める旅、ということにして、また来年出直そうと思っています。いつもポスター屋さんに来るのに目印にしていたドリームランドという映画館も閉鎖され、私が行った時にはすっかり建物も壊されていました。嬉しかったのは、その少し先の曲がり角に出ているパコーラー(野菜天ぷら)の屋台がまだあったこと。多分同じ持ち主の人だと思うのですが、数年前に空腹に耐えかねてここでつまんだ天ぷらが大変おいしかったのです。というわけで、今回もお腹がペコペコだったことから、上のお店で「唐辛子天と芋天!」と言ってお皿に入れてもらいました。唐辛子は大きなやつであまり辛くなく、芋天はジャガイモをスライスして衣を付けてあげただけなんですが、熱々で本当においしかった!

これで30ルピー。そしてチャトニーがこれまた超おいしくて、この芋の山をあっという間に半分くらい食べてしまいました。ポスター買わなくても、このパコーラーを食べにまた行きたい、グラントロードの小路でした。

 


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