3月に飛行機の中で見てジーンと来た韓国映画『ワンドゥギ』。今度は日本語字幕で見て、またまた感動を新たにしました。間もなく公開です。まず、基本的な情報をどうぞ。
『ワンドゥギ』 公式サイト
©2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
2011年/韓国/108分/カラー/シネマスコープ
監督:イ・ハン(『永遠の片思い』2002、『青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~』2006、など)
原作:キム・リョリョン
出演:ユ・アイン、キム・ユンソク、パク・スヨン、イ・ジャスミン、キム・サンホ
配給:CJ Entertainment Japan
※4月28日(土)より 新宿武蔵野館にてロードショー公開
ワンドゥク(ユ・アイン)はソウルの高校生。体に障害があっても巧みなステップでキャバレーの舞台に立つ父(パク・スヨン)と、いつの間にか父に弟子入りし、家に同居することになった”叔父”ミング(キム・ヨンジェ)との3人暮らし。キャバレーが潰れ、地方で営業することになった父とミングは、屋根部屋にワンドゥクを残して旅に出ます。
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そのワンドゥクを見守ってくれる、というか、何かにつけて彼にちょっかいを出してくるのは、高校のグータラ教師ドンジュ(キム・ユンソク)。道を隔てた向かいの建物の屋根部屋に住んでいることもあって、ドンジュはしょっちゅう「ワンドゥギ!」と呼ばわり、近所の親父(キム・サンホ)からは「うるさい!」と怒鳴られてばかりいます。学校でも、「貧困学生への支援食料は持って帰ったか?」とチェックし、しぶしぶ支給を受けたワンドゥクが家に持って帰ると、その上前をはねたりする始末。ほとほと嫌気がさしたワンドゥクは、近所の教会で神様に、「どーか、くそドンジュを殺して下さい」と祈るまでに。
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その教会には、ソウルの下町で暮らす様々な外国人が集まっていました。いつもいるのはインド人の中年男で、ワンドゥクに単語を間違えて「姉妹よ」と呼びかけたりします。そんな不法滞在らしい外国人労働者を支援しているのは、どうやらドンジュのようでした。そしてある時ドンジュはワンドゥクに、「お母さんと会うか?」と言い出します。ワンドゥクはこれまで一度も母親に会ったことがなく、どんな人なのか、どこにいるのかも知らなかったのでした......。
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ちょっとネタバレになりますが(もう前の記事に書いちゃったから許して下さいね)、ワンドゥクがフィリピン人のお母さん(イ・ジャスミン)と会うエピソードがとってもいいのです。最初、トンデモ教師が主人公のドタバタコメディ映画か、と思って見始めたら、ワンドゥクの成長の過程がきっちりと描き込まれ、それに教師ドンジュ始め父や母、叔父、近所の人々が深く関わって暖かい人間関係を築き上げていく、という感動の物語になっています。人間関係のオマケとして、ワンドゥクと同級生ユナ(カン・ビョル)との恋、さらにドンジュと近所の親父の妹(パク・ヒョジュ)との恋まで盛り込まれていて、サービス精神も旺盛です。
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この素敵な映画の核になっているのが、主人公ワンドゥクを演じるユ・アイン。『アンティーク~西洋骨董菓子店』 (2008)では、チュ・ジフンやキム・ジェウクという個性の強いお兄様方に囲まれていたのでほんの脇役という感じでしたが、『ワンドゥギ』ではしっかりと主役を張っています。ドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」(2010)の時よりも一段と表情も引き締まり、演技の豊かさやセリフ回しの上手さに思わず引き込まれる場面も。これからがと~っても楽しみな俳優さんですね。ぜひ映画館で見て、ユ・アインの演技に思いっきり泣いて下さい!
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「トキメキ☆成均館スキャンダル」といえば、今回、『ワンドゥギ』に続いて公開されるのが、成均館4人組のもう1人を演じたソン・ジュンギ主演の『ちりも積もればロマンス』 (2011)。キム・ジョンファン監督、ハン・イェスル共演のこちらの作品は5月12日(土)から新宿武蔵野館でロードショー公開、公式サイトはこちらです。「トキメキ☆花実男(コミナム)パラダイス」と銘打たれた2作連続ロードショー、『ちりも積もればロマンス』のソン・ジュンギもお見逃しなく!