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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

インド映画またまた製作本数記録更新

2012-04-19 | インド映画

前にも書いたように、インド映画の製作本数情報を手に入れるのは、毎年のことながら大変です。今年も、やっとその情報が載った雑誌が届きました。3月にチェンナイで南インド映画商業会議所を訪問し、そこの月刊機関誌に製作本数一覧が掲載されたら、私の所まで送ってくれるようお願いしておいたのです。昨年は5月号掲載でしたが、今年は4月号でした。

南インド映画商業会議所は、毎年訪問しているので事務局の方とも顔なじみなのですが、毎回下のような切手を適当に貼った封筒を置いてくることにしています(中央の私の住所は目隠ししてあります)。これならあまりお手間もかけませんし、事務局に金銭的負担をお願いしなくても済みます。今回貼った送料は100ルピー(170円)。機関誌自体は毎号10ルピー(17円)で、これまでは律儀にお支払いしていたのですが、昨年ぐらいから「あ~、雑誌代はいいわよ」と言われるようになりました。すみません、ご厚意に甘えてます。

今回届いた4月号によると、2011年のインド映画の製作本数は1,347本。おお、またまた記録更新です。これまでの最高は2008年の1,321本でしたから、26本増加したことになります。その言語別内訳は以下の通り。

<2011年インド映画言語別製作本数>

   テルグ語(Telugu)・・・・・・・・・・・・・・・224本
  タミル語(Tamil)・・・・・・・・・・・・・・・・・220本
  ヒンディー語(Hindi)・・・・・・・・・・・・・・211本
  カンナダ語(Kannada)・・・・・・・・・・・136本
  ベンガル語(Bengali)・・・・・・・・・・・・122本
  マラヤーラム語(Malayalam)・・・・111本
  マラーティー語(Marathi)・・・・・・・・・107本
  ボージプリー語(Bhojpuri)・・・・・・・・・74本
  グジャラーティー語(Gujarati)・・・・・・59本
  オリヤー語(Oriya)・・・・・・・・・・・・・・・・・38本
  英語(English)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17本
  (他の言語は1桁の製作本数で、合計23言語)

                   総数   1347本
 
<出典>”Journal of the Film Chamber”2012.4, The South Indian Film Chamber of Commerce.

ここ5年を見ると、製作本数トップの言語は、テルグ語(2006)→ヒンディー語(2007)→テルグ語(2008)→ヒンディー語(2009)→タミル語(2010)と目まぐるしく入れ替わっています。当分の間、この3言語がトップ争いを続けるのでしょうねー。

なお、インド映画の場合、製作本数というのは中央映画検定局の検定を通過した本数です。検定は全国9カ所、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、ベンガルール、ティルヴァナンタプラム、ハイダラーバード、ニューデリー、カタック、ゴウハティで行われていて、どこで検定を受けてもいいことになっています。また、言語を変えた吹替版が作られるとその都度検定を受けねばならず、吹替版ごとに製作本数が増える仕組みになっています。ですので、間もなく公開の『ロボット』 (2010)などは、オリジナルのタミル語版に加えて、ヒンディー語版、テルグ語版それぞれが検定を受けているため、製作本数としては3本と数えられるわけですね。

これを、「製作本数を無意味に増やしているだけ。ずるい」と見る向きもあるようですが、言語=音声が変われば別の映画、というのも1つの基準として成り立ちます。言語が変わると検定を再び受ける必要がある、というのはしごく当たり前で、同じ映画だからということで1回の検定で済ませると、タミル語版はまともな内容だったのに、ヒンディー語版はめちゃくちゃな内容(政治的に問題があるセリフてんこ盛りとか、18禁の内容を盛り込んだセリフが満載とか)になってしまう可能性もあるわけです。

ところで、吹替版が占める割合はどのくらいなのでしょうか? 正確には数字は出ていませんが、前述の機関誌の3月号に、南インド4都市で検定を通った映画のうち、吹替版がどのくらいあるか、というリストが掲載されています。(南インド以外で検定を受けている映画は入っていないため、左右の合計数と上の表の言語別製作本数とは一致しません)

 <南インド地域で検定を通過した言語別本数の内訳>

                  言語そのまま/吹き替えられたもの
  テルグ語(Telugu)・・・・・・・・・・・・・142本/ 70本
  タミル語(Tamil)・・・・・・・・・・・・・・・177本/ 28本
  マラヤーラム語(Malayalam)・・100本/   8本
  カンナダ語(Kannada)・・・・・・・・・136本/   0本
  ヒンディー語(Hindi)・・・・・・・・・・・・・・4本/ 37本

 <出典>”Journal of the Film Chamber”2012.3, The South Indian Film Chamber of Commerce.

 これから類推すると、吹替版は検定を通った数の1割強、というところでしょうか。というわけで、検定通過本数の1割引の数が、純製作本数と考えてもいいかも知れません。その計算でもインド映画の製作本数は約1,200本。いずれにしてもすごいです~。

ところで、今念のため中央映画検定局のサイトもチェックしてみたら、珍しく今年は年間報告が早めにアップされていました。こちらが報告書です。それによると、2011年の年間製作本数=検定通過本数は1,255本。う~む、いつも前述の機関誌での数と検定局報告書の数とが食い違うのですが、今年はやけに差が大きいですねー。ま、多い方を取っておきましょう(笑)。

インド映画産業界の場合、食い違いはいろいろあって、2011年の興行収入トップ作品も、サルマーン・カーン主演の『ボディーガード』とする報告もあれば、シャー・ルク・カーン主演の『ラー・ワン』だとするレポートも。どっちでもいいから、「インド映画興収ナンバーワン!」とうたって日本公開してくれませんかね~。

 

 


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