アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

インド映画♪脇役賛歌<その3>『命ある限り』

2013-05-06 | インド映画

『命ある限り』は、主役の3人、シャー・ルク・カーンとカトリーナ・カイフとアヌシュカ・シャルマの印象が強すぎて、脇役って誰かいたっけ? と一瞬考えてしまいました。いやいや、いました、こんな人たちが。カトリーナ・カイフ演じるミラの父親、別れた母親プージャ、それから母親の再婚相手イムランに、あと女医のカーン先生。では、と調べ始めたら、カーン先生を演じていたのはあの女優だった! とわかってびっくり仰天。年月は人を変えますねー。

<C>2012 YASH RAJ FILMS PVT. LTD.

ミラの父:アヌパム・ケール Aupam Kher

Photo by R. T. Chawla

1955年3月7日、北インドの避暑地シムラの生まれ。ヒマーチャル・プラデーシュ州大学在学中に演劇活動を始める。1982年ヒンディー語映画『到来[Aagaman]』で映画俳優としてデビュー。1984年に主演した『命ふたたび[Saaransh]』で、息子を亡くした老夫婦をローヒニー・ハッタンガリーと共に演じ、その演技力を高く評価された。『命ふたたび』は、日本でもテレビ放映されている。

以後、芸術系の作品に出演すると共に、娯楽作品の名脇役として多数の作品に出演、ボリウッド映画界に確固たる地位を築く。当初は『劇薬[Tezaab]』 (1988)でのような悪役が多かったが、次第に「よき父親」役が定番となり、『私はあなたの何?![Hum Aap Ke Hain  Koun...!]』 (1994)、『シャー・ルク・カーンのDDLJ ラブゲット大作戦』 (1995)など、ヒット作には欠かせぬ存在となった。これまでに出演した作品は約350本。監督作品もある。映画出演の傍ら、デリーにある国立演劇学校の校長や、映画検定委員会の委員長も務めたほか、演技学校も経営している。

妻は『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の母親役キラン・ケールで、キランは再婚。キランの前の結婚による息子シカンダル・ケールも俳優としてデビューしている。上の写真は、10数年前のアヌパムとキラン。

ミラの母の再婚相手イムラン:リシ・カプール Rishi Kapoor

1952年9月4日生まれ。父は「インド映画界のキング」と呼ばれた、俳優・監督・プロデューサーのラージ・カプール。祖父も映画黎明期の名優プリトヴィーラージ・カプールで、父の弟シャンミー・カプール、シャシ・カプールも俳優という、映画人一家に生まれる。兄ランディール・カプール、弟ラージーウ・カプールも一時俳優として人気があった。この兄弟はそれぞれ幼名があり、ランディールは”ダッブー”、リシは”チントゥー”、ラージーウは”チンプー”という名前でも知られている。『恋する輪廻』では、冒頭でオームがこっそり持って行こうとした上着を衣装係に取り返され、「チントゥーさんが愛を込めて放ってくれたのに」と言うシーンがある。

1972年『私はピエロ』で父ラージ・カプールの少年時代を演じてデビュー、翌1973年に公開された父の監督作『ボビー』が大ヒット、たちまち人気俳優となる。以後、1970年代・80年代を通じて青春スターとして大活躍する。代表作は、『時として[Kabhi Kabhie]』 (1976/上写真)、『アマル・アクバル・アントニー』 (1977)、『借り[Karz]』 (1980)、『チャーンドニー[Chandni]』 (1989)など多数。1970年代に多くの作品でコンビを組んだ女優ニートゥー・シンと1981年に結婚。2人の子供がおり、息子ランビール・カプールは『バルフィ!』 (2012)などに主演している人気俳優である。また、兄ランディールの娘、カリシュマー・カプールとカリーナ・カプールも女優として活躍している。

最近は名脇役として演技の幅を広げており、『チャンスをつかめ!』 (2009)、『火の道』 (2012)などで印象的な演技を見せているほか、『恋する輪廻』でも自分自身の役でカメオ出演していた。

Photo by R. T. Chawla

ラの母プージャ:ニートゥー・シン Neetu Singh

1958年7月8日、デリーのシク教徒家庭に生まれる。教育を受けたのはムンバイで、1966年子役としてヒンディー語映画『100万[Dus Lakh]』でデビュー。当時の芸名は”ベビー・ソニア”(当時子役は、女の子なら”ベビー”、男の子なら”マスター”がつくのが定番だった)。1974年にリシ・カプールと共演した『毒のある男[Zehreela Insaan]』 あたりから女優として人気が出、以後リシ・カプールとの共演作を中心に人気が沸騰する。『養育[Parvarish]』 (1977)などアミターブ・バッチャンとの共演作も多く、当時ブームとなった”マルチスター・システム映画(オール・スター・キャスト映画)”の一翼を担った。

1981年にリシ・カプールと結婚して以降は主婦業に専念していたが、一時リシとの間があやしくなり、離婚が取り沙汰されたこともある。2009年『今どきの恋愛』のゲスト出演でスクリーンに復帰、以後もリシ・カプールとの共演作『2の2倍は4[Do Dooni Char]』 (2010)や本作を経て、少しずつ女優業を再開し始めている。上の写真は、1990年代末のリシ・カプールとニートゥー・シン。

カーン医師:サーリカー Sarika

1962年6月3日、ニューデリー生まれ。両親はマハーラーシュトラ州出身で、その後ムンバイに移り、子役として1960年代に映画デビュー。ただし、最初は男の子役をしていたため、芸名も”マスター・スーラジ”と呼ばれていた。B級作品に何本か出演したあと、1975年の『歌、歌いつつ[Geet Gata Chal]』が大ヒットして若手人気女優となる。この作品はクリシュナ神の物語を下敷きにしており、主演男優のサチンと共にサーリカーの名前は一躍有名になった。上のブロマイドは、その頃のものである。

その後、サチンとの共演作が続き、一時期2人は結婚していたという説もある。1980年代にも多くの作品に出演しているが、これといったヒット作はなく、その後サーリカーはタミル語映画のスーパーアクター、カマラハーサンと結婚。1986年には現在トップ女優となっているシュルティー・ハーサンを、また1991年には次女をもうけるが、2000年に離婚する。離婚後は映画に復帰、『脳みそ丸揚げ[Bheja Fly]』 (2007)などの作品に出演している。

いやー、あのサマルの性生活の敵(笑)であるカーン医師が、サーリカーだったとは。メガネをかけていたこともあって、全然わかりませんでした。『歌、歌いつつ』(これも、『恋する輪廻』の中でネタになっていましたね)をデリーのゴールチャーという映画館で見てからもう40年近く。お互い、年を取りましたねー、サーリカーさん。

<C>2012 YASH RAJ FILMS PVT. LTD.

こんな風に脇役陣も超豪華だった『命ある限り』。明日、5月7日(火)の午後7時からの上映前には、<サラーム海上の「みんなインドにしてしまえー!」>イベント@シネマート新宿の第3回があります。このイベント、毎回豪華なプレゼントが出るので有名で、第1回は何と、激レア『タイガー 伝説のスパイ』ロビーカード8枚セット(太っ腹!)、本国オリジナルポスター、カビール・カーン監督サイン入りプレスとまあ、出るは出るは状態だったとか。明日はどんなプレゼントが出るんでしょうねー。楽しみにして、お越し下さい。イベントの詳細はこちらをどうぞ。

では、シネマート新宿でお待ちしています~。

 


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ボリウッド4」関連記事ご... | トップ | ご来場御礼&ナン子ちゃん遭遇記 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mika of wasseypur)
2013-05-06 14:13:51
アヌパム・ジーは「世界にひとつのプレイブック」でも重要なパテル先生役で出ていますよね。現在、シネマート新宿でもかかっていて、昨日娘と劇場に行ったとき、新宿のインド濃度すごい…と思った次第です。アヌシュカはジェニファー・ローレンスが好きだとcinetamaさんの記事で読みましたので、いろいろつながっていると思うと楽しいです。
返信する
第2回目のプレゼント (TOK)
2013-05-06 14:25:36
<サラーム海上の「みんなインドにしてしまえー!」>イベント@シネマート新宿の第二回目、ユザーン産のタブラを聴いて参りました。で、最後に半券を使った抽選会のプレゼントは、サルマーン・ショップ“Being Human”のTシャツと「命ある限り」のノート計9本でした。なぜかK列の当選が多かったような、、、
返信する
拝見しました (リー)
2013-05-06 20:25:41
はじめまして。

本日映画館でお姿を拝見したのですが、お声をかけるチャンスがなく・・記事からずれてしまうお話で恐縮ですが、一言お礼を申し上げたくて。
こちらのブログで『恋する輪廻』を大プッシュされているのを読んで、初めてインド映画を観に映画館へ足を運んだのが1ヶ月半ほど前。それから大いにはまり、ボリウッド4も公開中の3作を観てきました!
こちらのブログで拝見しなければ、今もインド映画の面白さを知らずに過ごしていただろうなぁと思います。ありがとうございました。

『命ある限り』、今日初めて観て号泣してまいりました。
ミラのお母さんカップルは実際にご夫婦なのですね!
こちらの記事を頭に入れて、再鑑賞したいです。
できれば明日!!
返信する
mika of wasseypur様 (cinetama)
2013-05-06 20:28:20
コメント&情報、ありがとうございました。

『世界に~』もシネマート新宿で上映中なんですか! おやまあ、アヌパム度高し、ですね。

アヌパム・ケールはインド映画以外にもいろいろ出ていて、いつだったかはアン・リー監督、トニー・レオン主演の『ラスト・コーション』で出てきてびっくりしたことがありました。これら2作品とか、主演作と言っていい『私はガンディーを殺していない』とかも挙げておけばよかったですね。ごめんなさい。

アヌパム・パパのファンの方は、『世界に~』も続けてご覧になってみて下さいね。
返信する
TOK様 (cinetama)
2013-05-06 20:34:27
コメントと、第2回のプレゼント情報、ありがとうございました。

おお~、あのTシャツですか。『命ある限り』のノートも! いいですねー。皆様の半券を箱に入れてもらって、ガラガラ・ポンじゃないけど当選者を選ぶという方式みたいですね。K列にツキがあったんでしょうか。

明日も現地ポスターと、"Being Human"グッズがプレゼントされるようです。ツキは何列目でしょうね?
返信する
リー様 (cinetama)
2013-05-06 20:51:23
コメント、ありがとうございました。

『恋する輪廻』から立て続けにインド映画4本、まさにインド映画の春が来た、という感じですね。

『命ある限り』は私も、ミラが母親に会いに行くシーンではうるっときます。あのシーンのニートゥー・シンがとてもよくて、大好きなのです。
明日、もしおいでになるようでしたら、始まる前とかにお声をかけて下さい。お待ちしています。
返信する
Unknown (どんちゃん)
2013-05-18 07:51:51
はじめまして!
インド映画はムトゥのブームの頃から親しんでいますが、会社の先輩がインド映画好きなので、誘われた作品を見に行ってるといった感じでした。

その先輩に「絶対おもしろいから!」「いい作品だから!」と、ひさしぶりに誘われた映画が「恋する輪廻」「命ある限り」です。

。。。。。もう両作品とも号泣してしまいました。

会社の先輩も「作品自体は数年前に見てるけど、日本語字幕で見れるのは、とっても幸せ」だと申しておりました。
素敵な字幕をありがとうございます。

Ps.ちなみに私「恋する輪廻」、名古屋女性映画祭りと大阪のガーデンシネマでの公開時と2回見てるんですが、字幕の内容が違っていたような気がするのですが。。。。気のせいでしょうか??

返信する
どんちゃん様 (cinetama)
2013-05-18 17:04:28
初コメント、ありがとうございました。

『恋する輪廻』と『命ある限り』、楽しんでいただけてよかったです、というか、号泣なさったのではちょっと「楽しんで」とは違うかな? いずれにせよ、見て下さってありがとうございました。

『恋する輪廻』の字幕の件ですが。....すみません、気のせいだと思います....。
2008年9月のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映されたあと、2009年1月に大阪の民博、そして同年3月に東京の国際交流基金の映画祭で上映されているのですが、これら『オーム・シャンティ・オーム』という題で上映されたものは訂正前のタテ字幕です。
昨年の夏以降上映され、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』という題になったものは、すべて訂正されたヨコ字幕です。昨年9月のあいち国際女性映画祭もそうですし、その後の公開時も全部同じ字幕です。
梅田ガーデンシネマも同じものが上映されてると思うのですが、印象がだいぶ違っていた、ということでしょうか。よかったら、もう一度ご覧になってみて、ご確認下さいね(と、観客数を増やそうとする私....)。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インド映画」カテゴリの最新記事