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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

秋の二重丸オススメ韓国映画<その1>『尚衣院-サンイウォン-』

2015-11-04 | 韓国映画

TIFFが終わってやっと一息、これまで見られなかった作品の試写等にせっせと出かけています。また、宣伝会社から提供していただいたDVDもせっせと見ているのですが、そんな中に素晴らしい韓国映画が3本ありましたので、続けてご紹介したいと思います。第1弾は、今週末から公開される時代劇『尚衣院-サンイウォン-』。まずは、基本データからどうぞ。 

『尚衣院-サンイウォン-』 公式サイト

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

2014年/韓国/127分/原題:상의원 

 監督:イ・ウォンソク
 主演:ハン・ソッキュ、コ・ス、パク・シネ、ユ・ヨンソク
 配給:クロックワークス
 宣伝:ポイント・セット

※11月7日(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー

 © 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

舞台となるのは、朝鮮王朝の時代に宮廷の衣服や装飾品、インテリアなどの制作を担った部署「尚衣院(サンイウォン)」。現在そこを取り仕切るのは、御針長と呼ばれているチョ・ドルソク(ハン・ソッキュ)で、若き王(ユ・ヨンソク)の信頼も厚く、間もなく両班(ヤンバン)の地位が与えられることが決まっていました。その頃巷では、妓楼を根城に新趣向の衣服を作ってみせる若い仕立師イ・ゴンジン(コ・ス)が人々の噂に。親しい官吏(マ・ドンソク)の頼みで、官服の邪魔な袖を切って行動しやすくしてやったり、個性的な官服を作ってやったりしているうちに、その噂はドルソクの耳にも届きます。

そんな時、王妃(パク・シネ)のそば仕えが誤って王の衣装を燃やしてしまう事故が起き、その衣装の修復のためにゴンジンは尚衣院に呼ばれます。短時間で見事に衣装を直したゴンジンは、その後王の狩衣や王妃の衣装などを次々と作っていくことに。ドルソクは彼の才能やデザイン画を描くという手法に感嘆すると共に、嫉妬にもかられますが、ゴンジンは「刺繍なら御針長のあなたが一番だ」とドルソクから学ぶ姿勢を見せます。一時は打ち解けるかに見えた2人でしたが、王宮の複雑な事情がやがて2人を引き裂いて行き....。

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

まず目を奪われるのは、尚衣院の見事なセットと登場するきらびやかな衣装の数々。上の写真のように色とりどりの絹糸が並ぶ棚や、20人ほどのお針子が作業をする沈下式の部屋、そして染め物を行う庭など、観客を朝鮮王朝宮廷工房のまっただ中に放り込んでくれるかのようなセットが何とも魅力的です。さらに目を奪うのが、そこに登場する王妃の衣装の素晴らしさ。品があり、かつ斬新なそれは、ゴンジンが当時の三宅一生か高田賢三か、という存在であったことを十分に納得させてくれます。

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

超絶デザインの一つが上写真の王妃の衣装で、ルイ王朝時代の宮廷服かと思うような膨らんだチマに、ボディフィットしたタンウィ(唐衣)チョゴリという、とても現代的な感覚のドレスです。

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

また、ドルソクとゴンジンとの競い合いの裏で進行するもう一つの重要なストーリーは、若き王と王妃との間に横たわる溝のお話。実は、兄王が死去したあとを継いで王位に就いた若き王は、幼い頃から皇太子である兄にいつも虐げられてきた上、現在の王妃も、兄が「そろそろ弟も身を固める頃だ。私の花嫁候補から1人を選んでめあわせましょう」といわば下賜した妻であったことから、そのわだかまりが残ってずっと夫婦関係が結べないでいたのでした。

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

上写真のゴンジンの作った衣装をまとう王妃の美しさ、気高さに一度はほぐれた王の心でしたが、王妃とゴンジンの間を誤解し、さらに仲はこじれることに。このあたりのストーリーの膨らませ方も非常にうまく、重厚さと軽妙さをバランスよく配した演出も含めて、イ・ウォンソク監督、とても2作目とは思えない腕の冴えです。

© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

そして、その演出を支えているのが、各俳優の見事な演技力。中でも目を見張らせてくれるのは、時代劇初体験というコ・スのハマリ役ぶりで、これまでの作品では見せたことのない魅力とオーラが輝いています。王妃役のパク・シネも表情を含めた演技が見事で、2人が密室で採寸を行うシーンは、緊迫感とエロティシズムが支配する名場面となっています。


© 2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.

いつもながらうまいハン・ソッキュは言わずもがな。本作では、たたき上げのお針子から両班にまで出世する男の器の小ささをうまく見せ、コ・スの存在感を引き立てています。

衣装だけでも約1億円かかったという本作。実に見応えがありますので、大画面でぜひどうぞ。映画の魅力の一端がわかる、主題歌のミュージックビデオを付けておきます。

映画「尚衣院」主題歌「風よ吹け」ミュージックビデオ公開

 


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2 コメント

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二度目の韓流マイブーム♪ (Jaan)
2015-11-06 23:03:15
cinetamaさん、こんにちは。
素敵な映画をご紹介いただき、ありがとうございます♪

今、韓流ドラマにはまっていまして、最近観た「となりのイケメン」でパク・シネちゃんを知り、それから気になっている女優さんの一人です。
このブログを観て、即、「この映画観たい!!!」と思いました。
美しいパク・シネちゃんだけでなく、衣装や音楽も素晴らしい~☆
cinetamaさんがupしてくれたMVを観て、切ない感じの曲に、涙がでました(T_T)

今日、「マルガリータで乾杯を!」観に行きまして、シネスイッチ銀座に「尚衣院」のチラシがあったので、もらってきました♪
TUFS Cinemaのチラシもあったので、そちらももらってきましたよ(^_^)/

以前、cinetamaさんがご紹介されていた「最愛の子」が予告編で流れていて、予告編だけで、かなり引き込まれていました。

気になる映画盛りだくさん♪
この秋冬は、映画で楽しめそうですヽ(^。^)ノ
返信する
Jaan様 (cinetama)
2015-11-06 23:29:24
コメント、ありがとうございました。

『尚衣院』、ぜひ見て下さいね。
私自身、コ・スに転びそうになりました(いかん! ジョンジェ様がいるというのに)。
あとの2作もすごく面白い作品をご紹介しますので、お楽しみに~。

『マルガリータ』私も先日シネスイッチに見に行きまして、今記事を書いています。
「ドゥソクテ」の歌が仕上がらなくてちょっと遅れていますが、そのうちにアップしますのでしばしお待ち下さい。
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