アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

第31回東京国際映画祭:私のDAY5

2018-10-31 | アジア映画全般

昨日は、別の仕事のため六本木に出勤できず、本日TIFF参加を再開。今日は楽しみにしている香港映画『プロジェクト・グーテンベルク』の上映があり、いそいそと会場であるEXシアター六本木にやってきました。会場には、顔なじみの香港映画ファンがいっぱい。長く香港に住んで働いていたAさん、私が昔広東語を教わっていたA先生、そしてレスリーファンのWさんなどなど、懐かしいお顔が見えました。そして映画の主演は周潤發(チョウ・ユンファ)と郭富城(アーロン・クォック)という超大物。まるで20年前にワープしたかのような上映でした。

『プロジェクト・グーテンベルク』
2018/香港/130分/広東語/原題:無雙/英題:Project Gutenberg
 監督:フェリックス・チョン(莊文強)
 キャスト:チョウ・ユンファ(周潤發)、アーロン・クォック(郭富城)、チャン・チンチュー(張静初)

 

© 2018 Bona Entertainment Company Limited

トップシーンはタイの刑務所から。収監されている香港人の李問(レイ・マン/アーロン・クォック)は元は画家で、絵画の贋作作りに手を染め、さらには偽札作りのグループに取り込まれた男。香港でいろいろ事件を起こし、タイに逃れていたのですが、逮捕されて服役中でした。そんな李を香港の女性警官(周家)らが香港に移送します。事件の全容を解明するため厳しい追及が連日行われますが、李は「俺がここにいることがわかると、”画家”が殺しにやってくる。あんたたち全員が犠牲になるなんて耐えられない」と泣き出すなど、どうやら一味のリーダーである”画家”(チョウ・ユンファ)を極端に怖がっている様子。女性警官らは”画家”こそが鍵を握る人物と見て、その所在を突き止めようと、李に過去にさかのぼってすべてを話すよう促します。李が過去に同棲していた有名女性画家阮文(ロアン・マン/チャン・チンチュー)も巻き込んで、李の話が始まりますが...。

Project Gutenberg film poster.jpg

香港ではついこの間公開されたばかりのようです。130分という大作で、アクションの見せ場もあり、息詰まる偽札製造の現場もあり、と、とても力の入った作品でした。最後にどんでん返しがあるのですが、意表をつくもので、もう一度最初から巻き戻して!と言いたくなるほど。チョウ・ユンファがびしっとしまった体で出演し、アーロンもとても53歳には見えない若々しさで熱演、見応えがありました。もう一度つぶさに見たいので、ぜひ日本で公開してほしいです。 

『リスペクト』
2017/フィリピン/98分/タガログ語/原題:Respeto/英題:Respeto
 監督:トレブ・モンテラスII
 キャスト:アブラ、ディド・デ・ラ・パス、ルーニー


マニラの下町で、ラップに明け暮れる青年たちを描いた作品。主人公ヘンドリックス(上写真中央)は姉とその恋人と一緒に住み、恋人が手がける麻薬密売の運び屋をやっています。いつも友人二人とつるんでいて、クラブでのラップ合戦に出るのが夢でした。ある時クラブに潜り込んでラップ合戦に出てみたものの、自分の未熟さを思い知らされて追い出されます。そんなヘンドリックスたちは、町内でドク(ディド・デ・ラ・パス)という老人が営む古本屋に行っては、ラップの歌詞になりそうな言葉を探すのが常でした。年老いたドクは、息子から家の権利を譲り渡すよう迫られています。息子はこの古い家を始末してしまおうと考えていたのでした。この下町一帯を取り壊そうと考えているのはドクの息子ばかりでなく、政府の考えもそうで、時として町の人々と警官隊が対峙することに。町の人々はクソ爆弾やションベン爆弾を作って対抗しますが、じりじりと追い詰められていきます....。

Respeto Poster

冒頭のラップはいまいち乗れなかったのですが、その後次々と迫力あるラップが登場、特にヘンドリックスが負かされる女性ラッパーは迫力抜群。字幕に出すラップの歌詞訳は大変だったと思いますが、リズムに合っていて楽しめました。ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅運動を背景に、貧困層と権力がぶつかる筋立てはフィリピン映画で最近よく見かけますが、本作もその路線上にあり、最後に悲劇的な結末が待っています。フィリピン映画は4本も上映されたのになかなか見る機会がなく、これがやっと1本目でした。明日は何とか、巨匠3人-ブリランテ・メンドーサ、キドラット・タヒミック、ラヴ・ディアス監督によるオムニバス映画『それぞれの道のり』を見たいと思っていますが、さて。



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